アメリカの投資家が言うまでも無く、自国通貨が安くなって喜ぶような政権、政治家は異常、おろかとしか言いようがありません。日本のように資源小国で、資源、食糧、原油などを大量に輸入しなければならない国家にとって、通貨安は物価の上昇、海外への資金流出にしかなりません。
<東京新聞>円安進行、税で穴埋め 14年度予算は「1ドル=97円」
政府が二〇一四年度予算編成に当たって設定した為替レートが、実際の相場より円高の水準に設定され、追加的な財政負担が生じていることが分かった。十四日に閣議決定する一五年度予算案でも実勢と異なる為替レートが設定されれば、同様の事態が起きる可能性がある。 (中根政人、石川智規)
この為替レートは、海外から購入する物品などの価格を円換算する「支出官レート」と呼ばれ、財務省が予算編成を行う毎年十二月下旬に設定。このレートに基づき、翌年度の予算が組まれる。実際に取引する時点の為替レートが、支出官レートより円安だった場合は財源が不足するため、一般会計から穴埋めする。逆に円高の場合は、剰余金が国庫に返納される。
一四年度の支出官レートは一ドル=九七円。防衛予算での新型戦闘機F35の購入を例にとると、一四年度予算では、このレートに基づき「四機で六百三十八億円」の支払いを計上した。ただ、一四年度の支出官レートが決まった一三年十二月下旬の円相場は、一ドル=一〇四~一〇五円台で推移。この時点で、当時のレートと離れていた。
さらに、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の影響で円安は進行。最近の為替水準に従い、一ドル=一二〇円で実際に購入したと試算すると、支払額は七百八十九億円となり、差額の百五十一億円を税金で穴埋めしなければならなくなる。
財務省の担当者は、支出官レートの算出方法について「市場実勢を踏まえて、総合的に判断する。為替予測ではない」とだけ説明。一五年度の支出官レートは近く公表される予定で、実勢との差が焦点になる。
穴埋めの財源となる一般会計の「貨幣交換差減補填(ほてん)金」は、円安を受けて膨らむ傾向にある。従来は五百億円程度を毎年度、当初予算で計上していたが、一三年度は足りなくなり、補正予算も含めて約九百二十億円に上積み。一四年度当初予算では一三年度の予算総額とほぼ同額の約九百二十億円を計上しているが、円安が進めば足りなくなる可能性もある。
明治大公共政策大学院の田中秀明教授は「財務省が設定するレートが適切かどうか、検証する制度がないことが問題だ」と指摘している。
<支出官レート> 政府が毎年度の予算編成の度に設定する為替レート。予算上のレートで、実際に海外の企業・団体から各省庁が物品やサービスを購入する際に適用されるレートとは異なる。当初予算だけでなく、その後に編成する補正予算でも、原則として同じ支出官レートが使われる。2014年度は1ドル=97円、1ユーロ=128円、1ポンド=150円などと設定された。(東京新聞)