ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

シティ・オヴ・グラス

2009-01-13 08:16:59 | Weblog
ポール・オースター著、山本楡美子・郷原宏訳、角川文庫。
引き続き、ポール・オースターを読んでいます。

この本をはじめ、ポール・オースターの本を読んでいつも感じるのは、
孤独は、確実に人の心を蝕むということ。

人は誰であっても自分の頭が狂っているのではないかと思う時があるものだし、
文章を書いたり、絵を描いたり、何かを表現したいという欲求が強い人は、
特に、自分の心のバランスに恐怖感を持っているように思う。
人の胸に響く作品には、そのギリギリのところで表現しているものが多い。
ただ、作家自身は、あまりにもギリギリなので、常に不安なのだと思う。

孤独な状況では、その自問すら消滅する。

他人に迷惑をかけなければ、その自足した状況も、否定されるべきものではない。
本当にそこに安住できれば。

オースターは、彼自身、そんな自分の心と真摯に向き合いながら文章を書いている、
とても素敵な作家さんだと思う。

今回の「シティ・オブ・グラス」のテーマは、「ドン・キホーテ」。
子ども向けの本でしか読んだことがないから、今度、ちゃんと読んでみよう。