しらほぶろぐ

ブログタイトルはニックネームが由来。
日記代わりに身の回りの出来事を綴ります。

藤沢周平作品所感6

2006-04-19 21:08:14 | 08.山形探訪
今日の体重:93.4kg(-11.3kg)2006.02.01~減量開始:104.7kg

 【暗殺の年輪】を語る…

「暗殺の年輪」で藤沢周平は「第69回直木賞」を受賞した…

この作品は比較的初期の作品…直木賞の選評では「藤沢らしい達者な作品ではあるが,発想が平凡で藤沢自身の他の作品に比べて傑作とはいえない…しかし,緻密な表現力と構成力はさすがというしかない」…と意見されていたそうだ…

波正太郎の当時の評価では,「あれはいいぞ,のびるぞ,君…小説はハートだよ,いかに人のこころをとらえるか…だけだな…藤沢さんの小説には,人の心をとらえて離さない魅力がある」…と言わせたそうだ…

「暗殺の年輪」は全5話の短編で構成されている…

【暗殺の年輪】ストーリー

主人公は葛西馨之介(けいのすけ)23才…18年前,父源太夫は海坂藩(うなさかはん)7万石の政争に捲きこまれ,ある重臣を刺殺しようとして失敗…腹を切った… 葛西馨之助は,自分に対する世の中の視線が冷ややかなことに気づく…父が横死した事と関係があるらしい…しかも,そのことについて母「波留」に関する噂があった…

ある日,10年以上も同門の仲であったが,その事件以降「遠ざかる仲」となっていた「貝沼金吾」から呼び出しを受ける…訪れた上役たちから海坂藩の柱石である中老「嶺岡兵庫」を斬る役目を依頼される… 葛西馨之助は,「冷ややかな視線」と「微かな笑い」を感じる訳はなにか…18年前の事件を詳細に調べだした…その真相に迫った結果,母「波留」の秘密を知ることとなる…そしてついに,中老「嶺岡兵庫」の刺殺を引き受けることとしたのだが…


そのほかの短編は…

【黒い縄】
「出戻り女」が幼馴染に出会って真実の愛に目覚める…しかし,男は人殺しで追われる身であった…

【ただ一撃】
隠居して「もうろく」してそうに見えるが,実は卓越した武芸者である老人が,人間離れした本能を蘇らせる…

【溟い海】(くらいうみ)
晩年の「葛飾北斎」の「安藤広重」に対する嫉妬と,芸術家としての内面の孤独を描いた…

【囮】(おとり)
病弱な妹のために「岡っ引き」の「下っ引き」を副業とし生計をたてる彫り士が,ある女の見張り役を任されるが,その女に感情を抱いてしまう…

が収録されている…この作品のほとんどの場面が「夜」に設定されている…「闇の暗さ」と「悲劇的な情念」が目立つ作品であった…

 

コメント
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