春風駘蕩

いつの時代でもこうありたい

十二月のうた

2010年12月01日 | 日記
 熊はもう眠りました/栗鼠(りす)もうつらうつら/土も樹木も/大きな休息に入りました
 ふっと/思い出したように/声のない 子守唄/それは粉雪 ぼたん雪
 師も走る/などと言って/人間だけが息つくひまなく/動きまわり
 忙しさとひきかえに/大切なものを/ぽとぽとと 落としてゆきます

詩人・茨木のり子さんの「十二月のうた」。

近くのイレブンカットまで散髪に行くと言ったら、妻が「ついでに図書館に寄って茨木のり子さんの詩集を
借りてきて」と言うので一冊借りてから散髪に行った。

店は混んでいたが待つことにして、その間、この詩集を読んだ。
40分ぐらい待っただろうか、やっと順番がきた。そのときには、もうこの詩集を読み終えていた。

「汲む-Y・Yに-」という題の詩の中の「初々しさが大切なの/人に対しても世の中に対しても/
人を人とも思わなくなったとき/堕落が始まるのね 堕ちてゆくのを/隠そうとしても 
隠せなくなった人を何人も見ました」という一節が印象に残った。

今日から師走。この詩集の中に「十二月のうた」というのがあったので紹介した。