自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

森の中のトロル Part.Ⅱ

2006-05-12 18:54:03 | ファンタジー
(5/10のつづき)                                                         耳をつんざくように聞こえたそのベルに驚いて、ボクは大慌てで荷物を持って列車から飛び降りました。
パニックになったボクは、ものすごいスピードでホームを走って、前から後ろまで車両を覗き込みました。
「もしかしたら、お父さんが乗ってたのかもしれない。」
「待っていなくて、お父さん怒ってるかもしれない」
「うぎゃーーーっ」
 ・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・
列車が行ってしまった後も、ボクは興奮したまま、ホームの階段をかけおりました。当時の駅にはホームの階段の下にも簡易改札があって、そこには二人の駅員さんがいました。
ハァハァ息を切らせながら、事情を説明すると、
「この後の列車の切符に切り替えてあげるから、それに乗っていきなさい」
と言われたのです。

すぐその後に、母親に電話をして
「おとうさんが来なかった。どうすればいいの?」と叫びました。
おかーしゃんは、のんきなもんで「待ってれば来るわよー」・・・・と。

・・・・・・・ん?

でも、次の列車を待っても、結局父親は来ませんでした。
ボクはものすごく落ち込んで、家に帰りました。
「おとーさんのバカ」
「ボクは裏切られた」
「いつも、時間に遅れる、二度と信用なんかするもんか」
「結局ボクのことなんか、関係ないんだ」

ありとあらゆる、悪口を言いながら、半べそをかきながら帰りました。

そして家に着くなり、すぐに布団に顔をうずめて大声を上げて泣きました。
ただただ、泣き続けました。
ボクの心は「裏切られたこと」のショックで、ずたずたになっていたのです。
悔しかった・・・・

しばらくすると、家の電話が鳴りました。
おかーしゃんが誰かとしゃべってます。
電話を切った母親が、
「おとーさんからだったわよ。かずが(ボクのことです)列車に乗ってなかったって」
「おとーさんはね、八王子駅から乗り込むことになってたんだって」
「お母さん、知らなかったわー」

ボクは  ボクは   いったい・・・・・

あの一連の出来事は、今でも鮮明に心に焼き付いています。
晴れ渡った空を見ることもなく、とぼとぼと帰った駅からの道。
部屋に入るなり、母親に当り散らしながら布団に顔をうずめた感触。

「人は信用できない」
「信用すると傷ついてしまうこと」

この固まってしまった心の中の「石」は、長い間ボクを苦しめました。
グリム民話の忠義のヨハネスは、王子の真心がヨハネスを人間の姿に戻しました。
ナルニア国の住人たちは、アスランの愛の吐息で凍り付いていたからだから息を吹き返します。

私たちの心の「石」も、セラピストや信頼するパートナーの愛や優しさによって、必ず癒えていきます。
もちろん、あなた自身があなたを、癒すこともできるのです。
あなたにとって、あなた自身が最高のセラピストですからね。

―――*―――*―――*―――*―――*
長い長い寄り道でした。

ビルボたちは、エルフたちの素敵な館で一息入れて、いよいよ「霧ふり山脈」を超える道を踏み出したのです。
この霧ふり谷で、ビルボは「あの指輪」を手にすることになるのです。


クエストアートセラピスト養成スクール

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3 コメント

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オーノー!! (はちみつ)
2006-05-12 21:14:49
柴崎少年・・・。

心が痛い。

 

(何故か心の中のBGMは『コンドルは飛んでいく』…。笑)



愛とか優しさって、ホントに強いんだなぁ。

ふんわりとした響きなのに、ゆるぎない。

血が流れているから痛みも感じるけど

あたたかさも感じる。

硬くなったココロにも、流れだすわくわく感がたまらない!!



…あの日の柴崎少年に、久石 譲の『summer』を。
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泣いた (ちゃい)
2006-05-13 11:10:06
このかんじ、、、どうしようもない想いというか。。石化せざるおえない、心の出来事を感じました。



うっかり、涙したー。切な過ぎる。



柴崎少年を抱きしめたい。

でも、先生は抱きしめないけど!



うひひ

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Unknown (yoko)
2006-05-15 18:57:59
おとうさま、そっか、八王子から…。

おかあさま、そんな…。



うぅ。



石になるしかない。



でもおとうさまはほんとうはちゃんと待っててくださったんですね。



そっか。。





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