ビルボ・バギンスがなぞなぞの戦いに勝ったものの、ゴクリは約束を守ろうとしませんでした。ビルボは、何気なくポケットに入れておいた指輪に指を通すと・・・、あら不思議!姿が消えてしまいます。
この魔法の指輪のお陰で、ビルボは何とか透明なまま逃げ出しました。
ようやくドワーフの仲間や、ガンダルフのもとにたどりつきますが、みんなはボルボに気づきません。姿が見えませんからね。
それでも、指輪を抜いて突然に現れたビルボを見て、彼らは驚くやら感心するやら・・・。
でも、ビルボはみんなには指輪のことはまだ内緒にしておきました。
そして、ようやく一行は霧ふり山脈を越えることができました。
出典:『ホビットの冒険』
怪物に遭遇したり、嵐にあったり、洞窟を彷徨ったり、・・・・まさに冒険です。
実際のボクたちの人生は、こんなことはめったに起きないことでしょうが、すべてを象徴的にとらえると、当てはまることがたくさん見えてきます。
幼児期の子どもにとって「怪物」はお母さんです。母親退治のお話はもうしましたよね。
嵐にあうことは、子どもの目から見た大人たちの世界。
洞窟を彷徨うのは、見知らぬ場所を歩いたり、見知らぬ人との出会い。
全部、幼い頃に思いあたることばかりです。
さて一行は、ゴブリンの追っ手や狼たちを逃れ、ワシの王たちが全員を助けてくれます。
出典:『ホビットの冒険』
さらにビヨルンという大男の力を借りて、ついに闇の森に入ることになります。
出典:『ホビットの冒険』
この闇の森を抜けると、彼らが目指す「はなれ山」が見えてきます。
でも、この闇の森で一行は大変な危機に陥るのです。
闇・・・・人間にとって普遍的に、恐怖を呼び起こします。
暗闇恐怖は、個人的なものではなく、人間にとって共通の恐怖なのです。
小さいころに叱られて押入れに閉じ込められたり、倉庫に入れられたりした人も多いでしょう。
* 押入れの冒険
毎年夏に行われている、子ども未来研究所主催の「グロースセミナー」では、まさにこの闇の森の体験をします。
北海道の士幌高原でのナイトハイクがそれです。
真っ暗な闇の中を、子どもたちが無言のまま約2.5キロ歩きます。渡されるのはグループに一つだけの懐中電灯。一本のロープにつかまり、メンバーがはぐれないようにします。
歩いている間は全員無言。
ヒグマが出没する危険と、闇の中を歩く恐怖。士幌高原はその時期は雨が多く、そうすると当然星も見えません。その闇の深さといったら・・・・手を伸ばすでしょ。その自分の手のひらが見えないんですからね。もちろん足元も見えません。
私たち大人は、担当したグループの後方10メートルぐらいを、懐中電灯なしで歩きます。
これが、とにかく怖い!子どもたちを後ろから見ていると、曲がり道をまわりながらそのまま暗闇に吸い込まれていってしまうような恐怖を感じるのです。
時折、見える真っ赤な二つの灯りは鹿の目。生臭いにおいは・・・・・たぶんヒグマです。
歩き終わると、そこには樹齢800年のミズナラの大木が待っています。彼らはその壮大な木に圧倒されます。無言のままミズナラの木に聴診器を当て、水を吸い上げる音に聞き入ります。まるでせせらぎのような音に驚き、生命を感じる瞬間です。
自由に話してもいいよ、と投げかけると、それまで抑えていた興奮が一気に飛び出します。子どもたちの眼が輝いているのを見るのはいつも感動的です。
こんな怖いことをする理由がどこにあるって?
怖いからこそするんですよ。
闇に潜む、実は何も危険な生き物がいなくても、闇には恐怖という生き物が住んでいるのです。そして、そこに息づく生命の神秘に気づくのです。
暗闇の中にいることや、無言でいることによって、おのずと内省的になっていきます。自分との対話が始まります。
自分との対話が始まるということは、「いまこの瞬間」の自分とかかわることができるということです。今の若者は、テレビゲームをやったり、テレビを見たり、携帯メールをしていたり、いろいろと忙しい時間をすごし、なかなか自分と一緒にいる時間をとることができません。
ぼんやりと、景色を見たり、空を見上げたり、風を感じたりすることよりも、外部から一方的に与えられる刺激に身を委ねていると、「自分」がいなくなっていきます。
そういえば、「ダイアログインザダーク」を知っていますか?
私の『わくわくする自分に出会う本』でも紹介しましたが、暗闇を体験するワークショップです。
人工的に作り出した、暗闇の中を、目の不自由な方に案内をしてもらいながら歩きます。階段があったり、草花や、干草があったり。目の感覚を奪われた私たちは、触覚や嗅覚を使いながらよたよた歩きます。水に触れたときは感動したなぁ。
HPを見てみたら、ちょうど6月11日から青山のこどもの城で実施されるみたいですよ。是非一度は体験してみることをおすすめします。
さてさて、今回はこれぐらいにしておきましょう。
それではまた次回を。
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『わくわくする自分に出会う本』
柴崎嘉寿隆著/KKロングセラーズ刊/950円
【概要】
大好評の『自分セラピー』に続いて第2弾。おとぎ話が解き明かすあなたの心の真実。
大好きなお話の主人公はしあわせになっているのに、私は・・・。この違いと隠されたヒントを見つけ出していきます。
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NPO法人子ども未来研究所 http://www.cof.or.jp/
クエストセラピスト養成スクール http://www.questnet.co.jp/
この魔法の指輪のお陰で、ビルボは何とか透明なまま逃げ出しました。
ようやくドワーフの仲間や、ガンダルフのもとにたどりつきますが、みんなはボルボに気づきません。姿が見えませんからね。
それでも、指輪を抜いて突然に現れたビルボを見て、彼らは驚くやら感心するやら・・・。
でも、ビルボはみんなには指輪のことはまだ内緒にしておきました。
そして、ようやく一行は霧ふり山脈を越えることができました。
出典:『ホビットの冒険』
怪物に遭遇したり、嵐にあったり、洞窟を彷徨ったり、・・・・まさに冒険です。
実際のボクたちの人生は、こんなことはめったに起きないことでしょうが、すべてを象徴的にとらえると、当てはまることがたくさん見えてきます。
幼児期の子どもにとって「怪物」はお母さんです。母親退治のお話はもうしましたよね。
嵐にあうことは、子どもの目から見た大人たちの世界。
洞窟を彷徨うのは、見知らぬ場所を歩いたり、見知らぬ人との出会い。
全部、幼い頃に思いあたることばかりです。
さて一行は、ゴブリンの追っ手や狼たちを逃れ、ワシの王たちが全員を助けてくれます。
出典:『ホビットの冒険』
さらにビヨルンという大男の力を借りて、ついに闇の森に入ることになります。
出典:『ホビットの冒険』
この闇の森を抜けると、彼らが目指す「はなれ山」が見えてきます。
でも、この闇の森で一行は大変な危機に陥るのです。
闇・・・・人間にとって普遍的に、恐怖を呼び起こします。
暗闇恐怖は、個人的なものではなく、人間にとって共通の恐怖なのです。
小さいころに叱られて押入れに閉じ込められたり、倉庫に入れられたりした人も多いでしょう。
* 押入れの冒険
毎年夏に行われている、子ども未来研究所主催の「グロースセミナー」では、まさにこの闇の森の体験をします。
北海道の士幌高原でのナイトハイクがそれです。
真っ暗な闇の中を、子どもたちが無言のまま約2.5キロ歩きます。渡されるのはグループに一つだけの懐中電灯。一本のロープにつかまり、メンバーがはぐれないようにします。
歩いている間は全員無言。
ヒグマが出没する危険と、闇の中を歩く恐怖。士幌高原はその時期は雨が多く、そうすると当然星も見えません。その闇の深さといったら・・・・手を伸ばすでしょ。その自分の手のひらが見えないんですからね。もちろん足元も見えません。
私たち大人は、担当したグループの後方10メートルぐらいを、懐中電灯なしで歩きます。
これが、とにかく怖い!子どもたちを後ろから見ていると、曲がり道をまわりながらそのまま暗闇に吸い込まれていってしまうような恐怖を感じるのです。
時折、見える真っ赤な二つの灯りは鹿の目。生臭いにおいは・・・・・たぶんヒグマです。
歩き終わると、そこには樹齢800年のミズナラの大木が待っています。彼らはその壮大な木に圧倒されます。無言のままミズナラの木に聴診器を当て、水を吸い上げる音に聞き入ります。まるでせせらぎのような音に驚き、生命を感じる瞬間です。
自由に話してもいいよ、と投げかけると、それまで抑えていた興奮が一気に飛び出します。子どもたちの眼が輝いているのを見るのはいつも感動的です。
こんな怖いことをする理由がどこにあるって?
怖いからこそするんですよ。
闇に潜む、実は何も危険な生き物がいなくても、闇には恐怖という生き物が住んでいるのです。そして、そこに息づく生命の神秘に気づくのです。
暗闇の中にいることや、無言でいることによって、おのずと内省的になっていきます。自分との対話が始まります。
自分との対話が始まるということは、「いまこの瞬間」の自分とかかわることができるということです。今の若者は、テレビゲームをやったり、テレビを見たり、携帯メールをしていたり、いろいろと忙しい時間をすごし、なかなか自分と一緒にいる時間をとることができません。
ぼんやりと、景色を見たり、空を見上げたり、風を感じたりすることよりも、外部から一方的に与えられる刺激に身を委ねていると、「自分」がいなくなっていきます。
そういえば、「ダイアログインザダーク」を知っていますか?
私の『わくわくする自分に出会う本』でも紹介しましたが、暗闇を体験するワークショップです。
人工的に作り出した、暗闇の中を、目の不自由な方に案内をしてもらいながら歩きます。階段があったり、草花や、干草があったり。目の感覚を奪われた私たちは、触覚や嗅覚を使いながらよたよた歩きます。水に触れたときは感動したなぁ。
HPを見てみたら、ちょうど6月11日から青山のこどもの城で実施されるみたいですよ。是非一度は体験してみることをおすすめします。
さてさて、今回はこれぐらいにしておきましょう。
それではまた次回を。
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『わくわくする自分に出会う本』
柴崎嘉寿隆著/KKロングセラーズ刊/950円
【概要】
大好評の『自分セラピー』に続いて第2弾。おとぎ話が解き明かすあなたの心の真実。
大好きなお話の主人公はしあわせになっているのに、私は・・・。この違いと隠されたヒントを見つけ出していきます。
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NPO法人子ども未来研究所 http://www.cof.or.jp/
クエストセラピスト養成スクール http://www.questnet.co.jp/