少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

みみずくは黄昏に飛びたつ

2021-12-11 07:00:00 | 読書ブログ
みみずくは黄昏に飛びたつ(川上未映子/新潮社)

少し前に、村上春樹さんと翻訳家の柴田元幸さんの対談本を紹介したが、そういえばこういうのもあったなあと、図書館で気になっていた本を借りてみた。

対談というよりは、川上未映子さんから村上氏へのインタビュー。1回は『職業としての小説家』の刊行を記念して行われ、文芸誌に掲載された。その後、『騎士団長殺し』の執筆後に行われた3回分を加えて、1冊の本にまとめたもの。

『職業としての小説家』は、小説家であることについて村上氏が長年にわたって考えてきたことをまとめたもの。「書くことを通じてしか考えられない」と彼自身が主張する資質がよく現れた作品で、自身による作品論とも読める、価値の高い作品。それを題材に、村上氏の創作技法や小説家としてのスタンスに関する話題が繰り広げられる。

それに加えて、『騎士団長殺し』を中心に、村上作品をよく知る作家から村上氏に聞きたいことが遠慮なくぶつけられるロングインタビュー。この本と、『職業としての・・・』があれば、村上氏が自身の創作技法について語るときに語ることの多く(あえて「全て」とはいわない)を知ることができるのではないか。

村上作品を論じる資格はないし、論じる気もない、といってきたが、作品論を読むこと自体は、嫌いではない。