神戸女学院大学教授 石川康宏さんの分析
財界奉仕者への転換を狙う
この間、大阪府、大阪市、民主党、みんなの党などが公務員給与の引き下げが必要だ。と主張して、実際に、給与カットを国会で決めました。生活苦に苦しむ人々からは「歓迎?」され、一種の「ガス抜き効果」も期待されているように思います。公務員給与に準じた給与体系を取っている職種、産業、企業は「引き下げ」に習って、その企業、組織の給与を引き下げることになっています。これは、働く立場で見れば、悪循環以外の何者でもありません。大手企業の労働者の賃金カット、抑制の口実にもなっています。この石川教授の分析は、「なるほど」と思える分析です。自分も、学習し、賢くなり、このような風潮を押しとどめる役割を果たしたいと思います。
<公務員バッシングの正体:財界奉仕者への転換を狙う>
「大企業が潤えば、やがて国民も潤う」という大企業第一主義の「構造改革」路線は、国民の絶対的な貧困化という形で破綻が明らかになりました。それにもかかわらずこの路線を継続しつづける。そのための国民ゴマカシの格好の手段として意図的に演出されているのが、公務員バッシングです。それは悪政を免罪させる手段であり、そのような悪政を政治に求める財界を免罪させる道具ともなっています。
震災後の猛奮闘
実際の公務員の働きですが、たとえば昨年の東日本大震災の現場には、公務員たちの自己犠牲的ながんばりが無数にありました。
ハローワークは、たいへんな量の業務をこなし、わずか2カ月で1年分の失業給付の支給を行いました。流された保育所を、ただちに再開していく努力も行われました。国土交通省の地方整備局は、寸断された道路15本を4日間で開通させ、さらには物資の輸送に不可欠だった仙台空港を、津波から5日目に復旧させました。
これらを担ったのは公務員です。全国から支援に入ったたくさんの公務員が、復興を願う地元の人たちやボランティアの人たちと力をあわせました。
私はこういう能力と責任感をもつ公務員をたたいて、つぶしていくのは日本社会の今後にとって大きなマイナスにしかならないと思っています。
いま私たちが行わねばならないのは、公務員バッシングという財界発の悪巧みに乗せられてしまうことではなく、逆にそのねらいをしっかり見抜いて、くらしの改善のために、公務員の仕事をいっそう充実させていくことだと思います。
国民の生活や命を支える国や自治体をつくろうとすれば、その具体的な仕事を行うのは公務員です。その公務員をたたくことで、市民のくらしが改善されるはずがありません。
全体の奉仕者が
この国の憲法は「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」(第15条2項)としています。そして「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(98条1項)とも書いています。
現在の公務員バッシングには、公務員を「全体の奉仕者」から「一部の奉仕者」に転換させるねらいが込められています。
公務員を全国民・住民のくらしを支える公務労働の担い手から、住民のくらしは二の次、三の次として、大企業に奉仕することを最優先する財界の手下に変質させようということです。
1960年代から70年代にかけて、全国各地に革新自治体がつくられました。最大時には全国民の43%がそれらの自治体で生活しました。「憲法をくらしの中に生かそう」が合言葉とされ、住民の生存権や学習権を守り、大企業による環境破壊を規制するために、自治体や公務員は大いに活躍しました。そもそも、そういう自治体をつくる上で、各地の公務員の労働組合は住民とともに大きな役割を果たしていました。
しかし70年代半ば以降、財界の強い巻き返しによって、革新自治体はつぶされ始めます。当時の社会党の路線転換が決定的な要因となりました。
これをきっかけに、80年代には財界指導者が政治の前面に出た「臨調行革」路線が推進されます。社会保障など革新自治体の取り組みの成果をこわし、さらに「財界の声が通りやすい国」をめざすというものでした。同じ時期に公務員の労働組合や、民間もふくめた全国の労働組合に対する攻撃が強められます。
財界奉仕者への転換を狙う
この間、大阪府、大阪市、民主党、みんなの党などが公務員給与の引き下げが必要だ。と主張して、実際に、給与カットを国会で決めました。生活苦に苦しむ人々からは「歓迎?」され、一種の「ガス抜き効果」も期待されているように思います。公務員給与に準じた給与体系を取っている職種、産業、企業は「引き下げ」に習って、その企業、組織の給与を引き下げることになっています。これは、働く立場で見れば、悪循環以外の何者でもありません。大手企業の労働者の賃金カット、抑制の口実にもなっています。この石川教授の分析は、「なるほど」と思える分析です。自分も、学習し、賢くなり、このような風潮を押しとどめる役割を果たしたいと思います。
<公務員バッシングの正体:財界奉仕者への転換を狙う>
「大企業が潤えば、やがて国民も潤う」という大企業第一主義の「構造改革」路線は、国民の絶対的な貧困化という形で破綻が明らかになりました。それにもかかわらずこの路線を継続しつづける。そのための国民ゴマカシの格好の手段として意図的に演出されているのが、公務員バッシングです。それは悪政を免罪させる手段であり、そのような悪政を政治に求める財界を免罪させる道具ともなっています。
震災後の猛奮闘
実際の公務員の働きですが、たとえば昨年の東日本大震災の現場には、公務員たちの自己犠牲的ながんばりが無数にありました。
ハローワークは、たいへんな量の業務をこなし、わずか2カ月で1年分の失業給付の支給を行いました。流された保育所を、ただちに再開していく努力も行われました。国土交通省の地方整備局は、寸断された道路15本を4日間で開通させ、さらには物資の輸送に不可欠だった仙台空港を、津波から5日目に復旧させました。
これらを担ったのは公務員です。全国から支援に入ったたくさんの公務員が、復興を願う地元の人たちやボランティアの人たちと力をあわせました。
私はこういう能力と責任感をもつ公務員をたたいて、つぶしていくのは日本社会の今後にとって大きなマイナスにしかならないと思っています。
いま私たちが行わねばならないのは、公務員バッシングという財界発の悪巧みに乗せられてしまうことではなく、逆にそのねらいをしっかり見抜いて、くらしの改善のために、公務員の仕事をいっそう充実させていくことだと思います。
国民の生活や命を支える国や自治体をつくろうとすれば、その具体的な仕事を行うのは公務員です。その公務員をたたくことで、市民のくらしが改善されるはずがありません。
全体の奉仕者が
この国の憲法は「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」(第15条2項)としています。そして「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(98条1項)とも書いています。
現在の公務員バッシングには、公務員を「全体の奉仕者」から「一部の奉仕者」に転換させるねらいが込められています。
公務員を全国民・住民のくらしを支える公務労働の担い手から、住民のくらしは二の次、三の次として、大企業に奉仕することを最優先する財界の手下に変質させようということです。
1960年代から70年代にかけて、全国各地に革新自治体がつくられました。最大時には全国民の43%がそれらの自治体で生活しました。「憲法をくらしの中に生かそう」が合言葉とされ、住民の生存権や学習権を守り、大企業による環境破壊を規制するために、自治体や公務員は大いに活躍しました。そもそも、そういう自治体をつくる上で、各地の公務員の労働組合は住民とともに大きな役割を果たしていました。
しかし70年代半ば以降、財界の強い巻き返しによって、革新自治体はつぶされ始めます。当時の社会党の路線転換が決定的な要因となりました。
これをきっかけに、80年代には財界指導者が政治の前面に出た「臨調行革」路線が推進されます。社会保障など革新自治体の取り組みの成果をこわし、さらに「財界の声が通りやすい国」をめざすというものでした。同じ時期に公務員の労働組合や、民間もふくめた全国の労働組合に対する攻撃が強められます。