自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

『パパの電話を待ちながら]』ジャンニ・ロダーリ

2013-04-06 17:32:01 | 児童文学
寝る前にお話をしてもらう。


そんな幼い頃の思い出のある人は、本当に豊かな心を育ててもらっていると思う。


お話は空想から生まれる。


その空想が、時には本当のことになることもあるし、荒唐無稽なままのこともある。


それでも、お話の価値は全く変わらない。


人の想像する力は、どこからやってくるのだろうか?


それは、無意識からの贈り物であり、同時に未来からの手紙でもある。


以前紹介したことのある「チポリーニの冒険」と言うお話を書いたジャンニ・ロダーリの作品。


『パパの電話を待ちながら』


このお話は、出張が続くパパがなかなか会えない娘に、毎晩電話でお話を聞かせる、という設定になっている。





電話代もかさむので、みんな短いお話ばかり。



チョコレートの雨が降ってくる街や、アイスクリームでできている街。



そんな街があるはずもないのだけれども、パパのお話に無条件にひきこまれていく。空に浮くビーチパラソルもあれば、鼻が逃げて行ってしまうお話も。



そんな中でボクのお気に入りのお話は「回転木馬」



ある海岸沿いの小さな街に古びた回転木馬があります。


馬が六頭と赤いジープが六台。


変わりばえのない、どちらかというと古めかしい回転木馬を、小柄な肌の浅黒い男が一人で押していました。


子どもたちはその回転木馬が大好きで、家族で海水浴や他の面白いことをしようと誘っても、みんな回転木馬がいいと言う。


親たちはそんな古い回転木馬の何が面白いのか首をかしげてしまいます。


ある晩、おじいさんが孫をジープに乗せ自分も木馬にまたがります。


足がついてしまうほどに小さな木馬。


とこらが、男が動かし始めると、あっという間に空に飛んで行きます。

馬は空を駆け上がり、街を見下ろし、やがてこの地方が一望できるようになり、半島が、地球が見えてきます。


地球からも次第に離れて行き、ふとみると孫のジープが宇宙船になって追い越して行くのです。


他の子供達を含めて誰一人不安げな子供はいません。


回転木馬に乗り込む時に聞こえていた音楽だけはそのままなり続けています。


そして地球をめぐりやがて音楽が終わるのと同時に、元の場所に戻ります。


「そうか、これが人気の秘密だったのか」と、老人はつぶやきます。


そしてこうつぶやきます。


「このことは誰にも話すまい。いい年をして回転木馬に乗るなんて、危ないだろうにと、笑われるだけだろうからな」


ファンタジーの世界は、誰にも理解されないし、誰もが子ども地味たこと、と思うかもしれない。


でも、ボクは知っている。


どれほど、生きる世界が豊かになっていくのか。


老人と違って、ボクは声だかに伝え続けますけれどね(^^)

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