新「廊下のむし探検」

大阪北部のマンションの廊下で見つけた虫の名前を調べています

廊下のむし探検 グンバイムシ、ハエなど

2020-09-24 20:15:20 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第279弾


9月21日にマンションの廊下で見つけた虫の続きです。





最初はアワダチソウグンバイみたいです。



これはクロバネキノコバエ科です。これから冬に向かうとこのハエが増えてきます。



トゲナシケバエの♀です。翅にピントが合っていなくて翅脈がよく分かりません。過去のデータを見てみると、8月から9月にかけてはヒメトゲナシケバエがいました。♂については検索もしていました。これかなぁ。





これはホソバヒメカゲロウではないかと思います。



最後はホリカワクシヒゲガガンボかな。

廊下のむし探検 蛾とセミなど

2020-09-23 21:28:58 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第278弾


9月21日にマンションの廊下で見つけた虫です。今年は本当は虫が少ないですね。まずは蛾とカメムシ目です。



最初はクロシタシャチホコ



この蛾は鱗粉が取れていてよく分かりません。何となくいつものシバツトガのようですが、下唇鬚がこんな感じだったかなぁ。





これもよく分かりません。スガ科は確かだと思うのですが、どうもぴったりくるものが見当たりません。



これはイナズマコブガ





マンションの廊下にこんなセミが止まっていました。チッチゼミです。今頃、針葉樹に発生して、ちっちっちと鳴いているセミで、6年前にもマンションの廊下で見つけたことがあります。



最後はツヤアオカメムシでした。

雑談)2012年10月からこれまでにブログに出してきた動植物の写真の整理をしているのですが、今年の6月末までの整理が終わりました。鳥や昆虫を含む動物は全部で3013種、植物は950種になりました。これらをどういう形でまとめたらよいのかこの間から考えていたのですが、一応、種リストと若干の写真を入れた図版を製本し、種それぞれの写真はすでに作ってある手作り図鑑に加えて電子図鑑の形にしようと思っています。EXCELに入れたデータから重複を除いて、また、撮影場所を区別して種リストを作り、それを使ってフォーマットを合わせて種リストを作るVBA(Visual Basic for Application)プログラムが以前作ってあったので、今日は試しにカメムシ目について種リストを作ってみました。とりあえず250種余りの種とそれぞれの撮影場所を書いたリストが出来上がりました。種名が合っているかどうかはこれから調べないといけないのですが、こんな感じでほかの目も進めていこうかなと思っています。もうすぐ引っ越すかもしれないので、当地でこんな種が見られたというデータを何らかの形で市に残しておこうかなと思ったのですが、この間、市の施設の方に話を聞いたら保存しておく場所はなさそうなので、特にそのことは考えないことにしました。

休耕田で見つけたハエ

2020-09-22 20:46:41 | 里山散策
9月4日に休耕田に生える草の写真を撮りに行きました。その時にハエがいたので、ついでに撮ったのですが、ブログに出すのを忘れていました。







ちょっとおどろおどろしい感じのハエです。前脚に鎌のようなものがついています。以前にも似たようなハエを見たことがあります。その時はミギワバエ科のOchthera属Ochthera亜属3種の中のどれかというところで終わりました。今回も採集しなかったので、結局は分からなかったのですが、少し文献を探してみました。

P. J. Clausen, "A Revision of the Nearctic, Neotropical, and Palearctic Species of the Genus Ochthera, including One Ethiopian Species, and One New Species from India: A Bicentennial Revision (Two Hundred Years of Ochthera)", Trans. Am. Entomol. Soc. 103, 451 (1977). (JSTORに登録すると読むことができます)

「日本昆虫目録第8巻」によると、日本産Ochthera属Ochthera亜属にはcircularis(ミナミ)、japonica(シキシマ)、pilimana(キアシ)の3種が載っています。このいずれもが上の論文に載っていて、なおかつ検索表も載っています。それによると、前脚基跗節に感覚構造があるかどうかでjaponicaかそれ以外かが分かれます。ただ、写真だとどれが感覚構造か判断できません。この論文には顔面のスケッチも載っているのですが、それと比べると、circularisが一番よく似ています。さらに、国内での分布を見ると、pilimanaは鹿児島だけなので、たぶん、除外できます。ということで、circularisとjaponicaの可能性があるのですが、顔面の形状からcircularisではないかと思っています。



もう一種ハエがいたのですが、採集しなかったので、科もよく分かりません。

虫を調べる ウメマツオオアリ 小型働きアリ

2020-09-21 21:09:54 | 虫を調べる
9月18日にマンションの廊下で小さいアリを見つけました。触角がえらく長い感じがしたので採集して調べてみました。その結果、ウメマツオオアリになったので、記録として残しておきたいと思います。実は、ウメマツオオアリについては3年前にも調べたことがありました。そちらも参照してください。



18日に見つけたアリはこんなアリです。



冷凍庫に入れておき、翌日取り出して背側から写した写真がこれです。体長を測ってみると、3.0 mmでした。かなり小さなアリです。働きアリには大型、中型、小型と大きさに変化があります。これは小型働きアリだと思われます。働きアリの検索には「日本産アリ類図鑑」に載っている検索表を用いました。まずは亜科の検索です。

①腹柄は1節からなる;腹部末端の背板は単純で、微小な刺の列はない;頭盾前縁側方に小突起はない
②腹柄節は小さく、側方から見て丘部の幅は狭い;腹部第1節と第2節の間はくびれない;腹部第1節の背板と腹板は融合していない;腹部末端に刺針を持たない
③腹部末端は円錐形で丸く開口し、多くの属ではその周囲が毛で取り囲まれる ヤマアリ亜科 Formicinae

検索してみると、ヤマアリ亜科になったので、その検索の過程を写真で確かめていこうと思います。本当は検索の順番に示していけばよいのですが、同じ写真が何度も出てきて煩わしいので、各部を撮った写真別に見ていこうと思います。



最初は胸部と腹部を側面から見たものです。まず、①の腹柄が1節であることはすぐに分かります。②の腹柄節の形状については比較の問題なのでこの写真だけだとよく分からないのですが、たぶん、大丈夫でしょう。また、腹部第1節と第2節の間にくびれはありません。第1節の背板と腹板が融合していないことはこの写真ではちょっと分かりません。でも、①と②ともOKとします。



次は頭部です。頭楯前縁には特に突起などは見当たりません。それでこの項目もOKです。



最後は腹部末端です。腹部末端には丸い噴火口のような穴が開いていて、その周囲には毛が生えています。これで、③もOKです。この結果、ヤマアリ亜科であることは確かそうです。

次は属の検索です。

④腹部に突起や刺はない;腹柄節に突起や刺はない
⑤大腮は通常の三角形状
⑥触角は12節からなる
⑦中胸の気門は側面に位置する  オオアリ属 Camponotus

検索の結果、オオアリ属になったので、その過程も見ていきます。



④はトゲアリ属を除外する項目でこれまでの写真からすぐに分かります。



⑤の大腮の形もOKでしょう。



触角の節を数えてみると12節になりました。



最後がちょっと迷ったのですが、中胸気門の位置(矢印)は背面というよりは側面にあります。それでオオアリ属はよさそうです。

次は種の検索です。ここからは小型働きアリに対する検索だけを行っていきます。

⑧小型働きアリの前脚腿節は極端に広がらない;小型働きアリの前伸腹節は側方から見て背面と後面が鈍角をなし、背面は背方から見て幅がある
⑨中胸および前伸腹節は黒褐色から黒色
⑩前・中胸部背面上に長い立毛はあっても6本以下;前伸腹節背面と後面は鈍角をなし、後面は傾斜し腹柄節へと連なる
⑪小型種;小型働きアリの体長は普通5mm以下
⑫働きアリの頭盾前中央部は弧状か直線状で、へこみや切れ込みはない
⑬腹部は全体が黒色で、腹部第1背板、第2背板に斑紋はない
⑭側方から見て前胸から中胸にかけての背縁は弧を描く;前伸腹節後背縁は丸みを帯び、後縁の傾斜はより緩やか;腹柄節は厚い
⑮側方から見て前伸腹節の背面に明瞭なへこみがある;腹柄節は側方から見て逆U字型で前後にほぼ対称;腹柄節背縁は中央で最も高い ウメマツオオアリ Camponotus vitiosus

検索の結果、ウメマツオオアリになったのですが、その過程も見ていきます。



最初の項目では前脚腿節がどの程度広がったら広いのかは分かりませんが、この項目はヒラズオオアリを除外する項目なのでたぶん、広がらないというのでよいのでしょう。



この図からは⑧、⑨、⑩、⑭の4項目を確かめることができます。⑧の「前伸腹節は側方から見て背面と後面が鈍角をなし」はまず大丈夫でしょう。⑩の前胸、中胸の立毛はせいぜい2本程度でこれも大丈夫です。⑭の弧をなすというのもよく分かります。



この写真は前伸腹節の後面を撮ったものですが、背面には少し幅がありそうです。



前伸腹節後背縁というのは背面と後面との境を言っているのだと思いますが、確かに丸みを帯びています。



⑪と⑬はこの写真から確かめることができます。



頭楯前縁も書いてある通りだと思います。





⑮の腹柄節を横から見て逆U字型というのと前伸腹節背面に凹みがあるというのがウメマツオオアリの決め手になる項目です。似た種にホソウメマツオオアリというのがあり、この項目で区別できるはずですが、以前、検索したときにコメントをいただき、個体差があるので、多数の個体を見た方がよいというご意見でした。今回も1匹だけなので、何とも言えませんが、今度見つけたらまた調べてみたいと思います。ということで、とりあえずウメマツオオアリに達しました。これから少しアリを調べていこうかと思っています。

廊下のむし探検 カゲロウ、甲虫、カメムシなど

2020-09-20 21:10:49 | 廊下のむし探検
廊下のむし探検 第277弾


今年は本当に虫が少ないですね。マンションの廊下を隅から隅まで探してたった15種。と思って、2年前の同じ日のデータを見てみると、全部で30種。そんなには変わらなかったですね。こんなものだったかなぁ。9月18日に見つけた虫たちの続きです。



最初はチラカゲロウの亜成虫です。最近、よく見かけます。マンションのすぐ近くに川が流れているので、そこで発生するのでしょう。



このカメムシはちょっと迷いました。最初は「日本原色カメムシ図鑑第3巻」の図版を見て、ホソヒョウタンナガカメムシかなと思ったのですが、分布が違います。それで、以前のデータを調べてみました。どうやら以前サビヒョウタンナガカメムシだとして種と似ています。たぶん、それでしょう。



これはオオクロホソナガクチキ



これはマダラアラゲサルハムシ



これは「ハエトリグモハンドブック」で調べてみました。たぶん、ヤサアリグモ♀。



廊下の手摺りで素早く動き回るダニがいました。止まった瞬間に撮った写真がこれです。名前は分かりません。でも、どうしてあんなに速く動けるのでしょう。





最後はカミナリハムシの仲間です。触角第3節が第2節の2倍ではないので、カミナリハムシではなさそうです。何でしょうね。