Old LensをNetでいろいろ物色していたら、このLensに出会った。何やらクラシカルでカッコいい。Lens横に団子のようなレバーがあるのも、いかにも古めかしい。更にこのLensは「富岡光学の「TOMINON C. 5cmF2」がオリジナルで、化粧リングだけ付け替えてヤシカにOEM Modelとして供給していたもの」というフレーズに引き込まれてしまった。
何分古いので、美品はなかなか見つからないが、「YASHICA PENTA JAGUAR」というBody付きで落札した。YASHICA PENTA JAGUARは、1961年にヤシカが出したPraktica Screw(= M42)Mountの最初の一眼レフということらしい。
Lensは思った以上に綺麗だった。外装はほぼスレ、キズ無し。ガラスもカビ、キズ、コーティング劣化も極めて少なく、勿論曇りも無い状態。難点は絞り羽根に汚れがあり、絞り環の操作、あるいは例の「開放レバー」の操作で、羽根がスムーズに動いていないこと。これは、「商品説明」で記載があり、落札前から承知していたことだったが。
Name Ringが外れない
Lensの構造はシンプルで、一見簡単そうに見えた清掃だったが難題が持ち上がった。何とName Ringがどうしても外れない。エタノールを浸してもダメで、遂にCRC556までお出ましになったが、外れない。とうとう諦めて、清掃というほどのことではないが、裏面から絞り羽根の汚れを拭き取るだけで良しとした。勿論、絞り開放にして前Lens Unitの裏面も清掃した。その他分解できるところは全て清掃した。ヘリコイドは問題が無かったのでそのまま使用することにした。
慎重に組み立てて完成してみると、絞り開閉操作、「開放レバー」の操作等、なかなか調子が良い。たまに、羽根が何か引っ掛るような動作があり、カクンと正常位置に戻るのだが、何とか使用出来ないでもない(但し、いつ絞り羽根が張り付くか判らないのだが)。
絞り羽根の汚れについて
大方のLensはヘリコイドのグリスが劣化(液化)して直進バー等を伝って絞り機構に回り込み、羽根が汚れる原因になっている。しかし、このLensはヘリコイドの独立性が高く、離れた場所にあり、絞り機構へ回り込む可能性は極めて少ない。では、何故絞り羽根が汚れたのかということだが、構造を見ていると、どうも絞り機構そのものに(開閉の回転をスムーズにするため)注油あるいはグリスを使用していたような気配がある。というのは、羽根を動かすための外側の回転部分はかなり精密で、かつ精度も高いようで、安定した回転動作を保つために注油が必要だったのではなかろうか、という結論に至った。例によってこの回転部分も分解できないのだが、出来るだけ外側から清掃して隙間に極少量のグリスを塗布することにした。
UV Filterのこと
一緒に付いてきたYASHICAのUV Filterは細かい拭き傷だらけで、使うにはちょっと躊躇うが、このFilterのガラスには「YASHICA」の文字が透かしで入っているというオリジナル品だ。出来るだけ清掃して使用してみることにした。
M42 Mount Adapterのこと
このLensのMountは、M42である。但し、市販のM42 Mount Adapterの多くは「Pin押しType」というフランジ付きのものが大半である。ところが、このLensのM42は「Pin押し無し」というフランジなしのものでなければならない。例の「開放レバー」で開放にした絞りを所定の絞り位置まで戻す駆動Pinが、フランジで押し切れずに詰まってしまう。従ってM42スクリューも途中で詰まって最後まで締まり切らず、無限遠点も取れないという結果になる。
やっと見つけたのがFOTGAのM42-SONY-Eだった。しかし、送料込み760円という価格に「ホントかよ」と不安が過るものの他に代案もなく、半分諦め気味に到着を待つ。
確かにパッケージ等にカネは掛っていないけれど、何の不都合もない立派なものだった。Lens装着にも問題なし、α7ⅡのBody側もガタツキなくスムーズに装着できた。
基準位置表示が真上に来ないというM42 Mount特有の問題はあるが、六角レンチ(1.27mm)があれば調整可能な機構も備えているので、これまた問題なしということになる。
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無限遠点の確認
いつものように1km離れたビルの屋上に立つ避雷針で無限遠点を確認する。勿論、C2ボタンで12倍にして。若干オーバーインフになっているが、このまま使用することにする。
このレンズで見えるEVF画像は何故か他のレンズに比べてピントの山がはっきりしており、贔屓無しで、かなりくっきり見えるような気がする。これがかの有名な「富岡レンズの解像度」というやつなのかもしれない。ぼけ味は自然でやわらかく、近接撮影のピント面では高い解像力を示し、「富岡光学」が「さすが」と言われる所以、「被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力の素晴らしさは特筆モノ」と言われているが、果たして実際どうなのだろう。
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