子供を対象とし、教育を利益の材料に使う感覚は正常な感覚とはかけ離れています。このような企業が教育に関与していることが異常なのではないか。文部科学省が外注して、採点を依頼する企業がベネッセであったと言う報道にはあきれるやら、自民党型政治と企業との癒着、本来であれば公的な機関、教師が行わなければならないような分野に利益を目的とする企業を参加させることに間違いの原因があるのだと感じます。
アメリカでは、教育が国、自治体から切り離され、民間企業に委託され、教育費用に削減に利用されていると報じられています。そのアメリカといい線を行くような日本の教育行政には驚きを感じます。口では、道徳を説き、国歌、国旗の掲揚を唱え、教育勅語まで持ち出す安倍、自民党政権の実態はこのような軽薄な倫理観、価値観しかもっていないことを示しています。
教育を受ける権利も危うくなっています。親の収入によって義務教育、高等教育の質的な内容に差が出来ることは異常ですし、憲法に保障された教育を受ける権利から見ても異常な行政です。教育は長期的に見れば、その社会の基礎的条件を決定するような人材の育成を担うものです。同時に、教育により差別のない社会を作り出すことも出来るはずです。安倍、自民党政権がそのような思考と行政をするはずはありませんが。不幸なことです。国家レベルでの損失です。
<琉球新報社説>顧客情報漏えい 個人情報の売り買いを許すな
通信教育大手ベネッセコーポレーションから大量の顧客情報が流出していたことが分かった。流出した情報は最大で約2070万件に上る可能性がある。社員以外の内部関係者が不正に持ち出したとみられているが、なぜこれほど大規模な個人情報を持ち出すことが可能だったのか。実態解明を急ぐ必要がある。
個人情報が持ち出されるのには理由がある。利益を生むからだ。持ち出した者は名簿業者に売って利益を得て、業者は情報を転売して利益を得る。購入した業者は名簿を基に勧誘を効率良く進めて収益を上げる。付加価値を帯びた個人情報が高値で飛び交う闇取引がまん延している。極めて不健全な社会だ。
今回のベネッセの顧客情報も三つの名簿業者への転売を経て、同じ通信教育市場に参入していたジャストシステムに販売されていた。同社はこの名簿を使ってベネッセの顧客にダイレクトメール(DM)を送っていた。
同社は「一部の報道でベネッセの情報と知って悪意を持ってDM発送したとありますが、そういう事実はありません」と説明する。しかし同社は名簿が出所不明だと認識しながら購入している。通信教育市場は少子化で激しい顧客の奪い合いが続いている。新規参入の同社が会員獲得を焦ってなりふり構わず情報入手に走ったとみられても仕方ない。
ベネッセの情報管理の在り方にも大きな疑問が残る。顧客データは同社のサーバーから昨年末ごろに複数回コピーされて持ち出されていた。今年初めごろには名簿業者に同社の顧客情報が出回っていたという。そもそも顧客データという重要情報に接続できる者はごく限定されていたはずだ。なぜ持ち出せたのか。持ち出されたことに気付かなかったのか。それとも把握しながら放置していたのか。厳重な情報管理体制が敷かれていたのか。多くの疑問が残る。
今回流出した顧客情報は子どもと保護者の名前、住所、電話番号、子どもの生年月日、性別などの個人情報だ。子どもが犠牲になる犯罪に使われたらどうするのか。警視庁は大規模な情報窃盗事件として不正競争防止法違反で強制捜査も視野に実態解明に乗り出している。ベネッセは情報漏えいの事実解明を進めるべきだ。個人情報を売り買いする社会を放置してはいけない。