春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

隅田川の桜

2005年04月09日 | 日記
総理招待の「桜を見る会」が新宿御苑で開かれた。今年の桜は例年に比べて開花が遅かったため、この時期、
ソメイヨシノが満開だ。総理招待の桜はいつも八重桜だったので、今年の招待者は運がよかった。

郵政民営化問題で緊張状態の小泉総理もこの時ばかりは上機嫌のようだった。桜を見る会の様子を昼のニュースでみたら、
どうしても隅田川の桜が見たくなり、浅草に行った。言問橋から桜橋にかけて川の両岸に連なる満開の桜が見事だった。
観光客を乗せた遊覧船や屋形船がひっきりなしに行き交う。花の下は大勢の花見客であふれていた。

言問橋周辺は東京大空襲の惨劇の場所だ。60年前の3月9日夜から10日未明にかけて米軍機が投下した焼夷弾で
下町一帯は火の海と化した。難を逃れてこの橋や川岸にたどり着いた人たちも大半が焼け死んだ。焼死者10万人。
墨田公園には東京大空襲の慰霊碑がある。その脇の桜も満開だった。

桜の季節になると、毎年、私は本棚から一冊の本を取り出す。栗田勇さんの『而今の花』だ。
桜をはじめ折々の花を通して日本人の心を読み解いてくれる。造詣の深さに驚く。文章も美しい。
この春には春秋社から新著『良寛』が発刊されるという。楽しみだ。