繁浩太郎の自動車と世の中ブログ(新)

モータージャーナリストとブランドコンサルタントの両方の眼で、自動車と社会をしっかりと見ていきます。

人事の話。企業が欲しがる「やんちゃな人材」

2019-02-22 09:37:43 | 日記

IT系人材の獲得競争はあらゆる業界で盛り上がっている。

GAFAを中心としたIT系だけでなく、大手電機メーカーから、自動車メーカー、自動車部品メーカーなどもIT系大学を卒業したエンジニアをターゲットにしていて、現実的に、ITエンジニアの奪い合いとなっているというのだ。

人の生活、身の回りの多くがIOTや自動運転などIT技術を応用した技術変革期に入っていて、技術開発を加速させる必要にせまられているということだろう。
 

つまり、IT系を基本とした新技術を次々に生んでいかなきゃいけない時代ともいえる。

創造性が大切な時代ということだ。創造的破壊とまでもいわれる。

 

創造性にはまっとうに勉強ができる優秀な人材よりも、ちょっと変わった人材、既成概念にとらわれない、あちこちに知恵が巡る人材のほうが良さそうだ。

 

そんな中、ソニーで人事部門を担当する安部和志執行役常務は「自分の専門分野に限らず、色々なことに好奇心を持つやんちゃなエンジニアが欲しい」と話したらしい。

同じような話を、古巣のホンダ時代にも聞いたこともある。

 

ここで思ったのは、「やんちゃなエンジニア」ってどんな奴だ?ということだ。

ソニーでいう「色々なことに好奇心を持つ」。さらに「やんちゃ」なんだから「型にはまらない」とか「リスクをおそれない」とか「知性より体力方向」とかを考えてしまう。

 

このような人材を欲しいと思う企業は社内にそういう人がいなくて、育っていなくて、必要と感じているから「欲しい」のだろう。

 

そんな企業はだいたいピラミッド型の組織で、トップダウンで仕事がまわるような体質と想像できる。

(創造性からは遠い体質)

そんな中で、雇った「やんちゃ」な人材が本領を発揮したら、これは浮いてしまうし、上司はどうしていいかわからなくなるだろう。

結果、「やんちゃな人材」は会社におられなくなる。あるいは、やんちゃでなくなっていくかもしれない。

 

多くの企業や会社のトップは「やんちゃな人材が欲しい」というが、人材を欲しがる前に、そういう人がやんちゃを発揮して成果をあげられる土壌、社内体質になっているのかという方が大切で、先だと思う。

 

だいたい、人事部で本当に「やんちゃな人材」を採用して、社内で浮いてしまったり、言うことを聞かず使えないとなると、企業のトップは人事部に対して「誰だ、あんな使えない奴を採用したのは」となる。

 

元々、人事部の採用に関しては「良くて当たり前、悪かったら叱られる」というものだし、短い時間、期間で人材の見極めは難しい。

人事部のトップや採用係は企業のトップからや現業部門からのパッシングを受ける確率は高い。

最悪の場合の「言い訳」を考えなきゃいけない。

それは、「成績は優秀でした」というものが一番言い訳しやすい。

これが繰り返されて、社内は「成績優秀な人材」で埋められるのだ。

さらに進むと「ピーターの法則」が待っている。

 

「やんちゃな人材」を雇って、社内に受け入れる体制や風潮がない中で、本当にやんちゃな行動をされると本人も会社にとっても不幸なことになる。

 

「やんちゃな人材」「創造的破壊が出来る人材」を雇い創造的な事が出来る会社にしたいなら、まず社長以下の社内でそういう人材を受け入れられる体質に改革しなければならないと思う。

それは、社長や役員などがおれは偉いぞ、言うことをきけ、というような権力構造でない体質。

つまり、ピラミッド組織やオペレーション組織の形ではなく、「創造的破壊が出来る人材」を受け入れられる組織や体質への改革がまず必要と考える。

その形は・・・。

 

 


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
マルテンサイト千年ものづくりイノベーション (サムライグローバル鉄の道)
2024-08-21 16:34:30
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
返信する
ハイブリッド哲学か? (経済学関係)
2024-08-21 17:09:00
「材料物理数学再武装」か。関数接合論ですね。
1/h^n=1/f^n+1/g^n、
第一式おもしろい着想ですね。マクロ経済学のホットな話題として財政均衡主義と現代貨幣理論(MMT)の競合モデルの方程式や関数なんてものはできないのでしょうかね。
返信する
社会実装 (文系数学リスキリング)
2024-09-01 13:50:18
「材料物理数学再武装」なつかしいな。番外編の経済学のアダムスミス国富論(神の見えざる手)における、市場原理による価格決定メカニズム(市場原理)の話面白かった。学校卒業して以来ようやく微積分のありがたさに気づくことができたのはこのあたりの情報収集によるものだ。ようはトレードオフ関係にある比例と反比例の曲線を関数接合論で繋げて、微分してゼロなところが上に凸のところの最高峰となり全体最適だとする話だった。

まあ簡単に言うとシナジーということで
 1+1=2  だけではなく
 1+1=3  という世界を
数理的に表現しようとしたもののように受け止められる。
返信する
AI革命の旗手リスペクト (軸受関係)
2024-09-12 05:09:18
「材料物理数学再武装」といえばプロテリアル(旧日立金属)製高性能特殊鋼SLD-MAGICの発明者の方で久保田邦親博士(工学)という方のの大学の講義資料の名称ですね。番外編の経済学の国富論における、価格決定メカニズム(市場原理)の話面白かった。学校卒業して以来ようやく微積分のありがたさに気づくことができたのはこのあたりの情報収集によるものだ。ようはトレードオフ関係にある比例と反比例の曲線を関数接合論で繋げて、微分してゼロなところが最高峰なので全体最適だとする話だった。同氏はマテリアルズ・インフォマティクスにも造詣が深く、AIテクノロジーに対する数学的な基礎を学ぶ上で貴重な情報だと思います。それと摩擦プラズマにより発生するエキソエレクトロンが促進するトライボ化学反応において社会実装上極めて有効と思われるCCSCモデルというものも根源的エンジンフリクション理論として自動車業界等で脚光を浴びつつありますね。
返信する

コメントを投稿