自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

人生の大切などこか・・・『流星ワゴン』

2012-02-13 07:10:27 | おもしろかった本
2日間、東京と合わせると4日間、物語にどっぷりと浸っていました。



もうどれだけの物語に触れたんだろう。



一つ一つの物語にあるそれぞれの人生に、ただ精一杯生きてきた一人一人にこうべを垂れる心境になるのです。



たまたま、重松清の作品を新幹線の中で読んでいました。


『流星ワゴン』


会社のリストラ、息子の引きこもりと暴力、妻の浮気、死にかけの父親から小遣いをもらう自分に、何もかも嫌になって死にたくなってしまった主人公の一雄。



その一雄の前にホンダの「ワインカラーのオデッセイ」が停まる。





助手席には男の子が乗っていて、その父親が運転している。


彼らは数年前に事故でこの世を去った父子。


一雄はその車に乗り込みドライブをする。


そして、「人生の大切などこか」に連れて行ってくれるのです。



もちろん、過去に戻ったところで、過去を変えることはできないのだけれども、一雄は「やり直し」を試みる。


バック・ツー・ザ・フューチャーのように、その後の人生を大きく変えてしまうようなアメリカンな話の展開ではないのだけれども、ほんの一ミリの変化を作り出していく。


ボクも妄想した。


「人生の大切などこか」に連れて行ってくれるとしたら、それはいつ頃のどこなんだろう…と。


物語では、自分でそれを選ぶのではなく、ワゴンの父子が連れて行く。


だから、一雄にとっては思いもかけない時と場所。


そして、気づいていなかった「大切な瞬間」にもう一度向き合うことになるのです。


小学校の時に父親に裏切られたと勘違いして、、大泣きしたあの日だろうか。


高校の時の部活の、みじめな敗北を喫したあの試合だろうか。


あるいは社会に出てからの、あの屈辱的な大失敗の日だろうか。


妙なプライドにこだわり、自分だけじゃなくて周りも最悪な状況にに巻き込んだあのときか・・・・。



思い出すだけでも「やり直したいその瞬間」がいくらでも思い浮かんでくる。


主人公の一雄が連れて行かれた、その「どこか」には、38歳の主人公と同じ年齢の主人公の父親が登場する。


今ボクは58歳。


同じ年齢の今は亡き父親に出会ったら、どんな話ができるだろうか。


4人会でワイワイガヤガヤ話すをするように、軽い話ができるのかどうか…正直自信はない。


きっと無口な父は、自分からボクに何かを話しかけてくれることはないだろうし。


でも、何かが違うかもしれない。


もしその場面に連れて行かれたら・・・・・


物語が、今までには味わったことのないイマジネーションの旅に連れ出してくれた二日間だった。





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