Tokyo Walker

諸事探訪

MC ROKKOR-PF 55mmF1.7

2020年11月27日 15時07分55秒 | カメラ

【秋探し】

 Minoltaの「MC ROKKOR-PF 55mmF1.7」は昨年の今頃、4本を寄せ集めて良いとこ取りで1本にした貴重なもの。F1.7という割には大柄であるが、その割には軽い(重量224g)。世話が焼けた割になかなか出番がないが、今回は久々に「秋探し」で登場してもらった。天気が良かったというのもある。

 このレンズは、開放よりでは柔らかく、多くのレンズがそうであるように、絞ると解像度が上がるという特性らしい。余計なコントラストもなくて、発色もよいようで、特に青色は透明感がいいという。ボケはなだらかで自然に溶ける感じで、目立つクセがないとのこと。ややうるさく感じる印象もあるらしいが、ボケは人それぞれの好みだから、この辺は何とも言いようがない。

 開放で撮っているが、解像度は絞らなくても確かに素晴らしい。背景のボケ方が多少ザワついているように思う。中央の南天の赤い実はオレンジ色になっているが、本当は他の実と同じ赤でオレンジ色ではない。光がかなり強いので、白く飛んでいるように見える。


F5.6くらいに絞ってみると、透明感のある(秋の空気が感じられる)描写になる。周辺光量も不足なく、柿の色も、背景の空の青さも、スッキリとした確かにいい発色だと思う。


 ちょっと露出がオーバーになってしまったが、無理矢理開放にして前ボケを作ってみた。この印象からすると、後ボケよりいいかもしれない。一段絞ってF2.8くらいで撮ると、もっと自然な感じが出るかもしれない。


 F5.6くらいだったと思う。ライティングが極端なのだがこの時期の色を反映して、赤も緑もよく出ていると思う。右側の緑で判るように特に夕日で赤くなっている訳ではない。縮小前の画像で見ると、解像度も申し分ないレベルだった。光源が少しでも画角に近づくと、すぐにフレアが立つ。この時期の太陽は横からの日差しなので、より顕著な感じがした。


 絞りはF4くらいだったと思うが、青だけでなく赤の発色もなかなかのもの。画面下の暗部の溶け具合も悪くない。今日の「秋探し」のベスト・ショットではないだろうか。
 毎年のことだが、何回訪れても撮影ポイントはいつも同じ。違ったポイントも探したいが、それがなかなか見つからない。


 かなり暗めだが、陽の当らない斜面に咲いていた寒椿。濃い緑の葉と、その中に浮かぶように咲く花が何とも言えない。このレンズは晴天よりも、少し曇天の方が本来の描写力を発揮するのかもしれない。
 絞りはF2.8からF8がお薦め。逆光には弱いが、総じて「いいレンズだ」と思う。

 紅葉はここの所毎年撮っているが、数年前の紅葉は本当に素晴らしかった。あまり枝が張ると公園内が陰気になり、それも困るのだが、あれから木々は枝打ちなどで様子も変わってしまい、今は我慢の時かもしれない。眼鏡橋の袂にある銀杏の巨木も毎年盛大に金色の葉で輝き、池のシンボルだったのだが、全ての枝が打ち払われて、今はただの棒が立っているのみである。

 「見事な紅葉」だった時、カメラはM645 1000Sでフィルム撮りだったのだが、久々のフィルム装填で裏表を間違えてしまい、結局何も写ってなかったというアホな話し。だから、その「見事な紅葉」は記憶の中にあるきりである。かなり気合を入れて真面目に撮っただけに、その期待は大きかったのだが、この落胆は極めて甚だしかったのを思い出す。



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FUJINON 55mmF1.8

2020年11月23日 14時37分41秒 | カメラ

「FUJINON 55mm/f1.8」はザックリ、「初期型・前期型・後期型」に分けられる。中でも「初期型」は絞り環、コーティングの種類、ローレットのデザインなどで更に初期型、中期型、後期型と区別されるようだ。2019/05/05、前後キャップ付き1,000円で落札したのは「初期型」の「初期型」というModelになるようだ。

・絞り環:シルバー梨地仕上げ
・モノコーティング、開放測光用の爪:無、
・金属製ローレット、金属製レンズ銘板

 最も原型的でシンプルなレンズである。恰好が大事なわたしにとっては、「最もカッコ良い」レンズということになる。古い割に外観のスレも少なく、Focus Ring、絞り羽根とも問題なし。肝心のLensは拭き傷も少なく、カビ、曇りも無い、なかなかの美品だった。軽くクリーニングして、そのまま使用することにした。

 同じM42 MountのPentax 55mmF1.8と比較すると、Pentaxの方が全長で5mmほど小さい。前面からの見た目はほぼ同じで、Filter径も同じφ49mmを使用する。しかし、基本的な大きな違いは2つある。
1つは、レンズ構成でPentax 55mmF1.8は「5群6枚構成・変形ダブルガウスタイプ」でFUJINON 55mmF1.8は古典的「4群6枚構成・ダブルガウスタイプ」。
2つ目は、PentaxのMulti-Coatに対して、FUJINONはMono-Coatである。

 ただ、Userにとってこの違いを顕著に受けることはあまりないと思われる。それは、その時の撮影状況や光の具合、各種条件があって現れる効果であって、その比較も簡単ではない。撮影した写真の中にそれら兆候を見ることはあるかもしれないが、いずれも「タラレバ」の世界である。

 時代として、Pentax 55mmF1.8の方が少し先行(1964年)するのだが、後発のFUJINON 55mmF1.8(1970年)と比較されることがよくあるらしい。前から見ると確かに相似である。レンズの明るさやフィルター径が同じなのだから当然似てしまう訳だが、横から見るとFUJINONの方が一回り大きく、絞り環の梨地の白が目立つ。偶然なのか、形がよく似ているからなのか判らないが、コントラストや発色、柔らかさがよく比較されるようだ。FUJINONはやはり発色の豊かさ(派手さ)が一つの特徴になっているらしい。

 写りはどうか。
平均的に柔らかい描写だが、赤色、緑色の発色が比較的濃厚に出る。後ボケは一癖あるようだが、前ボケは悪くない。最短撮影距離で開放絞り撮影したとき、被写界深度は比較的浅く、立体感のある写真が撮れる。・・と言った評価がある。流れとして「後期型」でマルチコーティングのタイプが人気だが、元気の良すぎる発色性に対し、モノコーティングの「初期型」の落ち着いた発色性のほうが好み、という評価もある。

 実写はどうか。
 20200615、紫陽花をモデルにして撮影してみたが、「評価」が顕著に判るような絵が撮れたかどうかは難しい。それよりも周囲の環境、条件や被写体の性質(特に色)に依存する部分、影響を受ける部分が多く、レンズの個性、印象を指摘するのは困難であるように思う。それでも、結果としての画像には、それなりの特徴が現われるものだ。「瑞々しさ、或いは生々しさというよりは、千代紙で造る切り絵のような、或いは日本画のような枯れた雰囲気」というものもその一つなのかもしれない。(20200615「紫陽花」参照)

Mount Adapterは、Pentaxで使用しているM42用ピン押しフランジ付きの「KF-M42E2/K&F Concept」を共用している。

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