自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

アンデルセン『雪の女王』

2008-06-29 21:59:26 | 児童文学
毎年1回だけ、6回セッションの「大人のための児童文学セラピー講座」を開催しています。

今日はその2回目。

ボクが、ファンタジーを読み始めて、どれだけ救われたのかは、とても説明できません。
人生で、これほど本を読んだことはないというほどに、毎日何かを読み続けています。
「子ども向けの魔法の物語」といった程度にしか、理解していなかったこのジャンルの作品群は、亡くなった河合隼雄先生が「ファンタジーこそ、失われた大人のイマジネーションを回復する素晴らしい文学」なのです。
仕事上の悩み、人間関係のいざこざ、袋小路に迷い込んでしまったような数々の問題の答えが、ファンタジーに記されているのです。
それでも、所詮現実ではない・・・という批判もあるでしょうが・・・まぁとにもかくにも読んでみてください。

さて、2回目のテーマは、アンデルセンの『雪の女王』

カイとゲルダのお話です。
ある日、カイの目に悪魔が作って壊れてしまった「よこしまな心を映し出す鏡」の破片が刺さってしまいます。
やがてカイは、雪の女王に連れ去られてしまいます。
ゲルダは、カイを探して旅に出ます。
このゲルダの旅のプロセスに、女性が自立していく上での、大切な秘密が隠されているのです。

大きな課題ですが、この「自立」は多くの人(女性)にとって興味深いテーマだと思います。

物語の詳細はここでは省きますが、トナカイが魔女に「ゲルダに雪の女王に立ち向かうための力を与えてほしい」と懇願する時の、魔女の言葉が印象的です。

「私はね、ゲルダが今持っている力よりも大きな力をやることはできないよ。ゲルダの力がどんなに大きいか、お前にはわからないのかい?
どんな人間でも動物でも、あの子のためには、どうしても助けになってやりたくなるじゃないのかい?だからこそ、はだしでこんな世界の果てまで、来られたんじゃないか。
あの子の力は、私たちなんかからおそわるにはおよばないんだよ。
その力は、あの子自身の心の中にあるんだもの。つまり、あの子の優しい、罪のない心が、とりもなおさず、力なのだよ。・・・」

男まさりになる事だったり、知識を身につけたり、男に負けない技術を身につけたりすることではなく、女性らしさを使う事が一番の自立への近道。

ひと昔前は、「男のような女性」が・・・つまり、男に代わって男のように力を発揮する事が「女性の自立」のように思われていたこともあります。
今でもいるかもしれませんね。政治家の女性の中に・・・。

でもそれは、「偽りの男性性」でしかないわけです。

最近は、女性らしさをふんだんに表現しながら現実生活の中でビジネスや社会生活の中でサクセスしている女性を沢山見かけます。
すてきなモデルが現れてきた事は、世の女性たちにとって素敵な事ですね。

それに比べて男性はどうでしょうか?
どうも、力を誇示したり、権力をひけらかす方法以外の「男らしさ」を表現している人を、なかなか見つけられないような気がします。

だれか・・いますかねぇ?



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