経済団体主催の昼食会で元駐ロシア大使・渡邉幸治氏の講演を聴いた。演題は「東アジア共同体構想と日米中関係」。
渡邉氏は昭和9年生まれ、71歳。東大教養学部在学中に外交官試験に合格し、卒業と同時に外務省に入省。北米局
北米第一課長、情報調査局長、経済局長、サウジアラビア大使、外務審議官、イタリア大使、ロシア大使等を歴任し、
日本経団連特別顧問を経て、現在、日本国際交流センターシニア・フェロー。
東アジア共同体構想とは、ASEAN(東南アジア諸国連合)10ヵ国+日中韓の3ヵ国を中心に、貿易・投資・安全保障
などの各分野での地域統合を推進しようとするもの。同構想はもともとマレーシアのマハティール首相(当時)が提唱し、
熱心に推進していたが、2002年1月に小泉首相がASEAN5ヵ国を訪問した際、シンガポールで同構想を提唱したことに
より、さらに動きが加速された。
マハティール首相の東アジア共同体構想については、当時のベーカー米国務長官が反対を表明しており、また、アーミテージ
米国務副長官も同構想に中国が熱心であることに警戒感を示しつつ、米国抜きの設立準備に反対していた。日本はこうした
米国の動きも勘案し、インド、オーストリア、ニュージーランドを加えるよう主張し、ライス国務長官もこれを支持している。
結局、東アジア共同体構想をめぐっては、参加国を拡大し、「開かれた地域主義」を主張する日本と、参加国を絞り域内の
影響力を保持したい中国との主導権争いとなっている。渡邉さんはアジア局外務参事官、中国公使の経験があり、また本年
6月からは北京大学で日米中関係の研究をされており、日中間の問題を冷静に見つめている。
いま、中国で世論調査をすると、日本に対する反感が6割を占めるという。これは歴史の事実もさることながら、天安門事件
以降の思想教育によるところが大きく、これにマスコミの商業主義、つまり「反日」の記事を書くと新聞が売れるという商業
主義が追い討ちをかけているという。
今年12月、マレーシアのクアラルンプールで東南アジア諸国連合(ASEAN)+ 3(日中韓)の首脳会議に続き、
インド、オーストラリアなどを加えた東アジア首脳会議(サミット)が開かれる。ここで議題となる東アジア共同体構想は
わが国外交にとってきわめて重要なことであり、今後の推移が注目される。
渡邉氏は昭和9年生まれ、71歳。東大教養学部在学中に外交官試験に合格し、卒業と同時に外務省に入省。北米局
北米第一課長、情報調査局長、経済局長、サウジアラビア大使、外務審議官、イタリア大使、ロシア大使等を歴任し、
日本経団連特別顧問を経て、現在、日本国際交流センターシニア・フェロー。
東アジア共同体構想とは、ASEAN(東南アジア諸国連合)10ヵ国+日中韓の3ヵ国を中心に、貿易・投資・安全保障
などの各分野での地域統合を推進しようとするもの。同構想はもともとマレーシアのマハティール首相(当時)が提唱し、
熱心に推進していたが、2002年1月に小泉首相がASEAN5ヵ国を訪問した際、シンガポールで同構想を提唱したことに
より、さらに動きが加速された。
マハティール首相の東アジア共同体構想については、当時のベーカー米国務長官が反対を表明しており、また、アーミテージ
米国務副長官も同構想に中国が熱心であることに警戒感を示しつつ、米国抜きの設立準備に反対していた。日本はこうした
米国の動きも勘案し、インド、オーストリア、ニュージーランドを加えるよう主張し、ライス国務長官もこれを支持している。
結局、東アジア共同体構想をめぐっては、参加国を拡大し、「開かれた地域主義」を主張する日本と、参加国を絞り域内の
影響力を保持したい中国との主導権争いとなっている。渡邉さんはアジア局外務参事官、中国公使の経験があり、また本年
6月からは北京大学で日米中関係の研究をされており、日中間の問題を冷静に見つめている。
いま、中国で世論調査をすると、日本に対する反感が6割を占めるという。これは歴史の事実もさることながら、天安門事件
以降の思想教育によるところが大きく、これにマスコミの商業主義、つまり「反日」の記事を書くと新聞が売れるという商業
主義が追い討ちをかけているという。
今年12月、マレーシアのクアラルンプールで東南アジア諸国連合(ASEAN)+ 3(日中韓)の首脳会議に続き、
インド、オーストラリアなどを加えた東アジア首脳会議(サミット)が開かれる。ここで議題となる東アジア共同体構想は
わが国外交にとってきわめて重要なことであり、今後の推移が注目される。