空飛ぶ馬(北村薫/創元推理文庫)
短編推理と、日常の謎。2つのキーワードでたどり着いた本書。
ミステリにおける「日常の謎」という用語を知ったのは、米澤穂信氏のエッセーから。そこで紹介されていた『六の宮の姫君』を読んでみると、なるほどの良作。それが「私」を主人公とするシリーズの4冊目と知って、1冊目を手に入れたのが本書。作者のデビュー作にして、「日常の謎」の走り。好みの短編推理でもあったので、いまさらではあるが、紹介したい。
主人公の「私」は、女子大生。友人の「正ちゃん」との会話がよい。で、探偵役は、縁あって主人公と知り合う落語家の円紫師匠。(作中にときどき落語のミニ解説がまじる。)「私」が遭遇する謎を、話を聞くだけで解明して見せる。その切れ味とともに、背後にある物語の、上質な読後感が残る。
扉に宮部みゆき氏の、裏表紙に鮎川哲也氏の推薦文が掲載されている。不明ながら、この作者のことを知らなかった。(高村薫と間違いそうになった。ごめんなさい。)ミステリを読まないことにしていたにしても。文庫本が発刊された1990年代は、私が過労死レベルで多忙だった時期だとしても。作家の名前くらいは見かけていたはずなのに。
という訳で、「私」シリーズのうち、短編集は取り上げてみたいと思っている。
短編推理と、日常の謎。2つのキーワードでたどり着いた本書。
ミステリにおける「日常の謎」という用語を知ったのは、米澤穂信氏のエッセーから。そこで紹介されていた『六の宮の姫君』を読んでみると、なるほどの良作。それが「私」を主人公とするシリーズの4冊目と知って、1冊目を手に入れたのが本書。作者のデビュー作にして、「日常の謎」の走り。好みの短編推理でもあったので、いまさらではあるが、紹介したい。
主人公の「私」は、女子大生。友人の「正ちゃん」との会話がよい。で、探偵役は、縁あって主人公と知り合う落語家の円紫師匠。(作中にときどき落語のミニ解説がまじる。)「私」が遭遇する謎を、話を聞くだけで解明して見せる。その切れ味とともに、背後にある物語の、上質な読後感が残る。
扉に宮部みゆき氏の、裏表紙に鮎川哲也氏の推薦文が掲載されている。不明ながら、この作者のことを知らなかった。(高村薫と間違いそうになった。ごめんなさい。)ミステリを読まないことにしていたにしても。文庫本が発刊された1990年代は、私が過労死レベルで多忙だった時期だとしても。作家の名前くらいは見かけていたはずなのに。
という訳で、「私」シリーズのうち、短編集は取り上げてみたいと思っている。