―近くの公園でうまくなる「感動写真」術!―
中野正皓/主婦と生活社
1999年3月5日の初版本。都下の公園を舞台にして四季の花を丹念に撮った記録でもあり写真集でもある。その時々の考え方や花に対する撮影者の思いも伝わってくる。テクニックはあまり前面に出さずさり気なく解説する。ともすると技巧に陥りがちな写真術だが、押し付けがましい所は少しもない。「花は情緒、風情が大切」
何を今更ということもあるが、
・花を撮るには晴天より曇天の方がよい。
・整理された背景を探す。
・画角を狭くして、出来るだけ開放で撮る。
・焦点距離と手ブレの関係(300mmは1/300s以上)
・主題、副題(脇役)を決め込む。
写し方のバリエーション
主題を決めて、あらゆるバリエーションを考えてみる。(撮り方を工夫する)
横画角:広がり、長さ、安定感を出す。
縦画角:高さを出す。
・微妙な色と明るさは露出補正で決まる。
・画面にあれもこれも取り込むと平凡な写真になってしまう。
・画面は二分割(散漫になる)より三分割(バランスが良くなる)で構成する。
群生の花(花壇など)は色の構成がポイント。
色数整理、色の配分、単純化した画面構成
パンフォーカス=画面全体にピントを合わせる。
広角を使って絞り込んで(近距離から遠距離まで)撮る。
感動は大切だが、写真を撮るときは平常心で。
よい写真の条件は、
主題の魅力と光効果、そして構成の工夫にある。――175p
撮影三要素
・主題は明確か
・光効果は適切か
・構成(形の構成、色の配置、バランス)は良いか
中野さんはPL Filterや、絞り開放の「玉ボケ」をよく使っている。それにしても登場する植物の多様なこと、一級の植物図鑑のような写真集だ。また、春夏秋冬の写真によって日本の四季の豊かさも解る。日記風の解説もまた楽しい。