豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

「花よりもなほ」

2008年07月05日 | Weblog
まとめて借りると安いですよというお誘いに乗って借りることにした映画「花よりもなほ」。
これは、一昨年の作品だったのですね。
V6の岡田くんと宮沢りえちゃんの美しいお姿、ついでに?古田新太さんを拝見できればいいやというくらいの軽い気持ちでした。


見終わってすぐは、ふーん・・・。
さほどの大事件が起きるわけでもなく、感動巨編というわけでもなく、見ないで返すことも多いレンタルビデオ(DVDですけど・・)を見終えた満足感だけで眠りに就きました。
でも、一夜明けて、じわじわといい感じになってきたのですね~。
いいです!この映画!!
好きだなあ~、とっても。

もうどうしようもないくらい汚くて貧乏で救いようのない長屋が舞台。そこで暮らしている人たちは、様々な事情を背負っていますが、一様に貧しい暮らしぶりです。主人公の岡田くん演じる宗左衛門は、父親の敵討ちをする目的で松本から江戸に出てきてこの長屋に住み着きました。
同じ長屋には、これも主君の仇討ちを果たそうと隠密にことを運んでいる赤穂浪士も潜伏しています。それに、定職を持たず人々の間をふらふらと漂いながら生きているような古田新太さん演じる遊び人貞四郎。魚の行商や仕立てもので生計を立てている貧しい人たち。一家心中の生き残りで人生を捨てているような捻くれた若者も混じっています。

この長屋では一年に一回、長屋の共同トイレである厠に溜まった排泄物を汲み取り、それを肥料として買い取ってもらった代償で、大家さんから餅が配られます。すなわち、「クソを餅に変える」というわけです。まさに、建設的なリサイクルですね。

物語も、結局は、この妙な定理?をなぞっていくことになるのですが・・・。
宗左衛門は仇討ちを命としながらも、実は剣術は苦手。普段は近所の子どもや長屋の住人たちに読み書きやそろばんを教えて過ごしているという極めて穏やかな性質のお侍さんです。ですから、どうも仇討ちに本気になれません。というより、へっぴり腰。しかも、江戸に逃れた父の敵が身をやつして別の長屋で親子三人ひっそりと仲むつまじく暮らしている様子を見かけてしまい、己の目的遂行の意志は萎えてしまっています。

彼は、ついに一計を案じます。それに協力したのが、貞四郎ほか長屋の面々でした。彼らは、まことに鮮やかな計画で、見事仇討ちを成功させます。
でも、その方法は先の「クソを餅に変える」というものでした。

これは、山田洋次監督の一連の作品、武士の気概を描いたシリーズとはある意味対極をなすものでしょう。実際には、こういう破天荒な出来事は起こりえないと思われれますが、私が親近感を感じ、支持したいのはこちらのほうかもしれません。

「時代劇」を見るつもりで借りてきたDVDでした。でも、その言わんとすることは、時代劇に設定を借りた監督からのメッセージ、「肩の力を抜いてみようよ」ということなのかなあ・・と。
ここで初めて気になった監督のお名前は、是枝裕和さん。
そうです、カンヌ映画祭で柳楽くんが主演男優賞を獲得した、あの「誰も知らない」の監督さんでした。にわかに気になってきた前作。近いうちに是非拝見してみたいものです。

付け足せば、この映画は主演のお二人や古田さん以外にも、とても豪華な出演陣でした。大好きな女優さんの田畑智子さん、最近俄然注目されている加瀬亮さんや國村隼さんに寺島進さん。敵役には、浅野忠信さん。そして、夏川結衣さんまで!
その他にも、それぞれが、本当にぴったりのはまり役でしたが、先ごろ話題になった「ラスト・フレンズ」でモトクロスの先生役だった俳優さんも赤穂浪士役で出演されていました。そうだったのか~。そうそう、キム兄さんも!(忘れちゃいけない、重要な役でした。)


ところで、明日は、古田新太丈の本拠地、劇団☆新感線の「五右衛門ロック」のプレビュー公演です。
この夏一番の大イベント(個人的な・・)の始まり始まり!!です。
特派員送り込みの手はずは整えました。いざ、ケンザン!ケ~ン~ザ~ン~~。