興味津々心理学

アメリカ発の臨床心理学博士、黒川隆徳によるあなたの日常の心理学。三度の飯よりサイコセラピーが好き。

言葉

2010-02-28 | プチ臨床心理学
 言葉とは本当に妙なものだと思う。

 自分の発する言葉の他者に対する影響力に意識し過ぎたら、
もっと気軽に、人間関係の潤滑油のように発せられるべき言葉も
出てこなくなるだろうし、逆に言葉の影響力を軽んじていたら、
知らず知らずのうちに誰かを傷つけたり遠ざけたりしていることも
あり得るだろう。

 それから、相手の言葉のひとつひとつを「信じすぎても」
それは相手の発言の全体としての真意を曲解することに
なりえるし、かといって、相手の発言を、何かのリップサービスの
ように適当に聞いていたらそのメッセージは理解できないだろう。
 
 結局のところ、よいコミュニケーションとは、
この二つの問題の絶妙な中庸なのだろうけれど、
難しいのは、どちらかの傾向に偏っていると思ったときに、
ただもう一方の極に方向転換したら改善されるというものでもなく、
なぜ言葉にその言葉以上の重きを感じたり、逆にそこに
言葉そのものの持つ等身大の意味を正確に理解できなかったのか、
その辺をよく考えて、深く内省してみることが必要だろう。