春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

田村重信著『民主党研究』

2005年06月13日 | 日記
一昨年の総選挙の最中に民主党は次の内閣の閣僚名簿を発表した。首相に菅直人氏、副総理(外交・行政改革担当)に
小沢一郎氏、文部科学大臣に鳩山由紀夫氏、無任所大臣(国会担当・幹事長兼任)に岡田克也氏、同じく無任所大臣
(地方主権担当)に長野県知事の田中康夫氏、財務大臣に元大蔵省財務官の榊原英資氏、国土交通大臣にゴールドマン
サックス投信株式会社元社長の山崎養世氏を据えた。名簿はこれだけ。たった7人の閣僚名簿だった。

当時、官房長官だった福田康夫氏は「仮想政権ですか。ご自由に」、公明党代表の神崎武法氏は「政権交代がないのに、
組閣をおもちゃにしてもしょうがない」と冷ややかなコメントだった。国民の多くも「選挙の結果も出ていないのに、
閣僚名簿を発表するなんておかしい。大臣ごっこに過ぎない」、知事と大臣の兼務に対しても「大臣の仕事は兼務でで
きるものではない。発想が間違っている」といった現職知事からの批判が続出した。

挙句の果て、岡田現代表は、「民主党は自らを『野党』とは呼ばない。『政権準備政党』と呼ぶ」と記者会見で発表、
これもまた顰蹙を買った。「一体、民主党は何を考えているのか」「民主党のやっていることは理解できない」「政策
もよくわからない」といった批判や疑問がいま国民の中に渦巻いている。確かに憲法や安全保障、外交、防衛、教育と
いった国の根幹にかかわる問題で民主党は明確な答えを出していない。

なぜか。民主党には「寄り合い所帯」という「構造的な問題」がある。自民党出身者と旧社会党出身者、つまり「水と
油」が一緒になっているのだから無理もない。出せば崩れる。だから出せない。そんな民主党をメディアは「二大政党
時代の到来」ともてはやすが、果たしてそうなのか。

自民党政務調査会副部長で慶應義塾大学大学院講師の田村重信氏が民主党の実態にメスを入れた。民主党の虚像と実像、
矛盾点を実証的に説明し、その実態を浮き彫りにしたのが本書である。一読をお奨めしたい。