安部、自民党政権は生活弱者、低所得者に対して、非常に冷淡な政治姿勢を取っています。この生活保護世帯への減額は、失業保険、公的な制度、支援にすべて連動しており、生活保護者の方だけの問題ではりありません。このような弱者切り捨てを放置すれば、一層の社会不安の増加、貧富の格差拡大を許すことになります。
多国籍企業、大手企業への優遇税制、支援策を改め、低所得者、高齢者、失業者への財政支出増加、対策こそ、日本の政治経済の問題を改善するために必要な対策です。
<東京新聞社説>
生活保護のうち家賃にあたる「住宅扶助」と冬場の暖房費などを賄う「冬季加算」が新年度から減額される。国が保障する健康で文化的な最低限度の生活水準がどんどん引き下げられていく。
政府は二〇一五年度から住宅扶助を段階的に国費で百九十億円、冬季加算を三十億円減らすことを決めた。本年度比で、住宅費は3・8%、冬季加算は8・4%の減額で、ともに過去最大。住宅扶助は地域や世帯人数ごとに上限月額が異なるが、東京二十三区の二人世帯で六千円減の六万四千円、埼玉県熊谷市で同一万円減の五万二千円となる。名古屋市は同三千円減の四万四千円。多くの受給者が転居を強いられる。
不可思議なのはあり方を検討してきた厚生労働省の審議会が取りまとめた最終報告に、引き下げを容認する言葉は見当たらないことだ。それどころか「生活保護制度での居住水準はあくまで、健康で文化的な最低限度の住生活の保障にある」など引き下げを懸念する記述が多い。委員からも「住居の転居で高齢者は認知症の悪化につながりかねない。自分はこの場所に住んでいてよいという安心感がすべての人に必要だ」と否定的な意見が相次いでいた。
にもかかわらず、政府は総務省発表の家賃物価の全国平均が〇八~一三年までに2・1%下がっているなどを根拠に決めた。審議会は何のために議論していたのだ。
高家賃住宅が増加する一方、低家賃住宅が減っているため、家賃平均額は上昇しているという研究者の報告もある。また、受給している単身世帯で、国が定める最低居住面積(単身で二十五平方メートル)を達成していない住居が現状でも五割を超える。審議会報告も「より適切な住環境を確保することが必要」と指摘しているのに、さらに悪化させることになる。
生活保護の受給者数は二百十七万人近くだが、約一割が十五歳以下の子どもだ。今回の決定で転校を余儀なくされる子どももいるだろう。また、長年住み続けた住居を追い出される高齢者は、新居を探すのも難しい。支援団体やケースワーカーは現在の上限額でも住宅を探すのは困難という。
住まいは生活の基本であり、劣悪な環境で健康を害したら自立への妨げにもなる。生活保護では、食費などの生活費に充てる生活扶助費がすでに下げられている。一方、新年度予算で法人税は軽減される。
政権は弱い人への配慮が欠如している。