九月二十日、台風が一過してから気温が幾分下がって、朝夕が涼しくなり少しは過ごしやすくなった。とにかく連日三十度越の暑さだったから、いい加減くたびれた感はある。日中はまだ暑い日が続いているが、十月になってやっと「秋かな?」と感じるような日差しになって、そよぐ風も爽やかになったような気がする。そう言えば日も随分短くなって、夕方五時にはすっかり暗くなってしまう。
今回持ち出したレンズは「Nikon NIKKOR-H・C Auto 85mmF1.8」。
我が家の玄関にある草花を撮ってみた。名前は判らないが、箒草と同じ「コキア」の一種かと思う。もう十年は同じ場所で同じように毎年白い花を咲かせ、頑張っている多年草だ。箒草のように赤くなったりはしないけれど、花や葉が落ちた後は針金のような硬い茎が残り、束ねれば立派な「ホウキ(箒)」が出来そうだ。試したことは無いけれども。
このフラットで涼し気な透明感はどうだろう。85mmならではの写りではないだろうか。「素直でナチュラルな写り」 と定評のあるこのレンズだが前後のボケ方も悪くない。この絵を撮りたいが為に85mmを入手したようなものである。85mmと言えば一般的にはポートレート用とされているが、こんなカットも悪くないと思う。
秋の草花と言えばどうしてもコスモス(秋桜)やハギ(萩)、ススキ、キク(菊)等をイメージしてしまうが、木々の変化もまた待ち遠しい。今年のイチョウ(銀杏)やモミジ(紅葉)はどうだろう。
我が家の前には柿と栗の木の大木がある。昨年は実がちょっと少なかったように思うが、今年は結構な豊作である。柿の木は実に折れやすい木なのだが、こんなにたわわに実がぶら下がっても、折れないから不思議なものだ。いよいよ色づきはじめた。いかにも渋そうだ。大方の葉が落ちる頃には金色に輝く実が残る。今年、地主は収穫にやってくるのだろうか。時々は放置されてすっかり野鳥の餌になることもあるのだが。
栗の実はまだ木の葉に隠れてよく見えないが、たくさん実っているに違いない。
Body α7Ⅱ/SONY
Lens NIKKOR-H・C Auto 85mmF1.8/NIKON
Mount Adapter NF-SαE/Rayqual
Filter φ52mm 1A/Soligor
Hood HN-7 φ52mm/NIKON
この時期、ひょいと庭先を見てみると、いつの間にか春の息吹がムズムズと。美味そうなネギのような葉が生えだした。この場所はおそらくチューリップではなかろうか。写真ではちょっと判らないが、このやさし気な緑は春独特の色合いだ。寒い寒いと思っているうちに、足元にはちゃっかり春が近づいていた。
SONY α7Ⅱ/MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mmF1.7(絞り5.6)
クリスマスローズは既に咲いていた。その白さがいかにも新鮮で春らしい。まだ、随分寒い日もあるのだが、それでも時期が来ると咲くのだから、植物も大変なものだと思う。このクリスマスローズは既に10年以上も毎年ここで咲き続けている。
SONY α7Ⅱ/MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mmF1.7(絞り5.6)
苔むした地面に花弁が散っている。この時期、これは山茶花だろうか。12月あたりから咲き始めてその後絶やさず地面が赤い。周りの何もかもが枯れ木色で寂しげな冬なのだが、ここだけは赤い絨毯を広げたように華やかで温かい。見上げてみると開花の勢いはまだ衰えてはいないようだ。
SONY α7Ⅱ/MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mmF1.7(絞り開放)
3台を寄せ集めてRestore(2019/12/27)した「MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mmF1.7」だが、いずれも調整なしでこんな感じ。色合いも、見た目の通りである。詳細が比較できるような写真ではないが、特に違和感もなく、不足は無いように感じる。細かい所では明暗階調や収差等々いろいろあるが。ただ、画面に光源を入れた時のフレアやゴースト、ボケの具合も見てみたかったが、それはまた別の機会にしようと思う。
55mmという焦点距離は、こんな写真を撮るには可もなく不可もなく丁度いい。同じ55mmで言えばNIKON Micro-NIKKOR 55mmF2.8があるが、絞り開放の時の被写界深度の違いはもう少し大きく影響するかもしれない。それ以外で撮る分には何ら差異がないように思う。
ただ、2枚目のクリスマスローズでは、もう少し寄りたかったが、この辺が限界。その意味ではMicroには敵わない。Microも汎用でも使えるとよく言われるが、こんなところで「用途の違い」を思い知る。
2019年12月20日、久々に天気よく日差しが暖かい。東北、北海道では雪が舞っているらしいが。
午後、日差しがあるうちにちょっと散歩に出かけてみた。木々の多くは既に葉が無く、常緑だけが黒々と影を作っていた。これは柿の木なのだが、葉が無ければ何の木だか解らない。例年、鳥の餌になっているのだが、今年は実の数が少なかったようで、既に1つも残っていない。
SONY α7Ⅱ/Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mmF1.8
旭光学、或いはASAHI PENTAXでベストセラーのカメラ「SP」の標準レンズで、トリウムレンズ使用の後期より以前(1964年)のものらしい。55年も昔のレンズだという違和感は全く無くて、ごく普通に使えている。「Super-Multi-Coated」というのは、どのくらい「Super」なのかというと7層のコーティングが施してあるらしい。「発色がよく、逆光耐性も向上」というのが売りだが、その効果のほどはなかなかつかみ難い。しかし、とにかく悪くはない。
最短距離は55mmというものもある中で45mmは悪くない。この10cmというのは大きい。今時咲くのは山茶花か野生の寒椿か。色合いはどうかと思って近接撮影もやってみた。ちょっと逆光気味なのだが、やわらかい優しい色合いで撮れている。花を撮るには意外と適しているレンズなのかもしれない。
SONY α7Ⅱ/Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mmF1.8
このレンズのマウントはM42というネジ式で、α7Ⅱで使うには変換アダプターが必要になるが、FUJINONで使ったK&F CONCEPTの「KF-42E2」がそのまま使用できる。例によって無限遠点を確認してみたが、やはりオーバーインフになっている。フォーカス環の表示面で∞マークから2mmほど手前にピントの合うポイントがある。無限遠点ということでフォーカス環の表示をあてにして∞マークに合わせて撮るというのは要注意だ。無限遠点とは言えファインダーでしっかり確認するというのがこの手のレンズのクラシカルな所である。
SONY α7Ⅱ/Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mmF1.8
逆光を利用して、ボケにも挑戦してみた。手前の「草」にピントを持ってきたつもりだが、風で動くのと同時に手持ちなので、捕まえるのがなかなか難しい。右手の6角玉ボケは緑の草の葉が光を受けて光っているところで、一種の点光源になっている。絞りは解放から一段絞ったところで、玉ボケをファインダーで確認して撮っているが、細かいところまでは解らない。もう一段絞ると、もっときれいな玉ボケが出るかもしれないが、背景がうるさくなってこの透明感が失われてしまうだろう。
2019年12月08日、ここ数日天気が悪く、小雨まじりの曇りが続き、昨日などは日中でも10度に至らず、雪が降るかという寒さだった。今日は一転朝から快晴。気温も少しは上がったようで、早めに薬師池公園を訪ねてみた。紅葉の見頃は既に過ぎて、葉の無い木々もチラホラ。秋の乾いた冷たい空気の中で落葉間近の木々を撮ってみた。
SONY α7Ⅱ/FUJINON 55mmF1.8
FUJINON 55mmF1.8というOld Lens、15枚程撮ってみたがいずれもピントが甘いというか、キリッと行かない。近接でも撮ってみたが、同様の傾向が見られた。共通しているところをみると、こういう撮れ方をするレンズらしい。別の見方をすれば「優しい描写」ということになる。好き嫌いはあるが、エッジの立った固い描写がお好みであれば、これは向かないかもしれない。肌合いがやわらかく滑らかに写る意味では人物描写に向いているかもしれない。多分シワも目立たなくなるように思う。そういえば昔「美しい方はより美しく、そうでない方はそれなりに」なんて富士フイルムのCMがあったが。レンズ造りもそれを目指していたのかもしれないと思い、納得した。
このレンズを使用するのに使っているアダプターはK&F CONCEPTの「KF-42E2」。Netの情報によれば、無限遠点がオーバーインフになるようだが、確かに無限遠点のピントはほんの少し手前にあるようだ。フォーカスリングで言うと∞記号に対して1mmほど手前かと思われる。∞記号合わせだけで撮る場合はちょっと注意が必要かもしれない。まあ、無限遠点で撮ることはなかなか無いのだけれど。また、このM42マウントの場合、ねじ式なので基準表示がかなりズレるという問題もあるようだが、このレンズではほぼ真上で表示された。ちなみに同じM42のPENTAXも同様で、アダプター側の調整機能を使うまでも無かったが、レンズによっては結構ズレてしまうものもあるらしい。
2019年12月1日(日)、久々の晴れ間、時間はちょっと遅めの14時。谷間のような薬師池は11時から13時くらいが適切かと思うがダメもとで行ってみた。今日は日曜日とあって人出もそれなりにあるが、寒い(10~12度くらい)こともありちょっと少な目。陽が射す割には寒く、日陰では尚更である。年寄りたちはすっかり着膨れしているが、子供たちは寒さの事など気にもせず元気がいい。
今年一番の紅葉を探して、とっておきの一枚。
SONY α7Ⅱ/NIKON NIKKOR 50mmF2
無調整の撮って出し、この輝くような紅葉を一度撮ってみたかった。絞りは5.6位でシャッターは1/250(s)か。手持ちの撮影に自信がある訳ではないが、三脚使用禁止なので仕方がない。露出補正はこのような場合の経験値として+0.5にしている。そうしないとやはり葉影がどうしても黒っぽくなってしまい、輝きが失われる。補正を掛け過ぎると全体が白っぽくなって、これまたよろしくない。そうかと言ってファインダーでそれを確認するのは現場ではなかなか難しいのが実際だ。そこで経験値がモノを言うことになる。紅葉を撮って既に数年になるが、これは紆余曲折の末のベストショットかもしれないと密かに思った。まあ、人は“我田引水も甚だしい”というかもしれないが。
また「NIKKOR 50mmF2」という地味なOld Lensもなかなかやるじゃないかと見直した。これでグリース切れのカクカクが無ければ本当に言う事無しなのだが。
2019年11月17日、本当に雲一つない秋晴れ。窓の外のハナミズキも随分葉が落ちて残り少なくなってきた。あと数日のうちには無くなるものと思われる。
SONY α7Ⅱ/NIKON NIKKOR 50mmF2
薬師池の様子はどうだろうか。久々に秋さがしに出掛けてみた。今日は日曜日、何かのイベントだろうか、コスプレの若者があちこちで撮影会をやっている。自撮りもあれば、プロ仕様の撮影もやっている。空気は結構冷たいが、若者は今日も元気だ。まあ、それはともかく秋さがし。
SONY α7Ⅱ/NIKON NIKKOR 50mmF2
部分的に紅葉が進んでいる木々もあるが、大方は今一つ。そんな中でも青空を背景にして輝くような紅葉を撮ってみた。電子ファインダーで見ると明るすぎて調子がよく判らない。手持ちということもあってピントもよく解からなかったので目測で決めた。シャッターは1/500位で切れていると思う。
帰ってから画像を見てみると、紅葉の発色が今一つ重く暗い。印象を忘れないうちに明るさを調整した。1/2~1/3絞りほどプラスの補正が良かったのかもしれないが、ファインダーでそれを確認するのは難しかった。
いつもの撮影スポットも撮ってみた。
SONY α7Ⅱ/NIKON NIKKOR 50mmF2
紅葉のピークはもう少し先になりそうだ。
使い勝手が良くて、馴染んでいたMicro-NIKKOR 55mmF2.8が突然絞りの調子がおかしくなった。最初は絞りを調整してもシャッターも感度も変化しないので、カメラ本体の何某かの設定がおかしいのかと思ったが、ひょいとレンズを見てみたら、絞りリングを回しても羽根が動いてくれないではないか。レンズを振ってみると何やらカラカラ音がする。どうやら羽根の開閉を戻すためのバネが外れたか折れたのでは、と思われる。或いはバネを支える軸が取れたか等いろいろ考えられるが、とにかく修理必須ということになってしまった。それで、今度はNIKKOR 50mmF2を使うことにしたのだが、こちらも長年使用してきたもので、フォーカスリングのグリースが痩せてしまいリングを回すとカタカタと不快な感触がする。NIKKOR 50mmF1.4もあるが、こちらはフォーカスリングがすっかり重くなってしまっている。修理代を考えると恐ろしい。なかなか思うようにはいかないものだ。
2019年11月1日、秋も深まり平地の木々も随分葉を落とし始めた。北国では雪の知らせもチラホラ聞く。はや残り一か月で師走となるのがちょっと信じがたい。先月は台風、低気圧が接近し、何かと慌ただしい日が幾度かあって落ち着かなかったが、11月になって最初の日、穏やかな一日となった。空は雲一つなく、降り注ぐ日差しが懐かしいぐらいに暖かかった。微かに夏の匂いがした。
SONY α7Ⅱ/NIKON Micro-NIKKOR 55mmF2.8
昨日未明、沖縄では首里城の火災があった。リアルタイムに崩れ落ちる建物が画面いっぱいに映し出された。この時代、何処にいても瞬時にその場の光景が見えてしまう。多くの人が呆然とその光景を見ていた。昨日まで、沖縄の小高い丘にさん然と輝きを放ち、悠久の時間を得たかのように見えた首里城は、数時間の後にそれが夢か幻であったかのように跡形もなく塵芥と化してしまった。260億円という復元整備予算もさることながら、30余年の歳月を考えると気が遠くなってしまう。それも、近年完成したばかりだという。人間の活動の虚しさが思い知らされる出来事だった。
2019年10月20日、先日台風19号が通過した。屋根が剥がれ飛んだり、雨漏りがしたらどうしようかと思っていたが、風雨は1時間ほどで収まり、しかもそれほど強くは無かった。従って屋根も何ら損傷することもなく無事だった。当然雨漏りもしなかった。各地で甚大な被害をもたらしたというのに、幸いである。
避難情報のレベルは4だった。同じ市内でもほんの少し離れるだけで、大雨が降り、強風が吹き荒れるところもあったようだ。そのような訳で、台風一過気温もグッと下がり、ハナミズキの葉も落ちることなく紅葉の真っ最中である。
SONY α7Ⅱ/NIKON Micro-NIKKOR 55mmF2.8
ここ数年、地球温暖化によって台風が強大化していると言われ続けている。こんな穏やかな日々はもう再び訪れないのではないかという不安がよぎる。把握し難い被害の全貌を思う時、あらゆる政治的な対立や軍拡は虚しくなるばかりだ。優先して解決すべき問題は他にありはしないか。
グランドカバーグラスとしても使われるタイム・ロンギカウリス。この時期、小さな薄紫の花を満開にする。年々広がって確かにグランドをカバーしている。結構密に自生するので、雑草も生えにくいようだ。この情景で満開の花を踏むのは、ちょっと躊躇うものがあるが、踏んでみるとミント香りが立ち上る。柔らかい春の日差しを受けて一斉に咲く様子は、なかなか豪華なものである。
SONY α7Ⅱ/NIKON NIKKOR 50mmF2
植えてから4年くらいは経つだろうか、丈夫な植物のようで、一二度踏んでもすぐに立ち直る。花の時期を過ぎると、緑のカバーになる。そしてそれは冬でもあまり変わらない。
この時期、同時に咲くのはハナミズキ。元のヤマボウシは地味な白い花のようだが、この派手な色合いはアメリカ・ヤマボウシ、あるいはアメリカ・ハナミズキなのかもしれない。日本の桜と同じようにかの国アメリカでは市民によく知られた花であるらしい。
SONY α7Ⅱ/NIKON Micro-NIKKOR 55mmF2.8
ちょっと前ボケが過ぎたようだが、瑞々しい透明感のある写りだと自画自賛する。昨年はもっと花が多かったように思うが、花の多少には結構変化があるようだ。今年は4月の中過ぎから咲いていたので、もう終わりに近い。