豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

「かもめ」

2008年08月01日 | Weblog
麻実れいさん、素敵でした!しかも、とっても可愛い!

失礼ながら、若干期待は弱めで出かけた今夜の「かもめ」。
いわずと知れた、泣く子も黙る?チェーホフ四大戯曲の一つでありまして、今回は藤原竜也さんはじめ、鹿賀丈史さん、そして麻実れいさんに小島聖さん他そうそうたる面々で演じられておりました。

でも、聞こえてくるのは???な評判。いえいえ、サイレントマジョリティって言葉もありますしね。とはいえ、万が一の事態に備えて、強力眠気覚ましを携えて臨んだのですが・・・。
結局、一回も眠気でぐらりとすることなく、むしろ入り込んで興味深く見ることの出来たお芝居でした。
さすがだなあ~。
だって、このメンバーですものね!

さらに、演出も好きでした。
普通上演時間は、だいたい同じ分量の時間が前後に配分されています。でも、今回の配分は休憩前が100分。20分の休憩を挟んで後半はそのちょうど半分の50分でした。随分いびつな時間配分だという印象だったのですが、これが、まあきっと演出家の意図するところだったのでしょう。鮮烈な終わり方が特に際立った配分でありました。いわば、序破急。ゆっくり進んでいった前半を受けて、急転直下する後半。前半の呼吸で進めば、また同じように人々の会話が交錯していくだろうと言う予測を裏切る幕切れです。「???」と躊躇するうちに舞台は明るくなり、裾から出演者全員が登場し、一気にカーテンコールとなりました。
今回はあらすじを把握して行ったので、なるほど・・こういう終わり方なのねと得心が行きましたが、もし何も基礎知識を入れておかなかったら、いつ終わったの?という状態だったのかもしれません。
突然に物語が断ち切られたような終わり方は、余韻をたっぷり残していったようで、今夜の帰り道は、舞台の感想や場面の解釈を口々に述べる人がいつも以上に多かったように思いました。

開演後10分は、とても明るく爽やかな竜也くん。ほっそ~~~~!
その後半ズボン姿で登場したときのふくらはぎ。私の腕と同じくらいです
舞台を転がりながら、己の才能について煩悶する姿。思わず駆け寄り、励ましたいと思ってしまいました。今日は前から二番目、しかも通路側です。数歩駆け出せば舞台の竜也くんに触る事の出来る距離の妄想は、はっと我に返るとかなり焦りますね。あのまま、前に進んでいたら、確実にお芝居はストップしていたに違いありません。危ないなあ・・。それくらい、迫真の演技だったということでしょうか。
役者さんに随分近い距離だと、逆にお芝居に入り込めないことがありますが、今回はまったくそういうことはなく、非常に自然な演技で進行する舞台と同じ調子で息をしていたように思います。

各所で話題になっていたニーナ役の美波さんは、評判に違わぬ輝くばかりのお美しさ。彼女が一番素敵だった時の衣装は真っ白で、まるで発光しているかのようでした。境遇が変化するにしたがって、衣装にどんどん影が加わって行くのもとても効果的な演出だと思いました。

チェーホフはこの戯曲を喜劇だと位置づけていたようです。確かに悲劇と喜劇は紙一重といわれています。そういう意味では、この救いようのない結末と登場人物それぞれがの置かれた立場を喜劇ととらえることもできるのかもしれません。
しかし、各人物の立場を現代の人にも容易に当てはめることの出来るような設定は、切実過ぎて笑えないともいえるのかも・・め