緑

緑は、あんまり好きな色ではない。
身につけるものに、緑を選ぶことは「ない」といっていいほど。

日本人の一番好む色は、「新緑の色」と聞いたことがあるけれど、
「緑は目に優しい」という話も知っているけれど。
山に入って、森林浴したい、という気持ちもあんまりない。

なんでだろう？

５月ごろ、新緑に燃える山並みを、車窓から見た。
遠くの山だったので、なんだかどす黒いくらいの緑と新緑の若々しい緑が入り混じっていて、
それはそれで「美しい」風景だったのかもしれない。
でも「・・・・・」

そう思っていたときに、後部座席から
「なんだかあの山・・・何かに汚染されてるみたいに見えるね・・・」
という声。はっとした。感覚って似ちゃうのかな。
雷が鳴るような空の色は、「おお～～！！」なんていってみているのに。
「これは雪が降る空だね」とか、空のまがまがしさは受け入れるのに。



そんなときに出会ったのが　東山魁夷「緑響く」。

“弦楽器の合奏の中を　ピアノの単純な旋律が通り過ぎる”



それから何冊も東山氏の本を眺め、読み、いろんな絵を見続けている。
「白夜光」も何度も眺めている。


緑も、そんなにいやな色ではなくなった。
身につけることはないかもしれないけど。
空の青の方が、好きなのには変わりはないけれど。

北欧の絵に惹かれているっていうのもあるかもしれない。