Tokyo Walker

諸事探訪

80mmF4 Macro

2015年06月20日 11時05分36秒 | カメラ

 MAMIYA-SEKOR MACRO C 80mm 1:4 N(最短1/2倍)
 どうしても使ってみたかったレンズの1つ。長いカメラ遍歴の中でもマクロだけは使ったことがない。この期に入手しなければ、生涯使うチャンスは無いと思い、清水の舞台に立った。
いずれにしても古いものなので、そのまま使用できる可能性は少ない。数ある中から選びに選んで入手したのはNo.101202の新タイプ。実際手に取って見てみると、外観は綺麗なものでスレ、当り、サビなどは見当たらない。レンズの小カビ、埃、汚れはそれなりにあるもののヘリコイドが若干重いこと、絞り羽根に油が回り始めており、絞り羽根開閉の戻りが緩慢になっていることの2点が問題であった。グリス入れ替えと絞り羽根を清掃するには大方分解しなければならないが、レンズ汚れもあるのでこの際は全面的に分解することにした。

 分解してみるとグリスの必要なヘリコイド、ネジ部は3箇所あった。グリスはそれほど古くはないのだが、ちょうどペンキと薄め液のように分離してしまう性質があるらしい。しかも、グリス塗布の量がちょっと多めなため、尚のことだったように見受けられる。古いグリスをきれいに除去してゴミ、埃もエタノールで拭き取り、新しいグリスを塗布。はみ出したグリスは丁寧に取り除く。この際、外したレンズもきれいにクリーニング。

 通常カゴのようなものの中にフロントレンズユニットが組み込まれている。ユニットを外すと、カゴの底に絞り羽根が組み込まれている。つまり、レンズの基部となるものの前側を分解して絞り羽根を取り出す。(今まで分解した9本ほどのレンズはすべてこの方式)
しかし、マクロの絞り羽根はレンズ基部の後ろ側から組み込まれていた。
つまり、レンズ背面のリヤレンズユニット2段を外し、絞り開閉機構を外すと、絞り羽根を押さえているプレートがあり、このプレートの下に絞り羽根がある。分離した水状の液体でベタベタになった部品を全てエタノールで清掃、取り出した絞り羽根もエタノール溶液の中で丁寧に清掃。元通りに羽根を並べて、プレートで押さえる。絞り開閉を確認して、絞り開閉機構を組み込む。チリ、埃を飛ばしてリヤレンズユニット2段を取り付けたら完成。

 難儀したのはヘリコイドの嵌め込み位置。分解するとき、凡その位置は判ったものの、今ひとつ確信がない。見当を付けて嵌め込み、仮組してカメラに付けて無限遠点一致を確認。ヘリコイドが二重になっているため、他のレンズとはどうも勝手が違う。3回程やり直して位置を確定することが出来た。

 その他、「絞り環」と「A/M切替レバー」で、操作したときクリックさせるためのボールが使用されている。ボールの大きさは2個とも同じΦ0.6mmで、他のレンズとも共通らしい。しかし、1本のレンズに2個使用しているのは初めてだった。「A/M切替レバー」にボールが使用されているとは思わないから、分解時に紛失しないように注意しなければならない。

 問題は「絞り環」の組立てである。大方のレンズはバネにボールを乗せて押さえ込み、リングをスライドさせれば収まる。しかしこのレンズはクリック切り込みが環のかなり内側にあるため、それが出来ない構造になっている。以前に無理に押し込んだら、キズは付く、バネは折れるで散々だった。これを組み立てるにはちょっとした冶具がどうしても必要なのである。しかも前回作った冶具は今回そのまま使えそうもない。新しい工夫をしなければならないようだ。冶具作りから始めなければならなかったが、この冶具を使うと比較的簡単に勘合組込みが出来た。冶具作りに3時間、嵌め込みに1分である。「A/M切替レバー」はボールを穴に入れておくだけなので何の苦労もない。

 すべて組上げてカメラに実装してみると、80mm標準レンズよりクリアな感じがする。1:4と暗いことが影響しているのか、これがマクロレンズの性質なのかわからないが、何故かピントも合わせやすい。(ピント合わせは明るいレンズの方がいいに決まっているはずなのだが)
モノはそれなりの大きさと重さがあるので、とても気軽な撮影という雰囲気ではない。標準レンズと比べると、大きさ、重さ共におよそ2倍以上はありそうな風格。何もマクロ撮影だけとは限らないが、やはり手持ちの撮影はちょっと厳しいのかも。三脚が必携になりそうな雰囲気である。さて、どんなものが撮れるのやら、実写が待ち遠しい。



   どうだ、この碧眼マクロは!!       (OLYMPUS XZ-2で撮影)