科捜研の砦(岩井圭也/角川書店)
今年7月に紹介した『最後の鑑定人』の続編。
作品の順番では続編だが、内容は前日譚。
前作では、科捜研を退職して民間の鑑定所を開いており、別れた妻が同業で「科学警察研究所」に所属している、という設定だったが、今作では、4つの事件を通じて、元妻との出会いから別れの予兆、そして科捜研での挫折が描かれている。
いずれも、主人公とは別の人物の視点で記述されており、それぞれの立場や思いと同時に、寡黙で常に理知的にふるまう主人公の姿勢が浮き彫りにされる。
そしてそれ故に、最終章での主人公の葛藤が際立って見える。
次の続編(ぜひ、書いてほしい)では、民間鑑定所での活動、特に、少し癖のある助手の活躍が見たい。
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