ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

宗教学の名著30

2009-01-26 23:10:43 | Weblog
島薗進著、ちくま新書。

世の中には、面白そうな本がたくさんあるんだなあ、と改めて思わせてもらった一冊。
空海の『三教指教』から始まり、バフチンの『ドストエフスキーの詩学の諸問題』で終わる
宗教学を一望できるガイドブック。

日本人は無宗教と言うけれども、けっこう身近なところでは、
何かを信じやすいタチだと思う。
小さな集団での仲間はずれをつくるのが好きだし、権威にも弱い。
これは、ちゃんと宗教の下地があるからだと思う。
(仲間はずれは、単なる保身もあるだろうから「信じる」とはちょっと違うかな)

でも、私の周囲では、あまりお坊さんは尊敬されていない。
日本人は、宗教よりも迷信が好きなのかな。
あとは、高級外車に乗っているお坊さんが目立つから、反感をもたれているのかもしれない。
どの世界にも、やりすぎちゃう人というのはいるものだけど、
宗教=清貧であって欲しいという願望がこちらにはあるから、
特にお坊さんに関しては手厳しいのかも。
でも、神主さんに対するそういった批判はあまり聞かないような気もする。
「生臭坊主」という言葉はあっても、「生臭神主」はないし。
ちょっと不思議。

それでも、どこぞの総本山のお坊さんは、
多少生臭でも、外車に乗っていても、めちゃくちゃ高価そうな袈裟を着ていても、
それなりに尊敬されていると思う。
なんだかんだ言っても、高僧と言われる人たちは、
本気でお経を唱えると、しびれるような声を出すんだよね。
人の上に立つ人は、それなりにやっぱりすごい。

神や宗教とまで言わなくても、やはり何かを信じ、大切にしたいとは思う。