11年3月の福島第一原発事故を受けて、脱原発、原子力エネルギーに頼らない、エネルギー政策に転換が叫ばれ、国民多数の関心を呼びました。その11年から3年が経過し、事故の記憶が徐々に薄れる中で、自民党政権による原子力発電所再稼動、原子力エネルギーへの依存、電力会社・原子力産業の巻き返しにより、元きた道に戻りつつあります。
自民党政権、電力会社、原子力関連産業は、国民の怒り、記憶が薄れるのを待っています。これは彼らの政治経済的な常套手段です。原子力発電所の再稼動、原発の輸出を既成事実化し、なし崩しで、全原発の再稼動、原子力エネルギー依存度を拡大する。これが彼らの狙いです。
日本は、北海道も再生可能エネルギーの宝庫であり、資源は沢山あります。ところが風力、地熱、バイオマスなどへの投資は資金と時間が必要となり、簡単には進みません。同時に、巨大な電力を他の地域に送る送電網の整備も遅れているために、発電しても送電できないという状況に陥っています。一企業が解決できる問題ではなく、国の政治課題として予算を使って促進すべき課題です。その政治課題を自民党政権に迫ること。原子力発電所の再稼動をさせないこととは国民の要求、運動としてどうしてもやらなければならない課題だと思います。
<北海道新聞社説>再生エネの普及 最適な構成を考えたい
経済産業省は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直しを進めている。導入から2年が経過したFITは、再生エネによる電力に高めの値段を設定し、電力会社に買い取りを義務づけた。再生エネの拡大を後押ししたことは間違いないが、コストの高い太陽光に偏り、電気料金に上乗せされる買い取り費用の負担増が懸念されている。
普及と負担抑制を両立させ、風力、地熱、バイオマスなど多様な電源をバランスよく発展させる仕組みにしなければならない。FITが始まった2012年7月から今年3月までに認定された再生エネ電源の容量は6864万キロワットで、導入前の3・3倍に上る。このうち約96%は太陽光だ。ところが、現実に稼働しているのは認定を受けた設備容量の13%にすぎない。
当初の買い取り価格が高額で建設も容易な太陽光に、申し込みが殺到した。加えて、土地や設備を事前に取得しなくても認定されるなど、制度設計にも甘さがあったと言わざるを得ない。
買い取り価格が高い時点で認定を受け、太陽光パネルが生産増で安くなるまで建設を遅らせて、もうけを狙う業者もいる。経産省は、6カ月以内に事業着手しない場合、認定の取り消しを決めた。再生エネの電気料金上乗せ額は、標準家庭で12年度の月額87円から14年度は225円に上がる。FITが消費者の負担で支えられている以上、認定審査の厳格化は当然だ。
一方、コストの低さから再生エネの主役と期待される風力や、世界有数の資源量を誇る地熱などはほとんど伸びていない。太陽光の買い取り価格は徐々に下がっており、他の電源は優遇してめりはりを付ける必要がある。
何より問題なのは、政府に再生エネを原発の代替電源に育てる長期的な戦略がないことだ。政府は、再生エネの普及を最大限加速させると言いながら、エネルギー基本計画では、30年に2割という従来の目標を脚注に記すにとどめた。
風力の適地・北海道では並行して送電網を拡充しなければならず、地熱の開発にも10年はかかる。政府の明確な方針抜きでは、企業は投資をためらうだろう。潜在力を生かすためにも、政府は再生エネの最適な構成を考え、それぞれに数値目標と裏付けとなる政策支援を打ち出すべきだ。