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ゲーム攻略、読書感想文など。

【マンガ100選】その21 SWEET三国志

2007年02月09日 03時07分53秒 | マンガ100選
昔のコアな三国志マニアじゃないと知らないかも。

『SWEET三国志』
作者:片山まさゆき



ストーリー:
2世紀末の中国、後漢王朝。太平道という新興宗教の祖・張角を中心に起きた黄巾の乱と呼ばれる大乱は、英傑たちの登場の幕開けとなった。
抜けてるけど不思議と憎めない劉備、シリアスキャラなのにどこか笑える曹操・・・。
黄巾の乱終結後、朝廷を牛耳ったのは董卓だったが、ほどなく呂布に倒される。一方、許昌に本拠を置いた曹操は、献帝を手中に収め、最大の敵であった華北の袁紹も破り、中華の半分を手に入れた。
それに対し劉備は、同族の劉表の客分の身であったが、諸葛孔明を軍師に迎えたことにより一気に道が開ける。
南下する曹操軍を孫権とともに赤壁で破った劉備は、その後巴蜀の地を手に入れ、続いて漢中まで手に入れた。ここに孔明の描いた天下三分の計が完成した。
が、荊州を曹操、孫権によって奪われ、義弟の関羽を失った劉備は孫権への仇討ちにも失敗し、失意のうちに白帝城でその生涯を閉じた。
後事を託された孔明は魏の打倒を目指し、北伐を開始した。が、孔明自身の寿命が尽き北伐は達成されることはなかった。




感想:
ストーリーがただの三国志の簡単ストーリーになってしまった。
表紙の絵で好みが別れそうだが、これはれっきとしたギャグマンガと言える。と同時に歴史マンガとしてもきっちりと抑えるところは抑えているという、ありそうでないマンガ。
高校時代、電車の中で読んでて思わず声を出して笑った記憶がある。例えば張飛がサングラスをかけたプロレスラーだったり、曹操が乗っている馬がマイシンザンという実在のサラブレッドだったり、赤壁の戦いでの孔明と周喩が同時に手のひらに”火”の文字を書いて見せ合うシーンがなぜか軍人将棋の駒の見せ合いだったり、魯粛が半魚人だったり、曹操の謀臣の賈詡が西武の郭泰源だったりととにかくギャグ尽くし。
ストーリーそのものは演義ベースだが、三国志に詳しい人でもそれなりに納得いく出来といえるが、何せ省略が多い(全5巻だし)のが残念。



【マンガ100選】その20 ああ播磨灘

2007年02月07日 02時22分28秒 | マンガ100選
数少ない相撲マンガの中でも金字塔的な存在。



『ああ播磨灘』
作者:さだやす圭


ストーリー:
雷光部屋の力士・播磨灘は横綱就任後の初めての土俵入りで仮面を被って登場。度肝を抜いた演出で協会の理事たちの怒りを買う中、一度でも敗れたら引退する、双葉山の69連勝を越えると宣言した。
大混乱の相撲協会を尻目に播磨灘は連勝街道を突き進む。太刀風、大江川、北道山の3横綱をはじめ、全力士が妥当播磨灘を掲げて挑むが播磨灘のあらぶる相撲には歯が立たない。そればかりではなく、仮面を被ってプロレスにも乱入し、米国レスラーを一撃でマットに沈めるなどの不可解な行動もする。


そんな播磨灘に惚れる人間も多く、ヤクザの親分から化粧回しを贈られたり、押しかけ女房が現れたりと、私生活でも破天荒。
また、土俵の禁の破り方も半端ではなく、一日ごとに仮面を変えて土俵入りしたり、敗れた力士の顔の上を跨いだり、敗れた力士に改名を迫ったりもした。
やがて播磨灘は相撲協会に見切りをつけ、自身で相撲興行を行う。7月場所にあわせて開催された「播磨十番勝負」には、相撲協会の制止を振り切った力士たちが参加。だがついに誰も播磨灘を破る事は出来なかった。



感想:
この作者の作品らしく相撲の世界の内情を鋭く、また面白おかしく描き、それが播磨灘の相撲協会への批判にも表現されている。いい意味で玄人好みの作品。
登場する力士は実在の力士をモデルにしてると思われる者も多く登場するのだが、中でも千代の富士をモデルにしてるっぽい太刀風が個人的には一番好き。心技体すべてが備わったその太刀風だが、播磨灘との対戦では開始と同時に手首を捕まれ、そのままお手つきをさせられるというえげつない手で負けてしまうところも作者のアイデアの良さ。
播磨灘は独自の相撲美学みたいなのを持っており、対戦力士がその美学にそぐわないと徹底的に痛めつけたりするのだが、この美学というか価値基準がいまいちよくわからなかった。が、凄ノ尾に対し、犬ノ尾と改名を迫ったり、不動王にお不動と改名を迫るなど、敗者に対する厳しい態度も実はこのマンガの魅力だったりする。

【マンガ100選】その19 じゃじゃ馬グルーミンUP!

2007年02月06日 02時26分30秒 | マンガ100選
競馬マンガの白眉。




『じゃじゃ馬グルーミンUP!』
作者:ゆうきまさみ




ストーリー:
埼玉県に住む高校生・久世駿平は2年生への進級を控えた春休み、北海道にツーリングに出かけたが、財布を落としのたれ死にしそうになっていたところを偶然、渡会ファームの次女ひびきに拾われる。
渡会ファームは静内にある小さな生産牧場だが、そこで働く人たちや美人4人姉妹がいる渡会一家と過ごすうち、駿平はひびきに惚れていたのもあって、渡会ファームでアルバイトから従業員となって働くようになる。
埼玉の両親も駿平を連れ戻すのはあきらめて高校も中退した駿平は、サラブレッドの繁殖・育成の過酷さも乗り越えて、いつしかダービー馬の生産を夢見る。
だが、意中のひびきは恋愛に興味がなく、同じくひびきに惚れている醍醐ファームの四男・悟とひびきを賭けて対決をしたりするも空回りに終わることがほどんと。
が、いつしかひびきも駿平に惹かれ、二人は出来ちゃった結婚をすることに。




感想:
従来の競馬マンガは騎手やサラブレッドが主役だったが、これは生産者を中心に描いている。綿密な取材に基づくリアルさと、人間関係を爽やかに描く作者の手腕、さらに血統や馬主、厩舎などの細かい設定がこのマンガの大きな魅力となっている。各巻末には登場したサラブレッドの血統表のおまけがついている。
作中の時間は約4年の期間を描いている。ちょうど駿平が渡会ファームに拾われたときに行われたスプリングステークスの勝者であり、渡会ファームの生産馬であるストライクイーグルの引退までがちょうどおさまるようになっているため、ストライクイーグルが影の主役ともいえる。また、駿平の渡会ファームで様々なイベントや思い出もストライクイーグルがらみのものが少なくない。
登場人物は渡会ファームの人たちは別として、
醍醐ファーム→社台ファーム
弓削匠→武豊
オタワ→ノーザンテースト
サドンリィシングス→サンデーサイレンス
刑部→岡部幸雄
坂東聖二→田原成貴
など、モデルが結構ある。

【マンガ100選】その18 ムジナ

2007年02月04日 01時06分28秒 | マンガ100選
いまだにマニアックな人気を誇る忍者マンガ。

『ムジナ』
作者:相原コージ



ストーリー:
卍の里に住む下忍のムジナはある日、父・ゴキブリから、首領のために使い捨ての駒にされる下忍の生き方の悲しさとゴキブリの秘術を教わる。ゴキブリはダメ忍者だと里中から蔑まれているが、それはゴキブリの処世術だった。
だが任務で囮に使われたゴキブリは命を落とす。
ゴキブリの遺志を継いだムジナは人知れず修行を重ねつつも、人前ではダメ忍者として振舞うようになった。
そしてムジナが所属する雲組は抜け忍シロベの追撃や大名の人質奪還任務を経験し、多くの仲間を失うが、その中でムジナはオリジナルの忍術を編み出しながら着実に成長していった。
ある日、首領の圧政に不満を抱く下忍たちがクーデターを起こす。皮肉にもクーデターの首謀者は首領の息子・陣内だった。クーデターに巻き込まれたムジナは首領の殺される場に居合わせたが、実は首領は傀儡で、真の首領が別にいることを知ってしまう。
真の首領により新しい傀儡の首領に選ばれたのはこれまでムジナと死線を共に戦ってきたサジだった。
しかしサジは里の忍者たちの前で、真の首領が別にいることを暴露する。真の首領―外吉―はサジにより里から追放された。
が、外吉は大勢の忍者を引き連れて卍の里の殲滅に現れた。外吉の正体は伊賀忍者の頭領・服部半蔵だったのだ。
次々と卍の里の忍者が殺される中、ムジナは半蔵を倒し、伊賀忍者の殲滅を成し遂げた。


感想:
けっこうはしょってストーリーを書いたが、実はクーデター前までのストーリーがかなり面白い。
このマンガの魅力のひとつは忍術を魔法のように描かず、あくまで科学的(ちょっと無理があるのも多いが)に描き、徹底したリアリズムを追及したところにある。リアリズムと言うのも大げさかもしれないが、忍術をここまで細かく解説したマンガも類を見ないのは事実(だと思う)。
しかしこのマンガの最大の特徴は実験要素だろう。例えば一話まるまる、「突っ込みを入れる」、「効果背景を入れる」など、無駄とも思える実験が話の筋とはまったく関係なく行われている。これが案外面白い。
全9巻と短いが、中身はかなり濃く、エロシーンもてんこ盛りで読む人を選ぶマンガだとは思うが、忍者マンガとしては個人的には「忍者武芸帖」に次ぐ面白さ。

【マンガ100選】その17 のだめカンタービレ

2007年02月01日 04時49分17秒 | マンガ100選
最初に白状するとドラマで初めてこのマンガを知りました。
ドラマ化、アニメ化と相次ぎすでに説明の必要もないほど有名だが、未読、食わず嫌いな方のために。




『のだめカンタービレ』
作者:二ノ宮知子

ストーリー:
桃ヶ丘音楽大学のピアノ科3年生・千秋真一は自他共に認める音楽の才能溢れる学生。音楽にかける熱意や情熱はすさまじく自分にも他人にも妥協を許さない。が、飛行機恐怖症、船舶恐怖症のため、音楽の本場ヨーロッパに行くことができず、くすぶっていた。
そんなある日、マンションの隣の部屋に住むピアノ科の2年生・野田恵、通称”のだめ”と出会う。不潔で変態だが天才的なピアノの才能を持つのだめとの出会いはくすぶっていた千秋を少しずつ変えていく。



本来指揮者を志望していた千秋は指揮科への転科をしようとするが、音大に招聘された大の女好きであり、世界的巨匠でもあるシュトレーゼマンに拒否される。が、シュトレーゼマンが音大に新設したSオケの指揮者に抜擢され、落ちこぼれのSオケメンバーを鍛え上げた千秋は初めての演奏会を大成功に終わらせる。
その後はシュトレーゼマンの弟子として周囲から認知され、長野県で行われたニナ・ルッツ音楽祭にもシュトレーゼマンのお供として参加。

Aオケのコンサートではピアノのソリストとしてシュトレーゼマンとコンチェルトの共演も成功させ、日本の音楽界に少しずつ名をとどろかせていく。
シュトレーゼマン帰国後、大学院に進学した千秋はニナ・ルッツ音楽祭で出会った才能ある学生たちとR☆Sオーケストラを結成、コンサートを成功させる。

一方ののだめは千秋を様々なトラブルに巻き込む毎日だったが、肝心のピアノについては海外に渡りプロになることを奨める周囲に反発していた。が、R☆Sオケで成功する千秋を見て、このままでは千秋と一緒になれないと危機感を抱き、スパルタ指導の江藤先生の指導を仰ぎコンクールの優勝を目指す。
コンクールは本選まで残るものの、練習時間の圧倒的な不足から優勝を逃す。
失意のうちに実家に帰るのだめを心配した千秋は、国内での最後の演奏を成功に終わらせた後、のだめを実家まで迎えに行き、ともに海外に行く約束をする。



フランスのパリに渡った二人。千秋は早速プラティニ国際コンクールに出場し、ジャンという強敵と接戦の末優勝する。一方ののだめは音楽学校に通いレベルの高い勉強に必死になってくらいついていく。そして同じマンションに住む学生や学校で知り合った仲間たちと切磋琢磨しあいながら才能を伸ばしていく。またフランスの元貴族に呼ばれて行ったリサイタルも大成功に終わらせた。

その頃千秋はルー・マルレ・オーケストラの常任指揮者に就任。かつてはシュトレーゼマンが指揮をとっていたマルレオケだが、現在は見る影もないくらい落ちぶれていた。しかし千秋はかつてのSオケ同様にスパルタ特訓で徐々にオケのレベルを上げていく・・・。


感想:
かなり長くなったが最新刊16巻までのストーリーはだいたいこんな感じ。クラシックに詳しくない人でもなんとなく雰囲気は味わえる(碁を知らない人でもヒカルの碁のファンになるような感じ)ので、その点は心配いらない。もちろんクラシック好きならはまれること間違いなし。
ちなみにクラシック好きなミナミとしては、実際に演奏が聞けるドラマの方が(ドラマでやった日本編だけ比べると)良かった。
このマンガの最大の魅力はヒロインでありながら破天荒で変態(部屋がゴミの山だったり、千秋の着替えを盗撮したり、毎晩食事の相伴にありつきにきたり、千秋の寝顔を見てムラムラしたり、千秋が好きなのにかなり図々しい態度をとったり)なのだめの魅力と、それに対する千秋の激しいつっこみに尽きる。この面白さはドラマを見た人なら多少はわかると思うが、マンガの方はさらに芸が細かいので必見。

日本編と海外編を比較してどちらが面白いかというのはファンの間でも話題になるが、個人的にはどちらも面白いと思う。ただ、海外では二人の仲もけっこう進展してて、恋愛色が日本編とは比べ物にならないくらい強いのでいい意味でも悪い意味でも少女マンガっぽくなってると思う。が、ギャグの面白さにますます磨きがかかっているのも海外編だったりするし、日本編のキャラに負けない濃いキャラが続々登場するし、千秋のライバルとなる指揮者も何人か登場するのでやっぱり必見だったりすると思う、、、かな。