ギリシャの財政赤字とEUからの資金支援が依然としてEU全体の政治経済問題となっています。政治的な統合が進行しても、各国の財政計画、財政収支は各国政治、政権に任されており、その仕組み上の矛盾が常に、EUで政治経済の主要な問題として存在し続けています。他国が特定の国家を支援し続けることができるかどうか。その特定の国家が、先進工業国でない場合どうするのかも問われているのだと思います。経済活動が国境を飛び越えて、自由度を高めれば高めるほど、1つの国で解決不可能な問題が増加し続けてゆきます。アメリカの金融危機が先進工業国、大手金融機関を襲った時には協調融資、各国による財政利用による大量の資金供給が行われました。ギリシャは、アメリカに比べて小国だから無視してもよいのだとの論理は通用しないのだと思います。
経済活動をここまで、巨大化させ、国境を越えて活動させた付けをどうするのかが問われているのだと思います。利益を追求するのは自由だが、リスクは負わないとの論理が許されるとも思えません。また、資本主義、新自由主義の限界とその矛盾解決の策がないことの限界は、深刻です。
[アテネ ロイター]欧州議会選、ギリシャは反緊縮派が「歴史的勝利」宣言
欧州各国で実施された欧州議会選挙は、ギリシャでは反緊縮派野党の急進左派連合(SYRIZA)が最多票を集めた。アレクシス・ツィプラス党首は、緊縮財政策に対する勝利を宣言した。
急進左派が国政選挙で勝利を収めるのは近代ギリシャで初めて。ただ、与党との票差は同国の連立政権を揺さぶるのに必要とされる5%には届かなかった。
ツィプラス氏は26日朝早くに集まった支援者らに対し、「これは歴史的な勝利だ」と強調。「ギリシャが緊縮策を非難したため、欧州全域で話題になっている」とした。
欧州議会選挙では、極右や急進左派など、欧州連合(EU)統合に懐疑的な勢力が各国で躍進した。
ギリシャ内務省によると、開票率95%の時点で、SYRIZAの得票率が26.5%と、サマラス首相の率いる新民主主義党(ND)の22.8%を上回った。
SYRIZAは、アテネを含むアッティカ地域の知事選でも勝利を収めた。同地域は総人口の約3分の1を抱えている。同地域で急進左派の知事が選ばれるのは初めて。
サマラス政権は2012年の発足以来、EUと国際通貨基金(IMF)の金融支援プログラムの下、厳しい緊縮策を実施してきた。
ただ、連立を組む全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は大敗の予想に反し、8%の得票率を確保したため、ND・PASOK連合の合計得票率はSYRIZAを上回った。アナリストによると、これにより早期の総選挙の可能性は当面、なくなった。
【アテネ】ユーロ圏は26日、ブリュッセルで財務相会合を開き、ギリシャ問題を協議した。同会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は記者会見で、ギリシャがユーロ圏への残留を望むことは「これまでの合意(の順守)が適用されることを意味する」と指摘した。ユーロ圏は債務削減など支援内容の大幅な変更は認めない方針を示した。
ギリシャでは25日の議会選で勝利した急進左派連合のチプラス党首が新首相に就任。同党は選挙戦でユーロ圏に残留しながら、財政緊縮策を撤回し、ユーロ圏や国際通貨基金(IMF)に債務削減などを求める考えを表明してきた。
デイセルブルム氏はギリシャの次期財務相候補と電話協議したことを明かし、ユーロ圏への残留などギリシャの新政権の基本的な意向を確認したとしている。「次の段階は固まっていない」とも述べ、本格的な協議はギリシャの新政権が明確な方針を決めた後になるとの見方を示した。
ロイター通信によると、ドイツのショイブレ財務相はギリシャ支援について「債務削減は問題外」と発言した。ユーロ圏高官によると、ギリシャへの融資期間の長期化や金利引き下げなどによって同国政府は既に年間87億ユーロ(約1兆2千億円)の恩恵を受けているという。
ユーロ圏は、ギリシャが財政再建路線を維持するなら、小幅な見直しは容認する可能性があるが、他の支援国にも影響しかねない債務削減は受け入れられないとの姿勢を強めている。