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物語は海上自衛隊ミサイル護衛艦「いそかぜ」の乗員達の、それぞれの人生と生活が時代を背景に紹介される。(イージス=盾)
如月行―貧しい母と暮らす10歳のある日、母の死で突然表れた実父に引き取られて心を通わせた祖父も失い、粗暴な父との凄絶な生活が思春期の行の内面を頑な変えていく。
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旧海軍技師だった父を見て艦長を志した宮津。その一人息子の隆史もまた防衛大に進み、後半年で卒業という時に不審の死で亡くなる。息子の通夜の晩に一人の男が宮津家を訪れる。
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仕事一筋で家庭に居場所をなくした仙石は妻から、娘の進学のために上京する機に別居したいと告げられる。動揺をかくす彼は、妻との話し合いがつかないまま次の任務で乗船する。
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仙石は休憩時間に一人絵筆を握ることで心を癒すが、その姿を行に見つかり話のきっかけを掴む。船内は幹部の入れ替えなどで乗員に不満がたまる。
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行は周囲に心を閉ざしたまま休暇で下船するが、地元民との喧嘩に巻き込まれたことで、先輩の田所や後輩の菊政と少し打ち解ける。
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艦には新たにFTGと呼ばれる訓練指導隊が多すぎる荷物とともに乗り込んで来る。洋上訓練を行なう「いそかぜ」に、航空機の爆破事故発生とともに救命、遺品の回収の命が下される。
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唯一の生存者-若い女性を救出するが、そのボートに憎しみの眼を向ける行。
彼女は船内にある物を積み込む任務を負っていた。
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時々不審な行動をする行を、田所や菊政が目撃して仙石に知らせるが、菊政と田所は共に不審な死に方をして艦内に動揺が走る。仙石は行と対峙する。
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やがて密命を帯びた行と敵対するFTGの正体が明かされ、宮津と仙石を巻き込んで艦は非常事態に・・・。事情を知らない乗員をボートで離艦させた「いそかぜ」は東京湾を目指し北上する。
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文庫本550ページの上巻は私の拙い要約力では、かなり省いてもこれだけ。
この作品の壮大さと読み応えを、ぜひ本好きの人に味わって欲しいと思います。
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