新しいクラウンが、7月15日にワールドプレミアされた。
しかし、四つも箱を並べて「全てクラウンです」と言われて少し困った。
どれ一つとっても「これがクラウンか」?と思っている中で、さらに全てクラウンと言われた。
クラウンって聞いてどれを思い浮かべれば良いのか? どれも高性能だと感じた一方でどこにでもありそうな今風デザインのクルマに見えた。 「これがクラウン」という独自性、個性を感じなかった。
クラウンは1955年発売から今年で67年。長きに渡って素晴らしい事と思うが、バブル以降はその販売台数は右肩下がりに入っていた。
鶏と玉子の話のようだが、クラウンはクラウンユーザーをターゲットにして、延々と何代にもわたって「いつかはクラウン」というコピーがピッタリな上級車というほぼ同じコンセプトのクラウンを造ってきたが、ここ10年程は色んなクラウンを造ってクラウンブランドがわかりにくくなっていたと思う。
※日本経済新聞より
バブル崩壊で市場が変化し、それまでのクラウンユーザーは段々と少なくなっていった中で、トヨタはクラウンの将来のユーザーを定めきれず、いつまでもクラウンブランドを続けていくことにトヨタ自身が疑問を持ち始め、ハッキリ言って困っていたと思われる。
色々とやったが、中々新しいクラウンの生きていく道筋が見通せず、気持ちは焦るがどうしたら良いかわからないまま時間が過ぎていたようだ。
その間一番大きな変化は、販売台数という役目を背負っていたのか?クラウンユーザーを絞るのでなく、ユーザーの多様化ととらえ、多箱化したことだ。つまり色んなクラウンを造り始めた。
一箱ではクラウンの販売台数はクラウンブランドを維持できるほどにならないと考えた上でのことだろうが、クラウンという名前の下に多箱化したのだ。
かつての何でもかんでもカローラという名前がついてたことを思い出す。
商品には、クラウン伝統の何かが入っているというよりも、新装備新技術満載でそのデザインも今風というだけで個性がなく、大きな他車との差別化もない。
それで、お利口なクルマ=クラウンとして選ぶユーザーもいるだろうが、こうなるとユーザーにとってクラウンである必要はなく殆どのユーザーは他車も含めて選ぶようになる。
クラウンブランドを再構築するためには、お利口なクルマを揃えてどれもクラウンですでは、そのブランドがぼけてユーザーに刺さらない。
一箱で、理解しやすいコンセプトで強くしたクラウンブランドを創りユーザーに刺さないとユーザーの頭の中にクラウンブランドは再構築できない。
つまり、販売台数のような商売に直結する事も大切だが、それよりもユーザーの気持ちの中に「上級車と言えばクラウン」と思い起こせるような取り組み=ブランディングが大切なのだ。
勿論レクサスと棲み分けして。
トヨタのクラウンの企画部門がやるべきことは、社内の都合や事情に振り回されることでなく、社長に忖度することなく、ユーザーと世の中、周りの状況を真正面にみて分析創造し、クラウンの居場所はここだ! と定める事にある。社長はそれを認めればいいだけだ。
こんな状態では、本当にクラウンブランドは無くなってしまうだろう。
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