Kばあ様 Oばあ様 Aばあ様は似ている。
野菜も米も漬物も売れる。
パワーがあるしいきいきと元気。
「スーパー戦隊婆スリートップ」である。
こんな 甲斐性のある婆様になりたい。
密かに憧れてもいる。
(三人が作るかき餅は美味である)(ふんわりとおいしい)
「わてのかき餅は他とは違う」「ねぇさん …水と捏ね手がちごうぞいね」「この色は自然食品の色やさかいね」
お互いが譲らない。
三人寄れば文殊の知恵ともいうが、三人旅の一人乞食ともいう。
実力が拮抗しているだけに…いや なかなか。
それぞれの味があるとは言え、三人三様に美味いし旨い。
さらに巧い…妙手である。
甲乙の問題ではなくそれぞれの智恵と技が実を結んでいるのだ。
しかしお互いが譲らない。
私が 私が 一番 一番…口をついて言い張る言葉とは違う別の声音を感じる。
枯れた味のかき餅とは、一味も二味も違う老女の気合い。
平均年齢88歳…尊敬してやまぬ大先輩をなだめる役回りは厄介だ。
戦争を経験して 子供を育て上げ 夫につかえ畑に田んぼ…自分の身ひとつ 勘一つで漬物、味噌、餅‥を大切に作り上げる。
この世代は強靭だ。
自分そのものに実力がなく 智恵もなく 些細な事で動揺し 怒りをあらわす私の姿とは違う。
「今年は水のあつ(圧)がよわてねぇ」「豆餅のまめがばらけて いいがにならんぞいね」
お互いが譲らない。
艶のある色鮮やかなかき餅は、智恵のカーテン。
自分そのもので生きてきた質実の…かき餅のカーテン。
雑色や騒音が消えていく。
何年も作り続けている歴史。
作る事も大変だけど、維持していく体力を思うと婆様たちの本質が見えてくる。
「もっと薄板にせんと味がこわいわいね」「噛んだ時に芯が残るがはだめやわぁ」
お互いが譲らない。
切磋琢磨と言う事かもしれない。
ひたすら味見に徹することにする。