地方都市が過疎化、財政規模の縮小、赤字化などで疲弊したのは自民党政権の無為無策がもたらした悪政の結果です。その責任はすべて、自民党政権にあります。その自民党がマッチポンプのようにその実態を自らの政権維持と宣伝に利用しようとしているのは笑止です。
そもそも、食料自給率の低下、農業者の減少、農地の減少は自民党政治の帰結であり、この総括と責任の明示こそが必要です。そのことを横に置いて、農地の転用、農地委員会の問題を云々しても責任を他に転嫁する言いがかりといえます。
食料確保、食料安全保障を考えることはエネルギー確保以上の重要な政治課題ですが、歴代自民党政権は大手企業、多国籍企業、アメリカなどの要求を次々と聞き入れたことからくる当然の結果でした。
<信濃毎日社説>農地の転用 重み増す自治体の責任
農地転用の許可権限を地方に移す改革案を政府がまとめた。地方が十数年来、国に求めてきた権限だ。改革案を受け、長野県内の自治体からも「商業施設や企業立地への転用手続きの時間を短縮できる」と、歓迎する声が聞かれる。
ただ、農林水産省が指摘した「農地が減り食料自給率の悪化につながる」との懸念は残る。地域の将来構想に効果的な農地の生かし方を描くことができるか。自治体の責任はより重くなる。
農地転用は現在、4ヘクタール超は農水省が、2ヘクタール超~4ヘクタールは農水省との協議を経て都道府県が、2ヘクタール以下は都道府県が許可している。
これを、4ヘクタール超は農水省と協議した上で都道府県が、2ヘクタール超~4ヘクタールと2ヘクタール以下は都道府県が許可する方式に改める。農水省が指定する市町村は、都道府県と同じ権限を得られる。
1960年に607万ヘクタールあった国内の農地面積は、2014年に452万ヘクタールまで減った。自給率はほぼ半減している。
農地を守るはずの農業委員会も商業施設や住宅地などへの転用を安易に許してきた面がある。「身内(農業者)に甘い審査」との批判が付きまとう。委員の選挙はあるものの、ほとんどは無投票で、活動状況も十分に公開されてきたとは言い難い。
政府は、農業委員の定数を半分に減らした上で選挙を廃止し、首長による選任制とする案を打ち出している。それでいいか。転用権限を受けるのに伴い、公正で透明な審査の仕組みを、自治体の側から提言してもらいたい。
農地転用だけが眼目ではないはずだ。新規就農者が農地を購入できずに困っている、農地の近くに農家レストランを造ろうにも農用地のため認可されない、といった問題が起きている。
各自治体は来年度、人口減少対策「地方創生総合戦略」を策定する。住民とともに地域の将来構想を練ることを通じ、本来必要な財源や権限、撤廃すべき規制を国に要請していくことが肝心だ。
「地方創生事業費」に1兆円が盛られ、今回、分権改革の目玉とされた農地転用の権限が移された。地方の言い分が通るほど、人口減少対策の結果責任は自治体に帰せられることになる。
住民も事の重要性を自覚してほしい。統一地方選が4月に迫っている。地に足の着いた方法で人口減少の難題に臨む覚悟はあるか。身近な首長や議員に誰を選ぶかがこれまで以上に大事になる。