慌てて家を出てから数時間後、弟の自宅に着きました。
産まれて2週間、祭壇に遺影はありません。
代わりに可愛らしい花がたくさん飾られていました。
弟が心配していた親戚だってたくさん駆け付けてくれていました。
多分、お袋が連絡をしたのだと思います。
よかった・・・
「あ、アニキ、わるいな遠いとこ急に来てもらって・・・ アニキ、顔を見てやってくれるかい?」
「抱き上げてもいいのか?」
「抱いてやってくれるのか?」
「当たり前だろう。他の4人は全員抱き上げてるよ。」と愛らしい小さなベビーベッドに眠る姪を抱き上げて頭を撫でました。
冷たいな・・・
そう思うともう涙が止まりません。
「ほら、○○・・・ 良かったね、抱っこして貰って・・・ 東京の伯父さんだよ。パパのお兄さんだよ・・」
「・・・・・」
「な?、アニキ・・・ ただ寝ているみたいだべさ。息しているみたい・・。起きないかなと思って見てるんだけど・・」
「そうだな・・ 寝てるみたいだなぁ・・」
「でも起きないんだよ・・・可哀想に・・・ 2週間だよたったの・・ 抱いてやる時間もなくて・・・ 何のために産まれてきたんだろう? 苦しかっただけなのに、何でだろう・・・」
私は冷たくなった頬を撫で、小さな手のひらを握りながら、産まれて直ぐに逝ってしまった姪の哀れさを思い、弟の深い慟哭を受け止めるように彼を抱きしめて一緒に泣き続けました。
そして通夜が始まりました・・・
最終回に続く
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