繁浩太郎の自動車と世の中ブログ(新)

モータージャーナリストとブランドコンサルタントの両方の眼で、自動車と社会をしっかりと見ていきます。

ホンダは、なぜ自前主義だったか?

2016-11-01 18:59:45 | 日記

ホンダらしくなくなる? もうなっている? 今回はチト変なテーマです。

ホンダは10月31日の決算発表会見で、「国内自動車メーカーによる提携が活発化しているがホンダの考え方は?」と質問され、倉石誠司副社長が答えた。

「すべて単独でという時代ではない。双方にとってウィン・ウィンの関係なら積極的にやるべきだと思っている」。

 

ホンダは何故、自前主義で、独自の道を歩いてきたのか? 

90年代の三菱自動車と提携かという噂に対しても、当時の吉野社長は毅然とあり得ないと答えている。

 

答えは簡単で、自分で手を汚さないと技術の本質がわからず、次の「やらまいか」につながらないからである。

「やらまいか」・・・

果敢に未知に向かってチャレンジし、その中で粘り強く必死に創造作業をするから、誰もやっていない新しいことが出来る。

 

つまり、機能買いと言って、ブラックボックスを買っていては、その技術の本質をしらないまま使うことになる。

これは、次にこうしたら何が起こるというような事がわからなくなるということだ。

 

ホンダは80年代にサンルーフが流行りだしたときも、サンルーフ専門メーカーから買わずに、自分達で設計した。

買うと高いというケチなとこもあったかも知れないが(笑)。

 

当然、サンルーフ設計担当になったホンダの設計者はそれまでサンルーフなんて設計したこともないから、専門メーカーのようにスムーズに設計は進まない。苦労する。

防水は?モーターは?機構は?開口部の大きさは?埃は?・・・

永遠と全て初めてなのでわからないのである。

わからないと図面は描けないものだから、必死でものの道理や理屈で、いわゆるエビデンスを探し確証を得て描く。

しかし、どうしてもわからず、確証がなくても、止まるより走る方が良い。

開発中はやってみて失敗すればその原因を探して設計変更してまた作れば良いのだ。

全部わかるなんてことは殆ど無い。

 

こうして、サンルーフが出来ると、サンルーフの本質を知って設計しているので、次に応用がきく。

つまり、どの専門メーカーでも出来ない、極薄のルーフに収めるサンルーフを「やらまいか」となる。

初代、CR-Xに装備された「外出しサンルーフ」だ。

コレなどは、サンルーフを機能買いしていては絶対にできなかっただろう。

サンルーフメーカーに「薄いルーフに収めたいので新しいサンルーフを作ってくれ」といった途端に笑われて「出来るわけ無いでしょ」となる。

 

これが、自前でやることの良さだ。

 

AIなんかも、私はよくわからないが、自分でやってみないとその先の発展性や応用までいけないと思う。

しかし、今は昔と違って、商品開発に時間とお金がかけられていないという問題がある。

この問題は長くなるので、また今度として、とにかく自前でやってきた先輩のバイタリティを見て若い世代が育つというオマケもあるのだ。

 

今の時代、技術もFCV〜AIなど幅広く深く複雑化してきて、

さすがのホンダも、人もお金も続かないのではと想像してしまう。

協業や提携も必要かと思う。

 

しかし、設計者のバイタリティ、モチベーション、「やらまいか精神」、

だけはなくさないことを考えて進めて欲しいと思う。

コレが無くなると、人生ツマラナイと思う、ホントに。

先輩の「やらまいか精神」を見て育った、或いは実行してきた人達がいたから、

私もデルソルのようなクルマに出会えたと思う。デルソルは当時大変困難なハードだった。

これは、良い悪いは別にして「やらまいか」のホンダでしか出来なかったと思う。

 

 

 

 


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