少し偏った読書日記

エッセーや軽い読み物、SFやファンタジーなどの海外もの、科学系教養書など、少し趣味の偏った読書日記です。

空のあらゆる鳥を

2023-08-25 20:34:29 | 読書ブログ
空のあらゆる鳥を(チャーリー・ジェーン・アンダーズ/東京創元社)

「ネビュラ賞・ローカス賞・クロフォード賞受賞の傑作SFファンタジイ」という宣伝文句に惹かれて読んでみた。

二人の主人公。ひとりは早熟な天才科学少年。もう一人は、なかなか覚醒しない魔法少女。子ども時代、周囲から浮いている二人は、壮絶ないじめに遭う。

大人になった二人は、それぞれ独自の使命を持つ秘密結社の一員として再会する。やがて、超大型のハリケーンによる地球滅亡の危機がせまり・・・という展開。

感想をいくつか。

前半はいじめの描写が続く。もしかしたらある種のギャグのつもりかもしれない、と思えるほど徹底的にいたぶられ、読むのがつらい。

大人になってからは、さまざまな要素が詰め込まれたドタバタ気味の展開ではあるが、十分に、読ませる要素はある。

科学VS魔法という構図の中で、科学の側が悪役っぽいのは、ファンタジーの定法かもしれないが、最先端科学の扱いが、少し雑な気がする。

SFというよりはファンタジーで、しかも子供向けの行儀のよい作品ではない。万人に受けるものではないが、異色のファンタジーを読みたい人はどうぞ、というところか。ちなみに、タイトルはほぼ原題どおりだが、あまり内容と合っていない。

「版元ドットコム」で書影が使用不可になっているので、いつもの猫画像を。


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