とある秋の祝日の朝、弟から電話がありました。
このタイミングの電話は5番目の子供が産まれたという報せかと電話を取りました。
「あ、兄貴?」
「おぉ、どうした産まれたか?」
「・・・・・・」
「どうした?」
「・・・・・・」
「どうかしたのか?大丈夫か?」
仲が悪いとはいえ押し黙っている弟が心配です。
「・・・・産まれた、2週間前。・・・・産まれたけど、さっき死んだ・・・」
「え?」
「死んだ、たった2週間しか生きられなかった・・・・」
慰める言葉なんてどう絞っても出てこないから、電話口で泣いている弟とただ一緒に泣きました。
そして、弟から
「アニキ、急で申し訳ないし、忙しいの分かるけど葬式に来てくれる?」
「おー もちろん行くよ。これから直ぐ空港に向かうよ・・・」
「アニキには実家のことで心配ばかりかけて、こんな時だけ急に来てくれってごめん・・」
「馬鹿、何言ってんだよ。直ぐ行くよ」
「親戚に金借りてるから親戚呼びづらいし、親爺お袋だけじゃ嫁の手前バランス悪いし・・・」
「いいんだよ、俺その娘の伯父さんじゃん。俺が行かないとダメだろうよ・・。まだ姪に会えてないしな・・・」
「アニキ、本当にごめん。」
子供を亡くすのなら自分が死んだ方がずっと楽。弟の辛さが苦しいくらい伝わります。
「何度も言うな、待ってろよ。夕方には着くからな」
電話口で弟がずっと泣いていました。
そうだ俺たちは兄弟だ、ずっと仲違いしてきてきたけど、仲の良かった兄弟なんだ。
そう、親爺が言うようにふたりきりの兄弟なんだ。
後編へ続く
写真は本編と全く関係のない大好きな石川町です
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