「何か1つ」を見つける毎日(⌒‐⌒)

自然と神様と猫と木と音楽、、それからそれから、、( - ө - )

不覚にも、さだまさしさんの曲に涙する、、。Y田下宿から始まった3

2021-04-04 10:24:55 | Y田下宿から始まった😼
本名は思い出せないが、あだ名は辛うじて思い出すことができた、Y田下宿2の一階一番奥の部屋にいた予備校生、フーちゃん。同郷と言う事もあり、結構仲良くなった。いい意味で素朴なかただったなあ。お部屋にお邪魔させてもらうと、いつも赤い半纏(私の故郷では、それをどんぶくと言っていた)を着ていて、部屋の中なのにマフラーを巻いてる時もあった。Y田下宿では、冷暖房は一切設置されていなかったので各自で調達しなければならず、しかも火災防止のため暖房は電気ストーブ以外は禁止だった。暖かい仙台とは言えさすがに真冬はちとキツイ。だから、フーちゃんの室内マフラーも、わかるっちゃわかる。。実は私も仙台に引っ越す時、母から赤いどんぶくを持たされたのだが、何だか着るのが恥ずかしくて1度も着たことがなかった。話を戻すが、そのフーちゃんとはなかなか会えなかった。帰宅時間が違うし、朝食の時間も微妙にずれていて会えないのだ(そもそも私は下宿の朝ごはんをほとんど食べなかったので)。たまに大学の実習が早く終わり洗濯などしてる時に、ちょうどフーちゃんが予備校での授業を終えて下宿に戻って来ることがあって、そんな時に彼女が「〇原さん、こんにちは。今日は珍しく早いんですね。私も今日は早かったです。よかったらちょっとお部屋に来ませんか。お茶でも飲まない?」と誘ってくれるのだった。下宿の共同の流し場でお湯を沸かし、ミヤさんは、日本茶を淹れせんべいを出してくれる。赤い半纏、日本茶、煎餅。和、なんである。何もかもが。
話題といえば、目指す大学の学部についてや、わたしの大学生活の話、故郷岩手についての話し、など。たまにしか会わなくても話はめちゃくちゃ盛り上がるのだ。ある時、話題が音楽の事になり「サツコさんは、ロックが好きなんですねえ。」と言われた。「え、はあ、まあ。好きですよ」答えながら私はハッ( ゚д゚)とした。斜め下のフーちゃんの部屋に、私が朝な夕なに、やや高めのボリューム出かけてるムーディブルースやランディマイズナー、浜田省吾などの曲がにかけているレコードの音がだだ漏れしている事に気づいたからだ。志望大学目指して一生懸命勉強しているフーちゃんの邪魔をしてしまってたのか、、。いやいや、本当にすまない。深く反省ヽ(・_・`)…。「ところでフーちゃんはどんな音楽を?」と聞くと、即答→「さだまさしさん。」キッパリ( ー`дー´)キリッ。「へえ、そうなんだあ、さだまさしさんかあ!。」内心「わ、、私とは音楽の趣味は合わないかな、いや、でも、精霊流しは私だって大好きだしなあ、あ、無縁坂だっていい曲じゃないか、」などごちゃごちゃ考えているとフーちゃんが、さだまさしさんの素晴らしさ、どこがいいのか、を穏やかな口調で語り始めた。何しろ相当に昔のことなので詳しい内容は覚えていないが、歌詞をきちんと読んでほしい、と言われたのは覚えている。ひとしきり語ったあと「サツコさん、聴いてみる?」と言ってカセットテープを引き出しから取りだした。「ああ、では、、」と受け取る。タイトルはすっかり忘れていたが、スマホで調べてすぐに思い出した。「夢供養」である。借りたはいいが、はっきり言ってあまり興味ないなあ、、でもまあ、せっかくだから一度くらいは、、」と正直あまり乗り気にならない。部屋に戻ってもすぐには聴かず数日放っておいた。珍しく夜出かけずに1人で部屋にいた私は電気ポットでお湯を沸かしコーヒーを淹れ☕、、。あ、そうだ、、さだまさしさん、、聴いてみるか。となったのだ。でも、、最後まで聴けるだろうか。あまり聴いたことないし、、。一体どんな感じなんだ、さだまさしさんの曲というのは、、。あれこれ考えながら、それまで入っていた浜田省吾さんのカセットを取り出し「夢供養」を入れる。一曲めで早くも心が悲鳴を上げる、、「ウオーっ、、何だなんだ、、!」歌というより、なんだか、童謡の歌詞の朗読みたいな、、そう、わらべ唄風の?いやいやわからん。ヤバい、、これはマジで聴き続けられないかも知れないぞ。でも、せっかくフーちゃんが貸してくれたやつだからなあ。カセットテープは、曲をポンポン飛ばしてかけるのが難しい。なのでとりあえずそのまま流していた。正直、初めは「一回聴いたら返そう」と思った。しかし、、結論を先に書いてしまうと、このアルバムを後に私は買うことになる。そう、大好きなアルバムの1枚になったのである。フーちゃんが言ってた通り、歌詞がポイントだった。意識しなくても歌詞が心に染みつくのであるのである。特に響いた1曲がある。病室を出て行くというのに、、から始まる、そう「療養所 サナトリウム」である。始まりの静かなピアノの音色がスーッと耳に入り込んでくる。これは、いい。好みだ。最初聴いた時時点で、その歌詞と、美しいメロディに心が惹き付けられ、何と、なんとなんと涙を流してしまったのだ。巻き戻してもう一度、更にもう一回、、。やはり泣けてくる。サナトリウムだけを繰り返し聴いた記憶がある。だいたい、サナトリウムを曲のタイトルにつけること自体非常に珍しいのではないか。聴いてると切なく悲しくもなるが、歌詞をよく読むとそれだけじゃない、何か、うーんうまく言えないが、とにかく、沁み込んでくる何かがあるのだ、この曲には。フーちゃんがさだまさしは、歌詞を読んで。と言ったのは、こういうことか。
紛れもなく人生そのものが病室で、、という言葉は、当時まだ十代だった自分には全くピンと来なかったが、歳を重ねた今ならわかる。わかる気がする。
というわけで、サナトリウムで惹きつけられてしまった「夢供養」。、結局フーちゃんに返すまでの数日間、他の曲も全て歌詞を読みながらじっくり聴くことなった。中には、どうしてくれるのよ、この重さ、、(T_T)というくらい暗くなってしう曲(空蝉、まほろば、春告鳥、、)もあって、聴くのがホントに苦しかったが、その苦しさは嫌な苦しさではなかった。一つわかったのは、さだまさしさんというかたは、明らかに、ただ者ではない。という事か。詩人であり優れたミュージシャンであり、他にも様々な才能をお持ちであるのだから今でも素晴らしい曲を変わらず作り続けていられるのだなと思う。今だってさだまさしさんは、好きだ。でも、じっくり聴いたのは、夢供養だけ。その一枚だけだ。最近は家族に乾杯の時にテレビから流れてくるテーマソングしか聴いてない。
でも、並外れた才能の持ち主であることは間違いない。フーちゃんに、カセットを返すため、鍵のかかってない部屋の戸を開けると、フーちゃんは机に向かい勉強をしていた。「これ、ありがとね。」フーちゃんは、どうだった?よかった?などと言うことは一切聞かずニヤッと笑った。「言った通りでしょう、歌詞が」という事か。
フーちゃんとは、その後やはりすれ違いの日々が続きほとんど話す機会がなかった。 でも、未だにさだまさしさんをテレビで見たり曲を聴いたりすると、フーちゃんの事、そして「夢供養」を懐かしく思い出すのだ。
フーちゃんは、翌年無事志望大学に合格し、岩手に帰って行った。めでたしめでたし。



隣は洋菓子やさん🍰 Y田下宿から始まった17

2020-08-12 14:05:53 | Y田下宿から始まった😼
Y田下宿は、大学からは坂道を登りきった場所にあり
、大学への行きはいいけど帰りが大変だった。長い実習でヘトヘトになったあとの登り坂はきつい。しかし、、ウキヨちゃんのアパートは、私より更に遠くにあり、更には高台にあるという状況なので、ウキヨちゃんのアパートへ行く前にY田下宿で一休みしてから行く、ということもよくあった。当時はまさに、箸が転んでもおかしくて仕方ない年頃。ゲラゲラ笑いながら下宿の蛇腹式の扉を開けて中に入る。



と、、そういう時に限って何故かかなりの確率でY田バンバに出くわすのだ。「あら〜○原さん、おかえりなさい。今日はお友達も一緒ですね。今日はご飯はいりますか?」ウッ、🙄ヤバい、、今日もウキヨちゃんとこ行くのだ。、、。しおらしくうなだれ、小声で詫びる。「あのですねえ、今日はレポートを仕上げなければならず、友達のところに泊まります。」隣でウキヨちゃんもウンウン、と強く頷く。「あ、そうですか。じゃ○原さんの分は作らないです。」いや〜本当に申し訳ない。だが、これはまあ、仕方ないさ。ウキヨちゃんとこにはテレビもあるし、台所も広い。何より自由な空間がそこには広がっている。改めて思う、、わしもアパート暮らししたいよー。でも、確か母が、Y田下宿は2年契約だと言ってたよなあ、、来年もこのちょいと窮屈な下宿で過ごさねばならんのか、、( ´Д`)=3。まあ、住人は皆いいかたばかりだがね。予備校生は来年大学に入る確率が高いため、みな一年契約だという。そうか、、私とシロキさんだけが2年契約なのか。しかも、シロキさんは今年で2年目だから、ひゃー、わしだけかい、Y田に残るのは。
とりあえず、今は考えずにおこう。
話は変わるが、下宿の前にある細い道を挟んだ向かい側に、洋菓子屋があった。今となっては名前すら思い出せないが、とにかく小さな洋菓子やさんがあったのだ。自分ちで作って売ってる店だった記憶がある。滅多に買うことはなかったが、たまに母親が遊びに来たりすると、そこのケーキを買ってくれたのを覚えている。種類も少なくて、イチゴショート、モンブラン、チーズケーキ、シュークリーム、とオーソドックスなものが数種類。味は、、覚えていない。
ケーキ好きの私だが、なぜ隣のケーキ屋さんにあまり買いに行かなかったのか。、、それは、大学のすぐそばに、大きな喫茶店があり、そこのケーキセットを暇さえあれば食べていたからだ。下宿向かいのケーキ屋さんも、食べるスペースがあれば多分もっとお世話になったんだろうけれど、なあ。大学そばの喫茶店は、確か、杜の詩、だか、杜、という名前だった記憶がある。これは、杜の都、仙台、から取ったんだろうなあ。広瀬〜がわ〜流れる岸辺、あの人は〜帰らずー、、の、あの杜なのだよ。
下宿の二階から眺める風景は、当時は高層マンションなんかはあまりなかったし、なんか、いい感じだったよなあ、半分田舎で半分都会。数年後、仙台は劇的な変貌を遂げてゆくのでした。嬉し、寂し、といった感じかな。


誉めろマジマ! Y田下宿から始まった16

2020-08-10 11:24:19 | Y田下宿から始まった😼
睨まれると言うのは、まあ、気のせいかもしれないが、確かに下宿での食事中、Y田バンバに気を使うのは確かだった。美味しければ、自然に「美味しい!」って言葉は出そうだが、ただ黙って食べる人も中にはいるだろうし、、。まあ自由ということか。、、でも、世の中には、褒め上手っていうのがいてそんなタイプの人は、多分世の中渡ってく上で絶対得をする、と思う。
で、マジマさんだが、その「褒め」がうまくいかず、食堂で苦戦を強いられているため、作戦としてはOさんやSヅちゃんより先に、褒めの言葉を発する事を、アドバイスした。(、、大したアドバイスでもないがな、今考えると、、😂)、、、
、、わたしなどは相変わらずウキヨちゃんと外食三昧で、食堂には滅多に行かない状態だったので、マジマさんの様子を見ることができなかった。
ある日、、久々に部屋に戻り寛いでいると、さっそく!と言う感じでマジマさんが訪ねてきた。
おかえりなさい!
「○原さん。おかえりなさい。」(マジマさんは本当に礼儀正しいなあ、、(^ν^))
「オー、マジマさん、久しぶり。ただいま〜」
「○原さん!食堂での事なんですがねえー」おっ早速その話か、、。「私もバンバの料理を褒めようとしたのですが、、」したのですが、、その続きは?!👂「先を越されました、、Oさんに。」何だ、出遅れたのか、、😞と思いきや、、話は意外な展開に。、、「ワタシも負けずに食べ始めたらすぐにおいしい!おいしい!と言おうとしてたんですよ!でも、、Oさんが、まだ食事に箸をつけてないのに"おいしい!”と叫んだのです」え〜っ!!そりゃすごい!「食べる前に、もう、おいしい!と言ったんですよ!!」よっぽど悔しかったのかマジマさんはその事を二度も繰り返し言った。「悔しかったので、睨んだんです、Oさんを、、」そしたら、、?「そしたらOさんはですね、ちょっとバツの悪そうな顔をして、、」バツの悪そうな顔をして、、何と言った?早く教えろー。「おいしい!と思う、、の、多分。まだ食べてないけど。」と小声で言ったそうな。バンバに聞こえたのは、おいしい!の部分だけだからなあ。マジマさんは、本当に忌々しげに言う「食べる前に言われたんじゃ、幾ら何でも無理です、間に合いません😩」、、うーん、、さすがOさんだ。マジマさんには済まないが、私は内心Oさんに対し拍手を送っていた。Y田バンバに寵愛されているOさんの、この如才のなさこそが、愛さり秘訣なのだ。マジマさんは鼻息を荒くして😤部屋に戻っていったが、、仕方ない、アキラメタマヘ、、なのだ。



褒め上手は得をする!か、、🙄。 Y田下宿から始まった15

2020-06-14 13:18:21 | Y田下宿から始まった😼
Y田下宿の下宿人が、大体3つのグループに分かれてきたのだ。これは、今思い返してみてもそうなのだが、多分Y田バンバも3つのグループに分けて接していたのではないか。①Y田1の、有名国立大志望の二人②地方国立大志望のY田2一階の二人。③Y田2の二階に住む、わしら3人。
Y田1のOさんなどは、Y田バンバの特にお気に入りで、私は生活態度についてよく比べられたものだ。実際Oさんは本当によくできた人だった。優しくて可愛くて真面目。そして、バンバの作る食事を必ずと言っていいほど褒めた。褒めると言うより、褒めちぎる、といったほうが正しいか。しかも、いかにもお世辞という感じが全くなくて、自然な、心からの褒め、に聞こえる。「おばさん…これ、、美味しい!本当に美味しい(^^)」これではバンバが喜ばないはずがない。嬉しかろうし、作った甲斐もあるってもんだ。「あらあら、そうですか〜。」そう言ってバンバは深く頷きながら、そのあと何故かそこにいる他の下宿人をグルッと見渡すのである。あなた達はどう思っているのだ?と無言で問いかけるかのように。しかし、みな一様に反応鈍く、それぞれの会話を続けている、、。これではバンバがOさんを気に入るのも無理はない。それだけではない、Oさんは、予備校生の本分である学業に本当に一生懸命だったのだ。同じY田1の、竹下景子さん似のgeっちゃんは、Oさんに言わせると「天才型」らしく、前にも書いたが、適度に息抜きもしていたらしい。前にも書いたが、予備校にはgeっちゃんのファンクラブのようなものもあるらしく、たまに彼らとカフェに行ったりしていたようだ。Oさんがいつだったか私にボソッと言ったことがある。「geっちゃんがうらやましい。あんなに遊びに行くのに、成績はちゃんと上位なんだもの。」ほほお、、遊んでいるのに成績は優秀、、。いるいる、こういう人、、。羨ましすぎるぜ。再試につぐ再試で苦しむ私にしたら、夢のようなお話さ。ま、それはそうと、とにかくバンバはOさんがお気に入りで、たまに夜食の差し入れなどもしていたらしい。それはそれで「ああ、うらやましい話、、」で終わる私だが、隣のマジマさんは違った。彼女が言うには、食事のたびにOさんがバンバを褒め称えるため、それをしない(できない)自分はバンバに睨まれる。と言うのだ。「えっ!?」私は思わず叫んでしまった。全く予想だにしない、意外な話の展開となった。「睨まれるって、そりゃマジマさん、バンバはもともとみんなに厳しいじゃないの。私なんかすれ違うたびに何かかんか説教されてるわよ。」「違うんです○原さん、説教されるだけまだいいですよ、私なんか、睨まれるだけで、口を利いてもらえないんですよ」ウーン(¯―¯٥)マジマさん、そりゃ、考え過ぎじゃないか。気のせいだと思うぞ。何よりあんた、バンバに口利いてもらえなくて悲しいかい?わたしゃ痛くも痒くもないね。何なら口なんか利かれないほうが楽さ。そうじゃないかい?それにしても、、マジマさんがこんなにデリケートな人だったとは、、。正直意外。普段優しくてにこやかなマジマさんが、バンバの態度を気にして凹んでいる。励ますべきか、、いや、励ますよりも、こうなったら、作戦を練ろう。私なもともと下宿であまりご飯を食べないが、毎日きちんと食べるマジマさんにすれば、食事時のバンバとの確執?は、こちらが考える以上に辛いのだろう。よし、、。「マジマさんよ、、負けないで褒めるんだ!!」我ながら名案だ。と私は思った。しかし、、「え?」マジマさんは、私の提案に戸惑いの表情を見せた。「Oさんが美味しいって言う前にマジマさんが褒めるんだよ」「はあ、、」「エムさんより早く言わないとだめだよ。ここがミソだからね!!」何がミソだか分らないが、とにかく、そうなんだ。マジマさんは、とにかく素直な人なので最後には大きく頷いて「やってみる✊」と言った。



赤い口紅💄 Y田下宿から始まった14

2020-06-12 01:43:29 | Y田下宿から始まった😼
「あ、、マジマさん、さっきはどうも〜、、」私は軽い調子でマジマさんに挨拶をした。マジマさんは、大抵の場合微笑んでいる優しげな子。そして、何度か書いているが、とても素朴。身長は、高い。私は小さいほうなので、マジマさんと話す時は軽く見上げる感じ。
「○原さん、部屋に来ませんか。実家から薄皮饅頭を送ってきたんです。」薄皮饅頭はマジマさんの地元の名産品。嬉しい!薄皮饅頭大好きだ!、、しかし、残念な事に今さっき、右隣のシロキさんから紅茶とシフォンケーキをごちそうになったばかりだぜ、、。腹はまだ膨れている。だが目の前でニコニコ笑っているマジマさんの顔を見るとせっかくの誘いを断る気にはなれない。というわけで、自分の部屋に戻る事なくそのままマジマさんの部屋へ、、。マジマさんの部屋は、「いかにも予備校生」といった感じの、そう、勉強部屋。部屋の中心に大きな勉強机がデーンと置かれている。その脇にこれまたかなり大きな和風のタンスが置かれていて、その上に化粧品やヘアケア用品が置かれていた。勉強だけじゃ確かに息が詰まる。息抜きにおしゃれを楽しもうじゃないか!
さて、、シロキさんの部屋にあるようなテーブルがないため、マジマさんの部屋では、勉強机がテーブル代わりだった。これは私の部屋と一緒。私の部屋も机しかなかった。
薄皮饅頭を食べながら、いろんなことを話した。予備校であまり友達ができない事、授業がさっぱり面白くない事、などなど。フムフムと頷きながらフと例の?タンスの上の化粧品コーナーを見ると、おっ!新しい口紅💄が箱のまま置いてある。「マジマさん、口紅買ったの?」「うん、あそこの店で。」あそこの店、とは、下宿から歩いて5分くらい所にある化粧品屋さんだ。あそこで買ったのか。、、マジマさんが通っている予備校の周辺には、おしゃれなお店がたくさんあるのだが、マジマさんは、そのあたりにはあまり行かないようだった。予備校の授業が終わると大抵すぐに下宿に戻ってくる、といつか言ってたもんな。「どうですか、この口紅。」そう言って、マジマさんは、口紅を箱から取り出した。おお!真っ赤だ!真っ赤な口紅だ。「マジマさん、真っ赤じゃん!」「そうなんです、私、どうしても赤い口紅が欲しくて、買っちゃいました。どうですかねえ、、」私自身、真っ赤な口紅は一度もつけたことがない。なんだかドキドキする。マジマさんがこれを塗ると、どんな感じになるんだろう。じっくりマジマさんの顔を見た。塗ってみないとわからんなあ。ちょっと塗ってみてくれよー。そう思った矢先「○原さん、これ塗ってみませんか。」マジマさんから言われた。「は?私?」「うん、私も塗るから○原さんも塗ってみて(^^)」よくわからんが、いいよ!でも、饅頭食べてからにしよう。せっかく塗った口紅に饅頭のアンコがついたら悲しいじゃないか。てなわけで、饅頭を急いで頂いたあと、二人して真っ赤な口紅を塗る事になった。それにしても、見事な赤じゃ。出かける予定もないのに、二人して真っ赤な口紅を塗る。「おお!マジマさん、すごく似合うじゃない!」「本当?嬉しい!○原さんも似合いますよ。貸しますから、大学に行く時塗ってって下さい。」「ありがとう!それにしても、マジマさん、まじで赤い口紅似合うよ」「いやいや○原さんこそ似合います」しばらく互いに激しく褒め合っていた。