クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

一瞬の夏 8 弟よ 中編

2020年08月18日 | ちっちゃいおっさん

とある秋の祝日の朝、弟から電話がありました。


このタイミングの電話は5番目の子供が産まれたという報せかと電話を取りました。







「あ、兄貴?」


「おぉ、どうした産まれたか?」


「・・・・・・」


「どうした?」


「・・・・・・」


「どうかしたのか?大丈夫か?」


仲が悪いとはいえ押し黙っている弟が心配です。


「・・・・産まれた、2週間前。・・・・産まれたけど、さっき死んだ・・・」


「え?」


「死んだ、たった2週間しか生きられなかった・・・・」






慰める言葉なんてどう絞っても出てこないから、電話口で泣いている弟とただ一緒に泣きました。


そして、弟から


「アニキ、急で申し訳ないし、忙しいの分かるけど葬式に来てくれる?」


「おー もちろん行くよ。これから直ぐ空港に向かうよ・・・」


「アニキには実家のことで心配ばかりかけて、こんな時だけ急に来てくれってごめん・・」


「馬鹿、何言ってんだよ。直ぐ行くよ」


「親戚に金借りてるから親戚呼びづらいし、親爺お袋だけじゃ嫁の手前バランス悪いし・・・」






「いいんだよ、俺その娘の伯父さんじゃん。俺が行かないとダメだろうよ・・。まだ姪に会えてないしな・・・」


「アニキ、本当にごめん。」






子供を亡くすのなら自分が死んだ方がずっと楽。弟の辛さが苦しいくらい伝わります。


「何度も言うな、待ってろよ。夕方には着くからな」


電話口で弟がずっと泣いていました。


そうだ俺たちは兄弟だ、ずっと仲違いしてきてきたけど、仲の良かった兄弟なんだ。





そう、親爺が言うようにふたりきりの兄弟なんだ。


後編へ続く



写真は本編と全く関係のない大好きな石川町です





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