バーバの極楽トンボ

さー傘壽を超えた・・今からももうひと飛び

季節はずれの長雨

2011-05-13 16:45:23 | 原爆孤老のつぶやき・・
5月13日 

一週間降り続いた雨もヤット上がりお日様の顔を見ることが出来た。
長雨のあいだ昔、夫と二人で勝手気ままに歩いた旅のつれづれに、集めた珈琲カップのお掃除と整理をすることにした。

夫は何故か厳つい体に似合わず華奢で繊細なものが好みであったようだった。
      

それに引き換え小柄でなよなよしい私は荒々しい大雑把なものが好きであった。

珈琲カップを一つづつ手にとって見ていると、連れ立って焼き物を尋ねてあちこちの窯場を旅をした30年も前にふっと引き戻される。
     

大正生まれの夫は 赤紙一枚で兵隊になり何年間か中国の最前線に加わり生死の境を経験した話を語ってくれたことがあった。

そんな世界で生きてきた夫は その世界とは裏腹に美しいもの繊細なものに憧れたのかもしれない。
      

同じ意味では思春期だった私も原爆投下によって一瞬にして生死の境目に引き落とされたのだが、・・・

こんな不釣合いの夫婦ではあったが・・・それなりに静かな日々を送った。
その夫も五年前他界した。

             

何時の日だったかこのカップを二人して手に入れたとき、反目も無く共通の話題に花を咲かせたのであった。

戦後アメリカから逆輸入されたもので、七福神が描かれているのだそうだ。

65年前に日本はアメリカに敗れた、  その国からやって来たこのカップ・・・

二人の思いは違っていたかもしれないけれど・・・

何ともいえない存在感の有るカップだ。

夕方まで掛かって、思いのシッカリ詰まったカップで一服の珈琲を頂いた。

          甘露 甘露・・・