クラブボクシング@ゴールドジム湘南神奈川

普通、湘南辻堂といえばサーフィンなのにボクシングでひたすら汗を流すオッさん達のうだうだ話!

一瞬の夏 13 あの夏の日、母の記憶

2020年09月02日 | ちっちゃいおっさん

それは、朴竜、高校2年の夏の日のこと。


土曜日の下校時に北海道は室蘭駅で友人とふたりで帰りの汽車(電車ではない)を待っていました。


喉が渇いたので汽車(電車ではない)の中で飲もうと自動販売機でテトラパックのコーヒー牛乳(カフェオレではない)を買いました。


確か値段は80円くらいだったでしょうか。


100円玉を一つ入れて10円玉2枚のおつりがくるのを待っていたのですが、あれあれ?おつりが止まらなく落ちてきます。


時には100円玉、時には50円玉で次々と落ちてくるのです。


おー⁈

いつになったら止まるだのだ!これじゃパチンコの開放台ではないか、777で大フィーフィーバーやんけ。馬鹿な自動販売機ですこと。


ガチャガチャと果てなくお釣りが落ちてきて結局小銭で約3,000円ほどのおつりが出てきましたのです。


80円投資した株が3000円に値上がりしたようなものです。仕手筋でも入りましたかな。


いつも調子のよい友人は

「朴ちゃん。このまま逃げるべや。壊れた自動販売機を置いたままにしてる駅が悪いっしょ。これで満龍でラーメン食うべや!」

などと言う訳ですが、アンタ、事の成り行きは汽車(電車ではない)を待っているたくさんの人が見てるんです。


これは駅の誰かに言うしか道はないんですってば。


で、調子のよい友人を宥めて、駅員にお釣りの一件を報告してあげたんです。


その日はそれでおしまい。


そして、翌日の日曜日の昼過ぎ。

自宅に菓子折りを持ったキチンとした身なりのおっさんがふたり訪ねてきたのです。


そのふたりは室蘭駅の駅長と助役さんでした。


自動販売機のお釣りの件を痛く感動してくれたらしく、わざわざお礼に来て下さったんです。


調子の良い友人みたいに本当はお金を持ち逃げしたかったんですが、勇気がなかった小心者だっだけのことですから、お礼を言われて褒めちぎられるとくすぐったいのでした。


さてさて、母が亡くなる前年は2017年の夏、

呆けてしまった母が私に言うのでした。


室蘭駅の自動販売機の一件、駅長さんが来てくれて、正直で勇気のある行動に感謝してたよと。


それもつい最近のように。


そしてその年の秋に父が倒れたので帰省した際にも同じように繰り返すのです。


また、その後に北海道出張時にちょい立ち寄った時も、高校2年のあの一件を、私の行動に駅長がえらく感動して、丁寧にお礼を言われて誇らしかったと、何度も何度も繰り返すのでした。


それもつい最近のように。

初めてそれを語るように。


何度も何度も何度も


振り返ると私は母に褒められて褒められて育ったんだなぁって未だに切なくなったりします。




写真は本編と全く関係ない営業用の時事ネタ新曲です。





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2 コメント

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Unknown (こちウワ男)
2020-09-03 07:53:21
青春の1ページ、楽しく読ませて頂きました。母上のお話、切なくて、いいですね。
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Unknown (朴竜)
2020-09-03 07:58:21
こちウワ男さま
コメントありがとうございます。
駅の自動販売機の一件があり、いまでも自動販売機で何か買うと事件を期待してしまうクセがついちゃいました。
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