少し偏った読書日記

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藤井聡太はどこまで強くなるのか

2023-02-04 07:00:00 | 読書ブログ
藤井聡太はどこまで強くなるのか(谷川浩司/講談社+α新書)

谷川さんが藤井さんの強さを分析した『藤井聡太論』の発刊が2021年6月。それから1年半を経て、藤井さんは五冠となり、今、名人への挑戦権獲得を目前にしている。(先日、永瀬王座に敗れて6勝2敗となり、広瀬八段と並んだが、まだ最有力候補であることは間違いない。)

この本は、予想を超える藤井さんの活躍ぶりをみて、特に史上最年少名人への挑戦という谷川さんが歩んだ道を、藤井さんが再現しつつある状況を踏まえて書かれたもので、主に2つのことが書かれている。

ひとつは、タイトルのとおり、藤井さんの強さについて。節目ごとのコメントをみると、藤井さんは、記録やその時々の勝敗よりも、「強くなる」ことを意識しているようにみえる。棋士にはピークがあることを念頭に、それまでにできる限りのことをする、という意識を持っているのだろう、というのが、谷川さんの見立てだ。また、藤井さんを倒すための戦略についても論じている。

もうひとつは、名人戦を中心とする将棋界の動向。実力制名人戦80年の歴史を俯瞰し、400年の名人の歴史をたどり、また、自らの名人獲得の道を振り返る。AIによって将棋界は変革期を迎えているが、その中心には、当面、藤井さんがいるだろう。

羽生さんとの王将戦。渡辺さんとの棋王戦。そして順位戦A級最終局。目が離せない対局が続く。