ねぎやんのしま人のたわごとパ-ト2

視覚障碍者、ねっしーのあれこれ日記・・・

お待ちかねミヤウチ5x32のいろいろ

2006-01-20 01:07:45 | ノンジャンル
今話題のミヤウチビノン5x32w
最後のwはワイドの意味なんだろうけどどうもちゃんねらの(wを連想してしまう。
で、まずは到着とともにでかい箱に入ってきた。
段ボールを空けるとピザ屋かい?と思うような箱・・・ちょうどMサイズのピザが入りそう。。。んなことはどーでも良いとして中を空けるとでかい双眼鏡、しかも今までに無いカタチというか佇まいをしているのにちょっとおどろき。


梨地シルバーとエンヂの塩ビレザーと黒のコントラストはけっこうお洒落、カタチはポロ2型の佇まいそのもの、往年のROSS双眼鏡を小さくしたと言えば良いのかな?これは好きずきな部分なのでとくにインプレも何もない。
後に書く光学系との兼ね合いなのでこれは仕方ない部分ともいえます。

で、いきなりですが視野と倍率に不信感があったので簡単な計測をしました。
まずは視野、一体何度くらい見えているのか?
部屋なので限界はありますがそれでも少しは手がかりになるかなぁ?
3m離れたところに双眼鏡の対物レンズが来る位置で固定、壁にスケールを貼り付けて覗くことに。
ぶっちゃけこれで得たデータはなんと10度51分(10.85度)???随分と少ない。
しかし両眼で見える範囲を測定したら12度55分(12.9度)
双眼鏡は両眼で見るのが当たり前なのですが、公表されているデータが単眼視として当たり前に考えていたことにちょっと恥ずかしくなりました。絵で描けば分かりますが二つの対物の離れた距離分、より広い視野を見渡せる事になりますわな。内向軸ズレをさせていれば別ですが。
因みにこのビノンはギリギリ許されている範囲で外向になっている気がします。
始め見たときにちょっとそんな印象を受けました。これは正確に計らないと数値としては公表出来ないのであくまで個人的感想。

さて、次に瞳径ですが何度か色々な方法で計りましたが6.38mmが私自身で計った結論でした。最初は簡単にスケール入りアイピースで見ましたが6.5mmくらいかなといった感じでした。電子ノギス計測では大体そんな数値が何度もでるので6.4mmとでもしましょうか?

公表データは5x32 231mAT1000m・・・これ計算すると瞳径6.4mm実視野は13度10分37秒(13.177度くらい)ですね。

うんうん、実視野は両眼ではまぁそれくらいあるし瞳径も計算と実測値が合致しますね。

では対物は・・・あれれ?何度計っても31.2mmくらい、んー困った。ゴムのプロテクターを外してしっかり計ってもその程度で32mmは絶対に無さそう。
もう一つ、ゴムを付けたまま計ると30.5mmくらいになっちゃう。。。口径食しちゃってらー(笑)
これは問題が・・・だってあーた、口径が小さいと言うことは・・・口径÷瞳径=倍率と教わっているのですが計算してみてください。
5倍ないぞい?

単眼視の場合の見掛け視界は11度×4.87倍=53度34分12秒(53.57度)・・・えっ?そんなに狭いの?んなばかなぁ
見掛け56度と60度と63度を持ってきて覗き比べ、単眼同士で見るきわめて目に悪い比較・・・56度よりはあるな、でも60度と同じくらいでそれ以上は無さそうと言う感じです。

アイカップは邪魔なので外したまんまなんですけどこのトリックはいったいどこに有るのでしょうか?

実視野が一番怪しいのでもう少し正確に計れば違うのだろうと思いますが生憎そこまでの元気がありません。誰か計ってください。
多分12度くらいが現実身が有るのですが(と言うか有って欲しい・・・)さてさて。

で、像質は日中はとてもハイコントラスト、色が濃いです。透明感もあります(視野の着色が少ないと言うことですかね。)歪曲もまずまずで湾曲も日中に関してはあまり問題になりませんね。とても良く見えると言うのが率直な印象です。舶来高級機の色つやを知ってしまうとなかなか国産の高級機ですらちょっとと思うのですが、こいつはかなり良いです。
逆光下でもめげません、しっかりと美しい像を維持します。
川の波間に反射する太陽光のきらめきは非常に美しく、羽を繕っている鳥達の姿も非常に素晴らしいです。

この機種の売りの一つであるポロ2型を使った恩恵も有りそうです。ポロ2型はプリズム自体接着剤で貼り付けて一体化させているので光量損失はポロ1型よりも少ないと思います。ポロ1型は張り合わせはしていなく、向かい合わせてセッティングしているだけですので空気接触面が2面増えてしまったとも言えますね。

何よりとにかくこのコントラストに一番寄与しているのはガラス材でもポロ2型だからでもなくそれはしっかりとした内面の墨塗りでしょう。
高級なつや消しではありませんが、プリズムやレンズのコバの墨塗りを見える部分しか確認出来ませんがそれでもやっていると言うことは、昨今忘れてしまったどこぞやの物とは対照的で、非常に良いことだと思います。

ポロ2型のメリットは全長を短くできることや接眼部にプリズムを近づけられるので射出面積を大きく取りやすく、よって広角又は瞳径を稼ぐには向いています。
但し全長は短く出来ても横にでかくなってしまいます。
それが全体のバランスを独特な物にしているのですが。

手に持って実際に使用すると大きくて少々持て余しますが、しかし全体のバランスが崩れていないのでプリズムハウスを持てば違和感は無いと思います。

ピントリングの位置は後方ですが、まぁお世辞にもやり易いとは言えませんね。
でも私個人としてはそれよりも滑り止めのOリングのお粗末な方がちょっと・・・と思います。
ローレット加工した上にOリングの溝を二本掘ってシリコンゴムとおぼしき物がはまる仕組みですがこいつが簡単に外れてしまいます。
無くても良いかともおもって外しているのですが、やっぱり滑ってやりにくいです。

視度補正の目盛りはH氏からメールでご報告頂きましたが、本体とは別に接着剤で取り付けてあるとのこと、で、こいつが剥がれるんだそうな・・・こりゃちょっとまずいねぇ。
ローレット加工と一緒に掘って欲しかったです。

見口はもう最低の部類に入ります。ちっともアイポイントに合っていません。
これは即変更してもらわないとせっかくの性能が台無しです。
とても全視野を望むのは無理です。
しかし、夜間はちょっとマシになるのは何ででしょうか?
瞳孔が開くとアイポイントの位置もズレるのでしょうかねぇ?んなはずは無いので目の方が変わるのでしょうか。


夜見るとちょうど笠井のロシア製ワイドビノとそっくりの見え方をします。
中心を過ぎると途端に尾っぽを引き始め、視軸と光軸にうるさく合っていないと途端に収差が派手に現れます。。
が、しっかり合わせるとそんなに大騒ぎするような崩れ方はしません。
視野50%位までは全く無問題、60%を越す当たりからちょこっと尾を引き始め周辺減光が始まる80%くらいから目立ち始めます。最外周では円周上に伸びますが私個人としてはさして気になりません。上出来だと思います。
湾曲によるピントのズレは大きいですが最外周でピントを合わせ直すと綺麗に点象を結びますのでフラットナーをぶち込めばこれは解消されますが、せっかくの高コントラストや中心のシャープネスは恐らく失われてしまうと思います。
コマや球面収差を嫌って安直なアクリル非球面(複合含む)なんぞ入れられた日にゃ安物に成り下がってしまうと思うのでこのままで良いと思います。(アクリルはレーザーピックアップだけで沢山です。)

また、射出瞳上方にケラレがあります。
多分プリズムを他の機種から流用したのでしょう、プリズムハウスの大きさの制約もあり難しいところですが、大きさやコストの問題等でこれは目を瞑っても良いかと思います。一般に影響は少ないです。

で、やっぱり安直な安っぽい物は作って欲しくないし、せっかくなので何か特徴を持たせた物の方が魅力が有ります。

わざわざ重いアルミや鉄を削りだしてプラをほとんど排除したと言うのも個人的には嬉しい事ですし、あのちゃちで軽薄なプラよりも好む人は多いと思います。

長期使っても安心感のある金属(あくまで感覚ですが・・・プラにも恐ろしい材料はいくらでもありますから)、そして高コントラストと中心の鋭像はこのクラスとしては特筆できると思います。
ミヤウチはどちらかというと星屋向けに色々と作っているようですが、これに関しては日中が似合います。
星見用を日中使っちゃダメなんて事は全くありませんし、瞳径が大きく視野へ目標物を入れるにも倍率が低く裸眼との違和感が少ないので非常に楽に導入出来ます。
実はこの双眼鏡、金属をあえて使い、重量も重く倍率も低く一般受けはしないだろう物を作ってしまった事から実は初心者ではなくハナからマニアをターゲットに生産を開始したと考える方が違和感が有りません。

双眼鏡を使い慣れた人がたまの息抜きに覗くのに適していると思います。

私はこいつでまた山へ登って雄大な雪原を見たくなりました。体力が付いてきませんが・・・。

この双眼鏡をちょっと見ただけでたとえば図体がでかくてたった3cmかよとか重くて使えないとか周辺の星像が悪すぎとか使い勝手悪すぎなど、そんな事いう人はではそれを克服し実現させるとどうなっちゃうか少しでも考えたこと有るのでしょうか?
難しい難題を抱えながらマニアの戯言である低倍率で大きな瞳径で広角、しかもギリギリの線で妥協してもらってその代りリーズナブルにと言うミヤウチの苦労が手に取って分かる今回の機種には頭が下がるばかりです。
分かる人が分かれば良いとは思いますが、やっぱりこいつを機会に一気に「本物」の双眼鏡を作り続けて頂きたいと思います。

改めてミヤウチに敬意を表したいです。

ところでミヤウチ・・・こんなに安く売って大丈夫なんかい?