このブログは、北関東の地方都市の酒販店の息子に生まれながら、まったく日本酒に興味が無くむしろ否定的であった私が、”偶然の連続”で新潟淡麗辛口と出会い昭和五十年代初めから平成三年まで、”苦戦”しながらも正規取扱店として、〆張鶴、八海山、千代の光に取り組む過程の中で南会津の國権、伊藤勝次杜氏の生酛、嶋悌司先生の最後の”仕事”である久保田も全力で売ろうとしてきた前半と、平成三年以降”日本酒業界”を離れ会社員になっても変わらないお付き合いをさせて頂いている〆張鶴・宮尾行男社長、千代の光・池田哲郎社長、そして最初の出会いからおそまつで能天気だった私にとってありがたい大先輩の早福酒食品店・早福岩男会長、「酒は面白くて楽しいもの。酒は庶民の楽しみ」--------現在の私にとって当たり前と思えることを三十年という長い年月をかけて教えてくれた鶴の友・樋木尚一郎社長-------エンドユーザーの消費者としてきわめて恵まれた後半を送っている、私自身にとっての”日本酒”を書いたものです。
ブログタイトルの日本酒エリアNは、N元店主(当然ながら私ですが)が体験し経験してきたエリア(範囲)での私が感じてきた日本酒------という気持で付けたものです。
サブタイトルの(庶民の酒飲みのブログ)には以下の理由があります。
- 現役の酒販店時代の昭和五十年代初めから、苦戦しながらも、〆張鶴や八海山を月桂冠のようにエンドユーザーの消費者に晩酌で飲んでもらいたくて売っていたという経緯があった。
- 1の結果として私の店で圧倒的に分厚い層は、料飲店でもなければ酒のファン・マニアでもなく、一月に1~5本を買っていただく”庶民の酒飲み”の皆さんだったこと。
- 料飲店や酒のファン・マニアの皆さんは、”酒”そのものも”酒の情報”も自前で得られそれらを自前で”精査”できる環境を現在持っていますが、”庶民の酒飲み”の皆さんにはその環境がない。
- ”庶民の酒飲み”の皆さんにとってブログを中心にした”ネット上の話”は、ほとんど唯一の”情報源”ですが、狭い範囲でしかありませんが私が直接体験したことについて書かれた中にも、正確ではないものもかなりあり”誤解”と言えるものあるのでは-------と私自身が読んでいて感じていたこと。
- 上記のようなことを”独り言”でつぶやいていたら、当時中学生の息子に、「そう思うならお父さんが書いてみたら-----」と”軽い批判”と厭きれたことを感じさせられる口調で言われ、「なるほどそのとうりだ-----。もしかしたら自分が経験してきたことや感じていることを、自分自身のためにも書き残しておく必要もあるかも知れないし、ごくごく少数の人だけかも知れないが”庶民の酒飲み”のお役に立てるかも-------」と、おそまつで能天気な私らしい大きな”勘違い”をしたこと。
以上の理由からです。
私は昔のことを思い出しながら書いているうちに、私自身が日本酒と日本酒に関わる人達のことが大好きであることと、「酒は面白くて楽しいもの」という鶴の友・樋木尚一郎社長の言葉を改めて実感しましたが、同時に「酒の面白さと楽しさ」そしてきわめて魅力のある”日本酒業界の人達”のことも、一人でも多くの”庶民の酒飲み”に知っていただきたいと痛感したのです。
今の私は、酒造・酒販の日本酒業界は、もちろん現在存在する酒のファン・マニアの皆さんも大事にする必要があると思っていますが、日本酒を知る機会がなかったり親しみを感じていない特に若い”庶民の酒飲み”に「酒の面白さと楽しさ」を知ってもらう”努力”の必要性を強く感じています。
なぜならそうしなければ、現在若い需要層にほとんど”足場”のない日本酒が、淘汰の波が押し寄せている中で、他のアルコール商品と戦い本来あるべき位置へ向かっての”反攻”など有り得ないからです。
私個人は、日本酒そのものの将来には楽観的でけして悲観しておりませんが、酒造・酒販の日本酒業界は”庶民の酒飲み”の今後の動向いかんでその将来が決まってくると感じているので楽観的にはなれないのです。
できればこのブログは、日本酒には縁が無い、興味が無い、難しそうだから自分は知りたいとは思わない-------そう感じていられる”庶民の酒飲み”、特に若い方達に見て頂きたいと私は思っています。
その中で、一人でも二人でも「酒は面白くて楽しいもの」と感じてくれる人が存在したなら、妻や息子の”冷たい視線”に耐えながら私がこのブログを書いていることが、ほんの僅かですが意味があったと私自身が思えるからです--------。
蛇足ですが最後に、個々の記事を読まれる前に説明させていただきます。
- 中には短いものもありますが、このブログは私の周囲の人間から「お前のはブログじゃなくて短めの論文か」と言われるくらい長い記事がほとんどです。
- 読む方も”疲れる”と思われますが、長い記事のため書く方も”疲れる”ので記事の更新は一ヶ月に一回程度ですが、季節に関わらず”冬眠”する場合もあります。
- 極力日本酒の世界の”専門用語”は使わず、ふつうの言葉で書くように努めていますがやもを得ず使う”専門用語”の説明は省略しています。
その説明まで書いていると、長い記事がさらに長くなってしまうので、大変申し訳ないのですが、ネット上で調べていただくようお願いいたします。 - 基本的にトラックバックは歓迎なのですが、”歓迎できないトラックバック”が多く削除に追われた時期があったため、一度見させてもらってからブログに反映させていただいています。(コメントも同じように見せていただいてから反映させていただきます)
以上です。
長い記事ですが、時系列は「長いブログのスタートです」、「鶴の友についてシリーズ」、「日本酒雑感シリーズ」(伊藤勝次杜氏の生酛については日本酒雑感NO3~NO8に集中的に書いています)、「國権についてシリーズ」になります。
よろしかったら読んでみてくださるようお願いいたします。