家の近くのむし探検 第63弾
11月15日にいつもの公園に行ってみました。今頃はほとんど虫はいないのですが、木の幹を丹念に探していると意外に見つかります。
これは植栽のツツジの葉上にいた虫です。ナミキノコバエ科のハエです。こんなハエは以前、シワバネキノコバエという名前だと教えていただいたことがあるのですが、「新訂 原色昆虫大図鑑Ⅲ」によるとこの和名はジャワ産に当てるのが適当だということで、現在は和名がなくなっています。それで、Allactoneura sp.ということにしておきます。この辺りの話は以前書いたことがあるので、そちらをご覧ください。
次は桜の幹にいたチャタテです。
これは翅脈の写真です。CuA1で囲まれた後小室にM脈が融合しているので、おそらくチャタテ科は確かでしょう。それで、とりあえず、次の論文のチャタテ科の検索表で調べてみました。
富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991) (ここからダウンロードできます)
必要な部分の長さを測っておきました。これらの写真を参考にして検索表で追いかけていくと次のような手順で⑥に到達しました。
①小顎鬚の端節は幅の約2.5倍;触角は比較的短く、せいぜい前翅長の1.5倍まで
②触角は前翅長より短いか、ほぼ等長
③前翅のCu1a脈の基部の長さはCu1a脈の次の区画の長さよりも一般的に長い;♂の腹部末端は硬化したクチクラに覆われない
④縁紋の後縁は刺脈を持たない
⑤前翅は縁紋を除いて斑紋は持たない
⑥a 前翅は透明;縁紋は赤褐色で;翅脈は黄褐色;前翅長約4.0mm
Psocidus pellucidus
⑥b 前翅は淡灰色;縁紋は褐色で、端に斑紋を持つ;翅脈は黄褐色~褐色;前翅長は雄約3.0mm、雌約2.5mm
Psocidus takeokanus→Neoblaste tateokanus
⑥c 記載が不十分なため検索から省いた種
Psocidus japonicus
そして、⑥の種の同定のところで行き詰りました。縁紋の色が赤褐色でも、褐色でもなかったからです。
K. Yoshizawa and K. Yoshizawa, "Systematic positions of the species currently placed under the holding genus Psocidus S. L. described by Okamoto (Psocodea:'Psocoptera':Psocidae)", Insecta matsumurana, New series: J. Fac. Agri. Hokkaido Univ., series entomology 64, 23 (2008).(ここからダウンロードできます)
この辺りの種についてはこの論文に載っています。翅脈を見ると、かなり似ています。また、斑紋が縁紋の前縁とCuP脈の端にある点も似ています。この辺りの種だとは思うのですが・・・。
これはいつものイダテンチャタテ。
最後はムラクモハマダラミバエだと思います。こんな季節になって何もいないだろうと思うのですが、結構、チャタテはいろいろ見つかりますね。公園に行くのが楽しみになりました。