豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

「大好きな本」

2008年02月20日 | Weblog
川上弘美という小説家の方はお名前だけは存じ上げておりました。「蛇を踏む」という作品で芥川賞を頂かれたことも。でも、なんとなく積極的に手に取ることなく過ごして来ました。
同じ年のお生まれだとか・・。塾長さんの「真鶴」の読後の感想を読ませて頂いて初めてそのことを知りました。
ちょうどその日の夕方、いつも立ち寄る書店で偶然この川上弘美さんの本が目に止まりました。
題して「大好きな本」。書評集です。
紹介されている数は144編。この144という数がまず気に入りました。中途半端な数のようでいて、実は12×12で作られる数。昔からどういうわけか親しみを覚える数字なのです。
分厚く、それなりのお値段の本。内容を確かめていつもはそっと元の位置に戻しておくところですが、その日は、ちょっと緊張する仕事で臨時収入を手にしていたせいか、結局レジに持っていっていました。

決め手は、中に収められていたいくつかの書評です。
とはいえ、目次を辿っていくと、そのほとんどが見たことも読んだこともない本の羅列です。最初はため息をついてしまいました。かろうじて探し当てたのが、「博士の愛した数式」です。このメルヘンのような美しいお話がそれだけではない深い悲しみと大きな愛のお話として紹介されていました。そして山田詠美さんの小説も。取り上げてあったのは「風味絶佳」という作品です。「贅沢」そして「優雅」というキーワードで読み解いてありました。去年の今頃ちょうど旅先で出会ってとても気に入った同じ作者の「無銭優雅」という作品に呼応するかのようで、この作品も読んでみたくなりました。

でも、なによりのきっかけは、開きなおして最初に目に入った冒頭の題名でした。な、な、なんと・・・「めす豚ものがたり」。
はい、これで決まりました。

この書評集を紐解いて、さあ、どれだけの小説を読んでみることになるのか。
確かにじっくりと現代の作家と向き合うような読書というのは、なかなかできにくいのが現実です。この一冊を起点としてどんな世界を見ていけるのか、それがとても楽しみです。