自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

「ぼくは、ウェストールがすきだ」宮崎駿の言葉

2010-01-25 07:30:43 | 児童文学
「ぼくは、ウェストールがすきだ」

これは、ある本の帯に書かれている宮崎駿さんの言葉です。


ボクは、幼いころから、泣き虫で臆病だったことは以前のブログにも書いた通りなのですが、そのせいもあって冒険らしい冒険をした覚えがほとんどありません。


自分ひとりで、何かに立ち向かうとか、知らない場所に一人で行ってみるとか・・・・。

5歳ころに新宿御苑に母親と親戚のおばさんやいとこと行った時のこと。

一日ものすごく楽しかったのでしょう、ボクは歌を歌いながらご機嫌でした。

帰り際に、新宿御苑の門のところで、母親から「こおりざとう」のお菓子を手のひらいっぱいにもらって、ほっぺたがふくらむほどに氷砂糖をいっぺんに口に入れてふむふむ歌いながら、門の外に出ました。


しばらく行ってから、ふと振り返ると、誰もいないのです。

母親も、親戚のおばさんもいとこもみんな。


その時のボクの驚きようと言ったら、ものすごいものでした。

びっくりして、だいすきなこおりざとうを、口から全部道端に吐き出して、「おかーしゃーーーーん!」と叫んだのです。



その場面をボクは今でもはっきりと覚えています。


結局、門の内側で、ボクがいなくなってしまったことでみんなが探していただけなのですが。


そんなわけで、ボクの子どもの頃には、これといった冒険談は何一つないのです。

『海辺の王国』ロバート・ウェストール


これは、以前のブログでも紹介した、『”機関銃要塞の少年たち』や、『かかし』の著者でもある、ウェストール。


「ボクは、ウェストールがすきだ」なんて、宮崎駿さんの言葉は、この本の魅力を一言で語ってしまっているようです。




ウェストールには、子どもの頃の、それも少年の心が今でもはっきりと残っているかのように、イキイキとその様子がものがたりの中で語られます。



イギリスの作家で、どれも第2次世界大戦の頃のお話なのですが、とくに戦争のにおいが強いわけではなく、その戦争のせいで、否応なしに冒険しなければならなくなる少年の様子を描いているのです。


戦争による悲壮感ではなく、少年の目を通してきらきらとした世界や人間たちが描かれているのです。


文学は、読み手のすることのできなかった体験を自分の代わりにしてくれる…といわれています。

ボクも、そしてもしかすると、宮崎さんも、このウェストールによって、幼いころにできなかった冒険をさせてもらっているのかもしれない。

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